2008年6月発売
夏休み。いなかのおばあさんの家ですごす、さゆりと洋介の姉弟には、毎日父からの手紙が届く。そこには、一日一話の小さな「お話」が書かれているのだった。物語を通して生まれる、新しい家族の姿。
限りある生を惜しみ、その“永遠の姿”を地上にとどめようと描き続けるボッティチェルリだが、あるがままに描くという時代の流行との差異に苦悩する日々が続いていた。そんなある日、ジュリアーノ・デ・メディチの禁じられた恋人、美しきシモネッタに捧げられた壮麗な騎馬祭がフィオレンツァ全市を挙げて催される。
京都・勧学院別曹の主、藤原純友。坂東への旅で若き日の平将門との邂逅を経て、伊予の地に赴任する。かの地で待っていたのは、藤原北家の私欲のために生活の手段を奪われ、海賊とされた海の民であった。「藤原一族のはぐれ者」は己の生きる場所を海と定め、律令の世に牙を剥く!渾身の歴史巨篇。
承平・天慶の乱の首謀者として将門とともにその名を知られる瀬戸内の「海賊」純友。海の民を率い、ついに朝廷の水軍との対決が!夢を追い、心のままに生きた男の生涯を描く歴史巨篇。
情報屋に続き、警視庁公安部の山口が殺された。再び鳴沢に嫌疑がかかる状況で…。身の潔白を証明しようと奔走するも、同僚に警察内部の圧力がかかり、いよいよ孤立無援の状況に。ようやく謎の言葉「ABC」が大規模な国際犯罪に繋がることを掴むが、捜査は行き詰まる。ついに敵の銃弾は、鳴沢に向け放たれたのだった。
夫の不貞の決定的証拠を掴んでほしい。依頼人の女性マーリーンはスペンサーにこう懇願した。彼女の夫トレントンは世界的大企業の最高財務責任者だという。調べを進めるうちに明らかとなる、奇妙な男女関係。やがてトレントンが会社で死体となって発見され、さらに同社の警備部長まで不審な死を遂げてしまう。事件を追うスペンサーは、巨大企業の暗部に足を踏み入れることに…。スペンサーが専門外の事件に挑む異色作。
公園のブランコから女性の死体がぶらさがっているとの報を受け、ダイヤモンド警視は現場に急行した。自殺かと思われたが、まもなく女性が絞殺されたうえで吊るされたことが判明する。元夫、現在の恋人、レストランのヘッド・ウェイター、ビジネスマン、次々と容疑者が浮上するが、ダイヤモンド自身は捜査に集中できない状況に陥っていた。彼のもとに不可解な恋文や贈物が執拗に届いていたのだ。ダイヤモンドは今も亡き妻を愛しているというのに、誰がこんないたずらを?そんななか、失踪していた元夫が首吊り状況で死体となって発見される。それは類例を見ない首吊り処刑の連鎖だった…。男と女の愛と業を謎に絡め、英国ミステリ界の巨匠ラヴゼイが放つ意欲作。
軽度のうつ病で研修を一時中断し、コンビニでバイトをしている医者の卵・啓介。その店にやってきた制服姿の女子高生が突然倒れた。下腹部にきつく巻かれたさらしをゆるめると、おなかがみるみるせり上がってきて-。いつでも、どこでも、女性だけに起こりうる最大の苦難。未だ見ぬ者への無償の愛を描く著者の最高傑作。
28歳の平凡なサラリーマンである真田聡は、今をときめく女性ファッション誌のトップモデル・今村エリカの熱狂的なファン。写真集のサイン会で初めて喋ってから、生身のエリカへの想いを募らせる真田は、積み重ねた努力と僥倖の結果、エリカと結婚することになった。夢にまで見た最愛の女性との新婚生活だったが、一般人の真田と売れっ子芸能人であるエリカとの間には、徐々に問題が生じてくる。とくに真田を悩ませるのは、奔放ともいえるエリカの男性関係だった…。
警察のイメージアップを図るため、日本のお偉方たちは、安易にも戦隊ヒーローブームにあやかり「警視庁戦隊」を作り、広報活動をさせることにした。部隊名は「警視庁特捜班ドットジェイピー」。ジェイピーはジャパニーズポリスの略。ドットが付くのは、なんか今風だから。集められたのは、性格に大きな難があるものの、格闘、射撃、コンピュータなどの達人にして美男美女の五人の警官。しかし、彼らを逆恨みする犯罪者が現れて…。戦え!世間の眼に負けるな!ドットジェイピー!浅はかで投げやりな平成ニッポンを照射し笑いのめす怪作、誕生。
ハリーによって児童書出版にビッグ・ウェーブを呼び起こしたローリング、波に乗ったプルマン、ハッドン、マーテルら…ハリー・ポッターがもたらした電子の時代の空前の読書現象。
「母さん、安心して。最後に一杯しかご飯がなかったら、弟に食べさせてあげる」隣人が隣人をおとしいれる文革の時代に、出会ったふたつの家族。男は、やさしい男の子をつれ、女は、つよい男の子をつれていた。ふたつの家族はひとつになり、ふたりは兄弟になったー。
問題児だった弟は、商機をみつけ大富豪に。実直だった兄は、職を失い落ちぶれる。処女膜美人コンテストに豊胸クリーム行商。欲が欲をよぶ開放経済の荒野の果てに、兄と弟がみたものは。
老人問題、人口減少、整形、自殺、ドラッグ…“現代の闇”が凝縮された世界、それが2031年東京。私立探偵サラのもとに舞い込む様々な依頼。周囲の誰もがいなかったものとして口を閉ざす姉の捜索。関わる人間が必ず自殺する美しき死の天使。食欲喪失により死に至るドラッグ…。調査の過程で、サラにも魔の手が。彼女の奥底に眠る9.11の記憶を呼び起こした才賀医師は悪魔なのか…。
ドイツ現代史の権威、ホーエンハイム教授の邸宅・蝙蝠館に招待されたゼミ生たち。住民たちが先祖返りして獣同然の姿になったと伝えられる狗神窪にひっそりと佇むこの館が吹雪に降り込められた夜、恐怖の殺人劇が幕を開けるー。心理学やナチズム、中世の魔女裁判などにまつわる豊富な知識と、鮮やかな仕掛けでミステリ・シーンに殴り込みをかける驚異の新人のデビュー作。
専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという不倫相手を毒殺する。だが、何日過ぎても被害者が妊娠していたという事実は報道されない。殺したのは本当に夫の愛人だったのか。嵌められたのではないかと疑心暗鬼になる恭子は、自らが殺めた女の正体を探り始める。そして、彼女を執拗に追うベテラン刑事・戸田との壮絶な闘いが始まる。長編ミステリ。