2008年4月発売
利息先払いで元金は保証。うまい言葉で江戸庶民の金を掻き集める両替商『大坂屋』が、返せ、返さぬの取り付け騒ぎに。事態収拾へ向け動き出した北町奉行所、藤堂逸馬の前に、かつては吟味方与力として先輩で、今は公事師となっている“鬼の棟方”が立ちはだかる。変節の源となった事件とはー。
工場で働く単調な日々に鬱々とするヒキコモリ気味の少年。少女を見えない悪意から護り続ける少年。密室状況の屋敷内で繰り広げられる惨殺劇。別々に進行する三つの物語を貫くものは、世界を反転させる衝撃の一文と、どこまでも深い“愛”である。なぜピアノは沈んだのか?著者渾身の戦慄純愛ミステリー。
教室にあるはずの48の机と椅子がすべて消え、代わりにコピーされた遺書と級友の冷たい骸だけが残されていた。しかも密室で。自殺か他殺か。高3で、推理マニアの工藤順也はこの謎に果敢に挑むのだが…。本格ミステリの甘美な果実にして、瑞々しい青春小説。法月綸太郎のデビュー作にして、不朽の名作。
土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える…。直木賞受賞作。
仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。一年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか?密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは…!?本格ミステリの復権を高らかに謳った「館」シリーズ第二弾、全面改訂の決定版。
消失死体がまた元に戻る!?完璧の「密室」と「アリバイ」のもとで発生する、学生バンド“メイプル・リーフ”殺人劇ー。「ミステリー史上に残ってしかるべき大胆なアイデア、ミステリーの原点」と島田荘司氏が激賛。この恐るべき謎を、あなたは解けるか?大型新人として注目を浴びた鮮烈なデビュー作。
血を流して横たわる被害者。何者かに頭を撃ちぬかれたのだ。そのかたわらには三枚のコインが…二十年前にボストンを震撼させた連続殺人鬼が犯行を再開した。かつて捜査を担当したサニーの父、フィル・ランドル元警部のもとにも、犯人からと思われる人を食ったような手紙が届く。闇に消えた殺人鬼が舞い戻ったのか?父に協力するサニーは、一人の男に焦点を絞り、危険な賭けに挑む。息づまる対決を描くシリーズ最新作。
御座船安宅丸の水軍演武中に、大挙襲来した刺客から命を狙われた四代将軍家綱は、間一髪のところを緋之介に救われた。恨み骨髄に徹した堀田正俊は、大奥別式女衆の武芸達者に緋之介闇討ちの命を下す。一方、吉原を我が手中にせんとする大津屋しまは…。家康が忌み嫌ったと言われる妖刀村正に秘められた、幕府崩壊に繋がる謎とは一体なにかー。
「その刀を得し者、武林の覇者になる」と謳われた運命の宝刀・屠龍刀の行方をめぐり、ついに武林の英雄が一堂に会した少林寺の英雄大会。熾烈な争奪戦の末、刀を勝ち取ったのは誰か。そして、張無忌の決断とは?正と邪の区分とは何かーをテーマに、生まれながらに過酷な運命を背負った少年の成長を描いたスペクタクル・ロマン、堂々の完結。
ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?『イニシエーション・ラブ』『リピート』で大ブレイクの著者が贈る、待望の書下し作が登場。
男ふたりに痛めつけられていた母子を助けた与三郎。母子は、与三郎が岡っ引き銀次の手先となる前に住んでいた町で瀬戸物問屋を開いていた御内儀と娘だった。その二日後、明神下の空き地で、刺し殺された店者が見つかった。どうやら下駄屋の主人らしい。銀次とともに探索にあたった与三郎は、殺しと母子には、何らかのかかわりがあると睨む。
2000年サラエボ。かつて戦場レポーターの頂点に輝きながら破滅し、どん底からの再起をはかるサイモン。彼と共に戦火をくぐってきた元戦場カメラマンのダック。そして新米TVプロデューサーのベン。3人が驚愕のスクープを求めて重要戦争犯罪人フォックスの至近距離まで辿り着いたとき、彼らの前に立ちはだかったのは誰一人想像しえなかったある事態だった…。実話をもとに、命知らずなジャーナリストたちのスリリングな追走劇を描く、R・ギア主演のエンタテインメント大作、待望の小説化。
遥花は、奔放なふたごの姉・美月に複雑な思いを抱いていた。常に比べられることへの反発ー。が、二人が選んだ相手もまた、ふたごの兄弟だった。傍目には幸せなカルテットの誕生だったが、新婚間もない美月が、突然、謎の失踪を遂げた。後に残されたひと瓶の香水が引き起こす思わぬ愛憎劇とは?深い内面描写にスリリングな展開。期待の俊英による書下ろし長編。
2007年刊行の文芸誌発表の作品の中から、精選された18篇の小説を収録。現代の文学の状況がこの一冊の中に凝縮!時代の断面を、風景としての扉を、18人の作家が鋭く切り、拡げた作品群。
遠藤慶太は29歳。大航ツーリストの企画課から成田空港支所に「飛ばされて」きた。遠藤は「ぜったいあぽやんにはならないぞ、本社に返り咲くぞ」と心に誓うがー。再入国許可のない日系ブラジル人少女をめぐる駆け引き、絶対に出発しようとしない老婦人の秘密、予約が消えて旅立てない新婚夫婦をどうするか?空港で起こる旅券やチケットのトラブルを解決し、旅客を笑顔で送り出す「あぽやん」たちのカウンター越しの活躍を描く。
退職金をはたき、業界のパーティーで乾杯の音頭をとる権利を買った芸能記者の運命は?表題作ほか、巨匠と大女優との壮絶な確執(「授業」)や、死者の体を清める湯潅を仕事とする元風俗嬢(「メイクアップ」)など、現代の奇譚とも呼ぶべき物語全六篇。
神に選ばれし肉体を持つバレエダンサー。老化、誘惑、追走者、罠。彼の最大の敵とはー2060年、第18回「ペルフェクション」、精神と肉体の限界が試される過酷なバレエ・コンクール。5年に亘りその頂点に立ち続ける勝者に、魔の手が静かに忍びよる。大藪賞作家が描く究極の美と苛烈な生。心と身体の限界に挑むエンターテインメント誕生。
秀吉の死去により、世はふたたび戦乱の暗雲に覆われる。丹波大介は、信義を失い、生き残るため、かつての主にすら刃を向ける甲賀忍者に見切りをつけ、己の信ずる者のためだけに闘うことを心に誓う。伊賀のみならず、甲賀すらも敵にまわす孤独な闘いの日々。時あたかも関ケ原の決戦前夜。大介は石田三成、真田昌幸・幸村父子に己の命運を賭けて家康暗殺を決意するが…。“忍者の戦国史”として永く読み継がれる傑作時代長編。