2008年4月発売
武家のはみ出し者、松之介、竹之丞、梅太郎。御家人の次男・三男ゆえに、冷や飯食いと悪し様に言われる若者たちだが、世のため人のため、陰に回って働く義侠心を持っている。この“松竹梅”三人と、彼らが慕う浪人・天涯弥十郎が、私欲、私怨を欲しいままにのさばる時の権力者・鳥居耀蔵たちの追及から辛くも逃れ、身を隠した医師と助手、そして罠に堕ちた娘を救い出すべく、執拗な刺客に敢然と逆襲の刃を向ける!痛快時代小説第二弾。
大学生・三枝の恋人は、精悍な美貌をもつチャイナマフィア、王ー喧嘩しつつもスイートな関係を続ける二人に突然、降ってきた王の結婚話。一族の長老がバツイチの愛娘を押しつけようという魂胆で…。思わず荒んだ気持ちになる王を灼熱のエッチで癒す三援。同じ頃、王の側近の小野や楊が次々と命を狙われだして、三枝の身にも危険が…。王の身辺にいったい何が…!?年の差カップル暴走リスキーラブ、書き下ろし。
龍一は元ヤンの中古車ディーラー。勤め先の社長である“総長”から託され、アメリカまでフェラーリの買い付けにやってきた。そこで、エンストで困っていたジゴロ風色男を助けたのはいいが、彼の所持するフェラーリを賭けたセックス勝負に…!その男、アシュラフは実は砂漠の王国の王子…その巧みな技に翻弄され快楽に堕ちてしまった龍一は、彼の愛妾となり後宮に入るはめに。悶絶エロスバトル書き下ろし。
元禄三(一六九〇)年七月、深川冬木町の裏店に住む女衒の新三郎は、仕事の不始末から莫大な借金を背負うことになった。その返済のため、重い足取りで向かった江の島の賭場で、運命的な出逢いを果たす新三郎と壺振りおりゅう。その偶然が、新三郎の人生を大きく変えることになる。▼二人で新たに人生をやり直すべく、おりゅうが考え出したのは、江島神社の裸弁天を江戸へ持ってきて公開する「出開帳」だった。成功すれば何千両もの拝観料が手に入り、堅気に戻れるのだが……。次から次へと押し寄せる難問、問われる新三郎の器量とおりゅうの知恵。乾坤一擲の大勝負の首尾やいかに。▼おりゅうに美質を磨かれ、度重なる試練にも鍛えられ、一歩一歩登っていく新三郎。手に汗を握るハプニングの連続に一喜一憂しながら、気がつくと二人と一緒に人生の峠越えをしている気分になる。様子のいい登場人物たちの温かい真心と共に、爽やかな余韻が胸に残る傑作時代小説。
同期の女の子を呼んで開いた週末の鍋パーティー。みんなを送り出した翌朝、部屋には、女物の靴が一足。代わりにサンダルがなくなっていた!-週明け出社しても、その間違いを言ってこないのはなぜ?(「ガラスの靴」)。10のwhy?本格の旗手の新たなたくらみ。
「やられたらやり返すっ!!」時は一九七〇年代。田舎町に住むヤンチャでムチャな男子高校生と、町の駐在さんが繰り広げるイタズラ合戦。「レーダー測定(ねずみ捕り)で自転車は捕まるのか!?」に始まる、バラエティ豊かな“ぼくたち”の作戦と、法すれすれのリベンジを繰り返す“駐在さん”の大人げない(?)攻防戦。ある時は「駐在所にいかがわしい本を届けて」みたり、またある時は、「セクシーな下着を駐在所のところどころに忍ばせて」みたり…。おバカで笑えて、熱くて泣ける、(半分)実話の人気ブログ小説、待望の文庫化。
倉永晴之は南海市役所の市民相談室で働く公務員。現在の役職は主査、一般企業でいえば中間管理職の係長である。南海市は巨大ワニの化石が発見され、一躍全国区となるが、倉永の心は晴れない。市内の公園で本物のワニが泳いでいるという通報が入り現地確認に出かける。時間外の仕事を終え家に帰ると、今度は自家用車のタイヤが空気を抜かれている。そのうえ職場では上司の不祥事が発覚し、火の粉は倉永に降りかかってくる。度重なる不幸の連鎖から倉永はいかにして脱出するのか。「どろ」「かび」の作者が描いた巻き込まれ型小説の決定版。
貿易会社に勤める主人公に日常を東南アジアを舞台に描いた表題作「田園風景」、知り合いのアメリカ人夫婦の子供を預かる話「夏野」「向かいて聞く」、ほかに「コネティカットの女」「土手の秋」「寒桜」など九篇。明瞭な日常風景が、抽象世界へと転化し、人間の存在が、描かれる風景に同化し吸収されてゆく独得の世界を展く傑作短篇小説集。野間文芸賞受賞。
