2009年11月25日発売
昭和天皇崩御の式典が行われている京都の街中で、偶然、テレビカメラに映し出された一人の伝説の老人。「この男からインタヴューを取ってもらいたい」と上司から指示された人物は、新潟の山奥で四十年もゲリラ活動を展開してきた独立農民党党首・田中角栄その人だった。しかし、私の眼は、老人の側に寄り添う美しい女にくぎ付けになっていた。その女こそ…。来日したCNN特派記者が体験する壮烈奇怪な「昭和」の残照。
第二次世界大戦後、日本は大菩薩峠を境とする「壁」で東西に遮られ、東京を首都とする共産主義国家の東日本と、大阪を首都とする資本主義国家の西日本に分断されていた。西日本では「ちゃうか」などベタな大阪弁が標準語となり、「昔の標準語」はマイナー方言になっていたー。そんな日本にやってきたアメリカ黒人のCNN特派記者「私」を待ち受けていたものは…!?戦後分断された東西日本の統合をめぐる壮大奇怪な真贋日本史。
武蔵野にある手塚学園。この一角にある立ち入り禁止の部屋に、3人の女子高生の姿があった。軽いいたずらを仕掛けるためだったのだが、彼女たちは気づかなった。背後に冷酷な視線があることを。そして、3人は次次と謎の死を遂げるー。クラスメイトの死に疑問を抱いた結城真知子は、1人で捜査に乗り出した。学園に忍び寄る恐怖の影に立ち向かう、女子高生探偵の活躍を描く青春サスペンス・ミステリー。
元禄15年師走、世を騒然とさせた赤穂浪士による吉良上野介邸討ち入り。今なお語り継がれる大事件の陰に、もう1つのドラマがあった。人形浄瑠璃作家・近松門左衛門と、赤穂浪士随一の剣の使い手・堀部安兵衛。「あいつは命を懸けて、おのれの意地をしめそうとしているだけだ」。明と暗の狭間で、生と死が交錯するー。近松は筆に、堀部は剣に、おのれの命を賭して、意地を貫いた男たち。新たな「忠臣蔵」を描く長編時代小説。
人狼の住むという村を訪れたヴィクトリカと一弥を、またも惨事が待ち受ける。それはヴィクトリカの母・コルデリアがかつて関わった事件に関係するというのだが……。大好評ミステリシリーズ第2弾!!
「リュウキ、あたしを殺して…」友達との関係に疲れてしまったアヤカは、衝撃的な言葉をリュウキに投げかけた。問い詰めたアヤカから事情を聞いたリュウキは…!?高校2年3学期最初の日ー…九代目総長の乗るメルセデスがアヤカを迎えに来た。その日、アヤカは野獣の一員になった。
新彊ウィグル自治区のウルムチで、中国からの分離独立を求めるイスラム系過激派による自爆テロが起きた。主犯格の少年は、かろうじてカラコルム山脈を越境して逃亡を計る。少年の妹も、ある密命を帯びて故郷を離れ、遠い上海へ身を潜める。それは、来るべき中国内乱への序章に過ぎなかったー。上海で実際に起きた事件を下敷きにした話題作を、大幅改稿して贈るスペクタクル・ロマン。
上海でウィグル族の美しい女性ライラと出会った日本総領事館員の香坂は、中国公安の仕掛けた汚い罠に陥る。一方、テロリストの陰謀を察知した秘密工作員ヤマンは、ビジネスマンに扮して上海へ赴く。運命に導かれて、香坂、ライラ、ヤマンがついに上海で邂逅する。魔都・上海で、何が起ころうとしているのか。中国の腐敗した「柔らかい腹」を切り裂く筆致で、中国の内乱を予見した大作の完結編。
昭和三十年代。舞台は海と山に囲まれた小さな町。小五になるぼくは、毎日、自然の中で小さな冒険を繰り返している。仲間は神田パッチン、遠田ガチャ丸、タタミ屋のいち六、及川のデブ。夏休みになった日、五人は学校で立ち入りを禁止された川の上流を目指すが…。けんけん鬼、井戸ポンプ、プロレス中継、LPプレイヤー、『おもしろブック』など懐かしい昭和の風物の中で語られる熱く元気な青春小説。
