2008年発売
一本の原稿が不可思議な世界へ誘う 関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。失踪した作者を探し求める編集者は、小説の舞台である東北に辿り着くが…。著者真髄の重厚な傑作ミステリー。(解説/熊谷達也)
恋はいつも、人のこころを様々な色彩に染めていく。ガンの手術を受ける私に、運命の人が贈ってくれた花の「白」。手の届かない人と並んで見つめた、雪が残る湖の「銀色」。遠く離れた初恋の相手と私とを繋ぐ、あの日と変わらぬ空の「ブルー」。婚約者のいる男性と別れ、ひとりで歩く公園の「緑」-。色をテーマに、切なく胸をしめつける恋愛を描いた、ショートストーリー集。
15世紀、ルネサンスの街フィレンツェを支配するメディチ家とそれを狙うローマ教皇庁。工房に入った若き天才ダ・ヴィンチは、豪華王と呼ばれるロレンツォの弟、美貌のジュリアーノに魅せられた。兄弟子ボッティチェルリと争いながら、恋と芸術に没頭する日日に忍び寄る陰謀の影。ダ・ヴィンチの才能を花開かせた殺戮とは。モナ・リザを持って逃れたダ・ヴィンチが語る恋と復讐の物語。
家族をこよなく愛する小泉は中堅の商社に勤める平凡なサラリーマン。彼は、土地売買の極秘巨大プロジェクトを立ち上げた。必死の思いで進めた仕事のメドがたったある日、計画を知るという謎の不動産屋から呼び出される。彼を待っていたのは暴力団だった。家族を狙うという脅しにも負けず敢然と立ち向かう小泉だったが…。容赦ない暴力とせつない愛が交差する中島らもの遺作バイオレンス小説。
昭和十六年、シンガポールに在住する日本人に引き上げ命令が下りた。台湾生まれの客家の青年・梁光前は、その日から己の存在を問い続けることになる。中華の民か、大日本帝国の臣民か。どちらでもあり、どちらにもなれない己とは何か?ふとしたことから中華義勇軍に入ることとなった光前は…。
「私は人類をたいらげたい」-火星やまと基地の隊員4名が体験した、あまりにもあっけないファーストコンタクトを描く表題作、太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常「Slowlife in Starship」、いつのまにか不老不死を獲得してしまった人類の戸惑い「千歳の坂も」、そして傑作長篇『時砂の王』に秘められた熾烈な闘いを描くスピンオフまで、心優しき人間たちのさまざまな“幼年期の終り”を描く全5篇収録。
ブルックリンに住む二人の少年ディランとミンガスは、同じストリートに住み、一緒に育った親友だ。しかし、ディランは白人、ミンガスは黒人。アメリカン・コミックや音楽への情熱で結びついていても、その友情には多くの試練が待ち受けていた。ある時、偶然にも空飛ぶ指輪を手に入れたディランは、ヒーロー「エアロマン」に変身して、ミンガスとともに街を守ろうと試みるが、それは二人の関係の転機となる-。ファンク、パンク、ヒップホップ、そしてグラフィティにドラッグ。全米批評家協会賞受賞作家が四年間の沈黙の末に発表した、70年代ニューヨークの息づかいが聞こえる傑作長篇。
現世に並びなき傑物と謳われたラニスター家当主タイウィン公亡き後、「鉄の玉座」の実権は、公の娘である王母サーセイ太后が握った。だが、王都の小評議会の参議を自らの取り巻き連で固めたサーセイは、専横のかぎりをつくし、臣民の信頼をも失っていく。一方、父タイウィン公を喪った責めを自らに向ける隻手の騎士ジェイミーは、「王の楯」総帥として禁欲的に自らの信ずる道を進む。それがため姉サーセイと反目し、なかば王都を追われる形で戦場へ戻ることになる。大陸の西に位置する鉄諸島では、前王の弟「鴉の眼」ユーロン・グレイジョイが御座につき、水軍を率い王土南部の略奪を開始した。さらに最南部のドーンでも反逆の胎動が始まっていた。機略に長けたマーテル家の大公ドーランは雌伏してその時を窺う…。七王国の大陸ウェスタロスは、いまや双獅子の玉座を狙う鴉どもの跳梁する下剋上の地と化した。新たな展開を見せる現代最高のファンタジイ・シリーズ、第四弾。
西暦二〇三八年、スリランカ-インド間を結ぶ巨橋を拠点とする「マザーズ教団」は、難病の子どもたちの末期医療に従事していた。教団代表の葵飛巫女はインド州軍の襲撃を予測し、巨橋を崩壊させて教団ごと避難する決意をする。攻撃開始の日、それぞれの理由で巨橋に居合わせた4人の男たちは、飛巫女の素顔と、人類の未来を左右する真の目的を知った。医学、財産、電脳、怪力-それぞれの要素に恵まれた男たちは、彼女のため命と才覚のすべてを賭け、太陽系最大の建造物・軌道エレベータの建造に挑む!架空戦記の俊英、初の本格SF。
大学受験を控えた布施靖の家庭は、波風の立たない平和なものだった。しかし、じいちゃんがボケ始めた日を境に、すべての歯車が狂い出す。父親のリストラ、いそいそと外出する母親の不審な行動、靖を誘惑する年上の女性、そして、愛する彼女がひた隠す謎の過去。家庭崩壊の危機を前に、靖は一人奮闘するが…。優しくも切ない家族小説。
手垢にまみれた「男らしい」という言葉は、現代では「オヤジ」に変わった。当たり屋のオヤジ、嘘つきなオヤジ、亭主関白のオヤジ、定年退職したオヤジ、娘が薬物中毒のオヤジ-。大藪賞作家がさまざまな父親像を温かく描く、傑作小説。
流鏑馬の達人で蹴鞠もこなす、和歌の天才、西行。平安末期のドラマチックな時代の中で、武士として僧侶として歴史の現場に立会い奔走した姿と、待賢門院璋子との恋を描く、待望の歴史小説。
東京・六本木で五十口径もの拳銃を使う殺人事件が相次いだ。被害者はすべてアラブ系人種。傭兵・藤堂浩志はイラクで横行する狂気の「人間狩り」を想起した。日本で何が起ころうとしているのか?折しも一月後、G8地球サミットのため、各国要人が日本に集結する。CIA、米陸軍特殊部隊も暗躍する中、浩志率いる傭兵部隊が始動する!驚愕のアクション巨編、第三弾。
結婚。それは女なら一度はあこがれる理想郷…。ここにその夢に目覚めた女がいた-。引田輝子、29歳独身、グルメ番組のディレクター。今の仕事もライフスタイルも手放したくない!だけど結婚もしたくなっちゃった!果たしてそんなことができるの!?まさに“実現不可能”(?)ミッション開始。