昭和十八年春、戦局の厳しさが愈愈容易ならざる時を迎え、武道以外を事実上認めない文部省によって東京六大学リーグ戦が禁止された。学徒出陣を目前に、早稲田・慶応両校の野球部員たちは、今一度早慶戦を開催したいと奔走し、ついに十月十六日、戸塚球場で戦争中最後の早慶戦が行なわれた…。感動の青春小説ついに文庫化。
美衣子は、理髪店を一人で切り盛りしてきたしっかり者の母親と、はずみで家に入れてしまった内縁の夫、青野と三人で暮らしている。ある日、青野の甲斐性のなさに愛想をつかして別れ話を切り出すが、男はなかなか出て行こうとしない…。男運にめぐまれない女たちの、ひそやかな心の動きを、乾いた筆致で描く長篇小説。
人生の関所を通り過ぎたいま、苛烈な思い出と和解を果たす。どこからきてどこへ消えたのかもわからないままのおばさんも、折り合いの悪いまま逝ってしまった父親も、故郷の廃屋に茂る夏草さえ、いまはただ愛おしい。医者であり小説家である著者が、魂の再生を静かに描いて、深い感動を呼ぶ八篇の連作小説集。
関東一帯で次々と発生する事件を、時に叡知で、時には豪剣の冴えで解決し、悪党どもには「強面」の印象が強い我らが桑山十兵衛も、小石川同心町の自宅に戻れば一介の御家人。ひょんなことから恋女房が実家へ戻ってしまい、その上、自身が何者かに襲われてしまう。果たして、十兵衛に安息の日々は訪れないのか…。
長助の近所の質屋に空巣が入った。犯人を捕えて取り戻した銭箱に、メキシコ・ドルラルと呼ばれる洋銀が一枚…。日米間の不公平な通貨両替を利用し、闇の両替で私腹を肥やす小判商人を追って、東吾や源三郎、そして麻太郎と源太郎の少年コンビが活躍する表題作をはじめ、騒然とした幕末の世情と揺れる人の心を描く七篇を収録。
【第133回直木賞受賞作「花まんま」映画化決定!】 まだ幼い妹がある日突然、母のお腹にいた時のことを話し始める。それ以降、保育園をぬけだし、電車でどこかへ行こうとしたり、習ったことの無い漢字を書いたり。そして、自分は誰かの生まれ変わりだと言い出した…(表題作「花まんま」)。 INFORMATION 映画『花まんま』 2025年4月25日 全国公開 出演:鈴木亮平 有村架純 鈴鹿央士 ファーストサマーウイカ 六角精児 キムラ緑子 酒向 芳 監督:前田 哲 配給:東映 公式HP:https://hanamanma.com 〜映画化によせて〜原作者の言葉 私が書いた『花まんま』は八十枚ほどの短編で、もともとは子供である俊樹とフミ子の物語でした。今回の映画化 の際には、原作をそのままに生かしつつストーリーを膨らませ、見事に世界を広げていただきました。私の手が届かなかったところにまで気持ちが届いていて、原作者冥利に尽きるというものです。さらに存在感のある出演者の 方々には期待が高まるばかりで、まさに私一人では見ることができなかった『花まんま』です。 昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちの思い出が語られる。ちょっと怖くて不思議なことや、様々な喜びやほろ苦さを含む物語に、深い感動と懐かしさがせまる傑作短篇集。 第133回直木賞受賞作。 解説・重松清
まずは「ぶるうらんど」に面食らい、次に「アリスの穴」で出口の見えない迷路に迷いこむかもしれません。ただ、そこであきらめないでください。「CHANELの女」で点が線へ、「聖フランチェスコ」では線がついに面となり、さらにその先の次元へと誘ってくれます。横尾忠則、初小説!誰も見たことがない、永遠の愛の物語。
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?第23回メフィスト賞受賞作。
建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、二人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。