30歳を目前に仕事を辞めた花。おしゃれもダイエットもセックスもやめた。頑張っても、いつか若さは失われると気づいてしまったから。投げやりに引きこもる花を、優しく見守る恋人だったがー(「しゃぼん」)。高3の夏。海。大好きな慎ちゃん。でもあたしは他の男たちとも寝ている。慎ちゃんには見せられない姿でー(「ねむりひめ」)。悩める女の子必読!リアルでキュートなガールズ小説集。
著名な建築家の伊織祥一郎は、妻子と別居して青山のマンションで独り暮らしをしていた。部下である笙子という恋人がいながら、霞という人妻と出逢う。茶室の横に咲く佗助のように控え目なのに、豪奢で豊饒な余韻がある。そんな彼女に心を奪われ、秘やかに愛を育む。奈良へ旅立ち、霞は激しく燃える。だが、伊織は笙子との関係も切れずにいた。ふたりの女性のはざまで揺れる男心を描いた不滅の名作。
妻との離婚が現実のものとなっていくなか、伊織は霞をともなってヨーロッパへ旅立つ。性愛の極みを次第に昇りつめる霞、徐々に離れていこうとする笙子。どちらを本当に愛しているのか。結論を出せない伊織。移ろいゆく季節とともに、ひとつ、またひとつ、愛は去っていくものなのか。甘美なまでの愉楽。烈しくも雅やかな情痴。切なく、はかない男と女の結びつき。究極の愛を謳いあげた代表作。
長州征伐。欧米列強の四国艦隊の下関砲撃。風雲急を告げる情勢下、突然、勝海舟が軍艦奉行を罷免される。寄る辺なき龍馬たちは西郷隆盛の援助で亀山社中を結成し、海運に乗り出す。かたや薩摩への怨嗟に燃える長州、かたや主導権を握らんと虎視耽々の薩摩。時局打開のためには両雄藩の連合をおいてほかないと、その仲介に龍馬が乗り出した。まったく新しい視座から肉迫した龍馬伝、いよいよ佳境。
テレビ報道記者のブリットが目覚めた隣には、刑事ジェイの全裸死体。前夜の記憶が全くないまま、ブリットは殺人容疑を掛けられ仕事も追われる。死ぬ直前まで、ジェイが彼女に告白しようとしていたことは何なのか?ブリットは、5年前に同様の経験をした元消防士のラリーと真相究明に乗り出すが大きな陰謀が二人の命を脅かす。ラストまで驚きの仕掛けづくしの傑作サスペンス。
法律事務所長・北見貴秋は、ドラッグ依存症による二ヵ月の入院療養から戻ったその日、幼馴染みの作家・今川が謎の死を遂げたことを知る。自殺か、事故か、それとも…。死の真相を探ろうとする北見の前に、ドラッグによって失われた記憶の壁が立ちはだかる。
2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号は地球を旅立とうとしていた。10年前に遥か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。はたして真相は究明されるのか?そして、木星軌道にいまも浮かぶ謎の物体モノリスの目的とは…前作を上回る壮大なスケールで全世界に興奮を巻き起こした傑作にあらたな序文・あとがきを付した新版。
“紅天”政府による最後通牒により、連邦宇宙軍蒼橋平和維持艦隊に撤退命令がくだった。EMP被害の救援活動中であるムックホッファ准将の部隊を残し、“星湖”基地へ帰還すべく蒼橋跳躍点へと向かうキッチナー中将率いる平和維持艦隊を、突如として、無数のビームが包みこんだ!紅天艦隊が奇襲攻撃をしかけてきたのだ。平和裏に撤退中の艦隊を、なぜ攻撃?かくて壮絶なる蒼橋跳躍点会戦の火ぶたは切って落とされた。
修学旅行先で、真夜中に目を覚ました少女は、左手の小指に巻かれた赤い糸に気づき、その糸をたどっていくが…(「赤い糸をたどって」)。百発百中の占い師から「あなたは将来、この人と結婚する」と言われた彼女は、顔も知らぬその男性に逢いに行こうと決意する(「運命の人、綾瀬幸太郎」)。まるで運命としか言いようのない、いくつもの奇蹟が織り成す、読めば必ず幸せな気持ちになれる恋物語。