2008年11月発売
長篠で武田騎馬隊を撃破した信長は、一向一揆を率いる石山本願寺攻めに取りかかる。安土城を拠点に、諸国からもたらされる情報を分析し、天下政権の確立に向けて次の作戦を練り上げてゆく。中国路で戦果を挙げた羽柴秀吉が寵を集める一方で、信長の猜疑心深い暗黒の性格は、次第に制御を失いつつあった…。信長の思考、行動に、緻密なままでの分析を試みつつ壮大なスケールの戦国小説として描ききった歴史文学の最高傑作、完結。
その年、ペテルブルグの夏は暑かった。大学を辞め、ぎりぎりの貧乏暮らしを送る青年ラスコーリニコフに、郷里の家族の期待が重くのしかかる。この境遇から脱出しようと、彼はある計画を決行するが……。
一八六八年に出版された『若草物語』"LittleWomen"第一部は、ルイザ・メイ・オルコットの全作品を通じてもっとも有名で、長い年月を経た今日なお世界中で広く愛読されている本である。そんなに長い間こんなに人気の衰えない子供の本というものは珍しい。それは扱われているテーマが「平凡な一家庭の日常茶飯事」で、そういうものは時代とともに古びるというものではないからだ、と言ってしまえばそれまでだが、それにしてもそっくりそのまま舞台を現代に置き換えても、少しの古さも不自然さも感じられない不思議な本である。ルイザは、これを出版業者トーマス・ナイルズ氏の依頼で書いた。それまで寓話のようなものしか読んだことのない子供たちの前に、いきなり自分たちと同じような血の通った少女たちが現れて、自分たちと同じようなことを言ったりしたりする。しかもそれは「性格描写の確かさにおいて、近代の作家もこの古き作家に学ぶがよい」と今では言われているルイザの筆になったものだ、子供たちがとびつき狂喜したのは当然だった。『若草物語』が、「アメリカの児童文学にはじめてリアリズムを導入した本」と言われるゆえんである。(訳者解説より) 【目次】 第一章 巡礼ごっこ/第二章 楽しいクリスマス/第三章 ローレンス少年/第四章 重荷/第五章 おとなり同士/第六章 ベス「美の宮殿」を見いだす/第七章 エイミーの屈辱の谷/第八章 ジョー、魔王に会う/第九章 メグ、虚栄の市に行く/第十章 P.C.とP.O/第十一章 こころみ/第十二章 ローレンス・キャンプ/第十三章 空中楼閣/第十四章 秘密/第十五章 電報/第十六章 手紙/第十七章 小さきまごころ/第十八章 暗い日/第十九章 エイミーの遺言書/第二十章 打ち明け話/第二十一章 ローリーのいたずらとジョーの仲裁/第二十二章 楽しき野辺/第二十三章 マーチ伯母さん/問題を解決す
夢を語りあった幼い頃の日々は過ぎ去り、厳しい現実が四人姉妹を待ち受ける。だが、次女ジョーは母に励まされて書いた小説が認められ、エイミーとローリーは婚約。姉妹は再び本来の明るい姿を取り戻し始める。
多数の死者を出した山手トンネル事件から四十九日。予定された合同慰霊祭に友里佐知子が現れるという確信をもった美由紀は彼女の思考パターンを読み罠を仕掛けるが…。更に読み応えを増すクラシックシリーズ第5弾!
雪山で遭難事故が発生。美由紀は救出に向かうが、現場に人影はなく雪崩に呑み込まれる。折しも政府は東京臨海副都心に巨大なカジノ建設を秘密裏に計画中だった。利権と巨額の金が動く政治の闇に美由紀が立ち向かう!
浅草十二階こと凌雲閣で幽霊が目撃されたーー。明治42年、金田一京助のもとへ石川啄木が持ち込んできた、幽霊騒動を報じる新聞記事。家族を養うため探偵業を始めた啄木から強引に誘われ、京助は助手役として調査に加わったのだが……。第3回創元推理短編賞受賞作「高塔奇譚」、人形の頭が男の喉を咬み切ったという奇怪な事件「忍冬」など、全5編を収める連作本格ミステリ。解説=細谷正充
気の多いカレと破局し傷心中の茜が、突然くちびるを奪われた!謎の申し出をするイケメン青年の正体は、なんと…先生!?iらんど大賞2008ケータイ小説部門シーズン1最優秀賞。
復縁をしつこく迫る元カレに、先生との関係が知られちゃった!好きな人と幸せになりたいだけなのに、もうダメなの…先生!?iらんど大賞2008ケータイ小説部門シーズン1最優秀賞。
今、「バスジャック」がブームであるー。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。
大津波が日本を襲う! あなたは生き残れるか!? 東海・東南海・南海地震、連発の危機が迫る! 20mの津波が太平洋沿岸を襲う。そのとき都市は、港湾は、原発は。異常気象が続き、自然災害が大規模化する今、読んでおきたい、防災サスペンス大作。
青年外交官として華々しく活動したこともあった堀江亮介だが、年を経て在外勤務から帰国。待っていたのは社団法人への出向辞令だった。外務省からリストラされ、屈託した日々を過ごす亮介に、突如ウィーンへの出張という話が舞い込む。東西冷戦が終焉したばかりの「魔都」ウィーンには、いまや国際的な陰謀が渦巻いている。突然の展開をいぶかる亮介がさぐる「出張」の目的とは何か。
東西文化の交差点ウィーンでは、北朝鮮やCIA工作員をはじめとして、核兵器を入手する武器商人やテロリスト、さらに日本のカルト教団も進出して複雑にネットワークを張り巡らせていた。その網の中で、恋人シルビアを失った堀江亮介は一人もがきながらも、不穏な動きを見せるカルト教団に接触していく。だが、亮介の想像をはるかに超えた勢力が世界崩壊のハルマゲドンを計画していたー。
アメフトの人気選手だったグリフ。5年前、組織暴力団“ヴィスタ”の誘いに乗り、八百長試合と不法賭博の罪で逮捕され、富も名声も失った。今、出所してきた彼は「アメリカ中で最も嫌われている男」だ。しかもロダートという男が、未解決の殺人事件を追及して彼をつけまわしている。そんなグリフに、航空会社の社長フォスターが、自分の美しい妻ローラを妊娠させるように提案してきた…。
グリフはフォスターとの契約で大金を手にするものの、航空会社の副社長でもあるローラがなぜ夫の願いに従うのかが理解できないでいた。しかし、過去の衝撃的な事実を知り、彼はしだいに彼女に惹かれていく。一方、グリフを執拗に追うロダートはローラの存在まで突き止める。そして衝撃の事件が起きた!追いつめられたグリフが取った決死の行動とは?驚愕のラストへと運命は突き進む。