2008年9月25日発売
世の中のすべてに興味を失った男の唯一の楽しみは、下宿の屋根裏から、他人の醜態をのぞき見ることだった。そんなある日、屋根裏でふと恐ろしい完全犯罪を思いつく。その結末は…!? ほかに「暗黒星」収録 〈収録作〉 屋根裏の散歩者 暗黒星
「博打うち」とは本当に因果な商売だ。プロである以上は勝たねばならないが、勝てば勝つほど、客の足は遠のき、挙げ句のはては飯の食いあげだ。この難問が解決できない以上、「博打うち」とは、ギャンブルにのめりこんだ多くの男達の幻想ともいえるかもしれない。麻雀必殺技、“二の二の天和”に骨身を削るイカサマ師を描く「天和くずれ」、ギャングバー経営の女衒の達、ドサ健と寺の息子との息づまる秘技の応酬を描く「天国と地獄」等11編を収録。
向島で三代続いた料理屋の一人娘・お京も二十歳、数々の縁談が舞い込むが心に決めた相手がいた。相手はかつぎ豆腐売りの信吉。驚く親たちだったが、なんと信吉から断わられ……豊かな江戸人情を描く計10編。
大手メーカーに勤務する亜紀が、かつて恋人からのプロポーズを断った際、相手の母親から貰った一通の手紙。女性にとって、恋愛、結婚、出産、そして死とは……運命の不可思議を鮮やかに映し出す感動長篇。
キュートな女子大生会計士・藤原萌実と新米会計士補・柿本一麻が監査の先々で遭遇する奇妙な事件。大手鉄鋼会社会長の不正行為を暴く証拠は、源氏物語絵巻?バイトが次々に辞めるコンビニが隠す在庫のカラクリーいつもの名コンビが事件を解決と思いきや、今回は「もっと柿本様のことが知りたいのですわ」と言う、お嬢様会計士・村咲紫が登場…ついに恋のライバルが現れたのか!?超実用的ビジネス・ミステリ第5弾。
スマトラ島地震のショックで記憶を失った姉の、莫大な財産の独占を目論む弟。メフィスト・コンサルティングのダビデが記憶の回復と引き替えに出した悪魔の契約とは? ダビデの隠された日々が、明かされる!
岬美由紀を亡き者にせよとメフィスト本社から最後通告を受けたジェニファー・レイン。さもなくば自身が闇に葬り去られる。ついに二人の正面きっての対決の時。ジェニファー・レインの最後の48時間が幕を開けたーー
オチコボレ高校に通う「僕たち」は、三年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませていた。厳重な監視のうえ、強面のヤツらまでもががっちりガードする、お嬢様女子高の文化祭への突入が、その課題だ。
「飛び降り自殺を繰り返す女の霊を見た」という目撃者の依頼で調査に乗り出した八雲の前に八雲と同じく”死者の魂が見える”という怪しげな霊媒師が現れる。なんとその男の両目は真っ赤に染まっていた!?
はじめて味わう胸の高鳴り、つないだ手。甘くて苦かった初恋ーー。読者と選んだ好評アンソロジーシリーズ。恋愛編には、有川浩、乙一、梨屋アリエ、東野圭吾、山田悠介の傑作短編を収録。
祖母が風邪で死んだと知らされた小学5年生の僕。叔母夫婦の家からは従姉の紗央里ちゃんの姿も消え、叔母たちの様子はどこかおかしい。僕はこっそり家中を探し始める。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。
ダム建設労働者の松戸与三が、セメント樽の中から発見した手紙には、ある凄惨な事件の顛末が書かれていた。教科書で読んだ有名な表題作他、小林多喜二にも影響を与えた幻の作家・葉山嘉樹の作品8編を収録。
ハルとカホは違う小学校に通う、六年生。接点などなかったふたりが、運命のいたずらによって引き寄せられる。心に傷を負った少年、少女、そして彼らを見守る大人たち。それぞれが懸命に、前を向いて歩いていく-。
夫の浮気が原因で離婚した恭子は、小学生の娘と二人暮らし。ある夜、学生時代の友人晴美が訪ねてきた。相談があるというが…「隣の女」。病弱な姉を支え、独身のまま五十代を迎えた静江。姉の乗った飛行機が墜落したと知らせが入り…「凶事」。夫の隆男は嘘をつく。結婚してよくわかった。このままではいけないと思い詰めた律子は…「嘘つき」。ドンデン返しの技が冴えるブラックユーモア11編。
芸能界に確固たる地位を築いた大歌手、橘百合子。その歌手生活37周年記念リサイタルを前に、ふとしたきっかけで振り返った過去ーあの時、もし違う選択をしていたら、どんな人生だったのか?回想はデビュー直前の昭和8年に遡り、歌手になることのなかった「もうひとつの人生」が浮かびあがる。そこで見えてきた意外な真実とは。人生の切なさを温かく包む、パラレル・ワールド小説の傑作。
林子平は女彫師のお槇とともに、老中・松平定信の追っ手から逃れ隠れて『海国兵談』の版木を彫り続けるが、お槇を連れた逃避行は日ごと過酷なものに…。二人の魂が彫り込まれた版木の行方は。気鋭が贈る感動の書き下ろし歴史小説。
テレビ業界の花形・報道番組。だが、日があたるのはごく一部。孫請け制作会社という業界ピラミッドの底辺にしがみつく彼らは、今日も「ニュース」という名の、くだらない虚構を送り出す…。そしてある日、取材中に非常に危険で残酷な「ありえない真実」が爆発。暗い憎悪の奔流が、彼らを襲い始めた-。現代社会の縮図をリアルに描く、書き下ろし長篇小説。