2009年12月発売
キレ者として名高い監察官の等々力。彼の部下にと押しつけられたのは、見た目は完璧、超イケメンだが途方もないおばか…の池澤だった。躾のなっていない犬そのものの池澤に秘密を知られ襲われてしまう等々力。だが、次第に池澤の熱いハートにホダされて…。そんな中、ある事件が二人の関係に亀裂を…そして等々力の身に危険が!おばかわんこ池澤は等々力救出に間に合うのか?ハイテンション炸裂!LOVE。
高校生、馨の旦那様は、自分の通っている学校の保健室の先生。そして大財閥の三男。とびっきりのハンサムだけど常識はずれで、目的のためには手段を選ばない…というちょっぴり困った旦那様、貴継との極秘新婚生活は濃厚スイートー今日も、いきなりウェディングドレスに着替えさせられ記念撮影とか…。そんな馨が体育祭でリレーの選手に選ばれたことでまた一悶着。新妻高校生、過激な愛まみれの日々。
嵐の日に無人島で結ばれたディアナとマキミリアノだったが、無実の罪を着せられた彼女に彼が疑いの目を向けたことが原因で憎み合う存在となる。その後、妊娠が発覚したディアナは、生まれてくる子供のためにディエゴの求婚を受け入れた。しかし、結婚式当日、ディエゴはイグナシオの差し金で銃撃されてしまう。車椅子の生活を余儀なくされたディエゴはまるで別人のように陰鬱な性格になり、ディアナとの結婚生活には暗雲がたちこめていた。一方、ディアナの無実を知ったマキシミリアノは、再び彼女への想いをつのらせていた。双子の妹が替え玉を演じる妻、マルフィルへの違和感もつのるばかりだった。そんなとき、彼にイラサバル家の隠された過去が明らかにされる…。
長年の旅と探求がこの作家にもたらした、深沈たる一滴、また一滴ー。酒、食、阿片、釣魚などをテーマに、その豊饒から悲惨までを、精緻玲瓏の文体で描きつくした名短篇小説集は、作家の没後20年を超えて、なお輝きを失わない。川端康成文学賞を受賞した「玉、砕ける」他、全六篇を収める。
海坂藩士・葛西馨之介は周囲が向ける愍笑の眼をある時期から感じていた。18年前の父の横死と関係があるらしい。久しぶりに同門の貝沼金吾に誘われ屋敷へ行くと、待っていた藩重役から、中老暗殺を引き受けろと言われるー武士の非情な掟の世界を、端正な文体と緻密な構成で描いた直木賞受賞作と他4篇。
博雅のもとを夜な夜な訪れる異国の美しい女性。語れども声は聞こえず、哀しい眼で見つめ、翌朝には、残り香とともに消えるその女が気になった博雅は、晴明に相談する。晴明は、帝より博雅が賜ったという、吉備真備が唐より持ち帰った音のならぬ琵琶に興味を惹かれる。果たして女性の正体は?「月琴姫」など全九篇を収録。
A新聞の「読者のニュース写真年間最高賞」に輝いたのは、東名高速での凄惨な事故の報道写真だった。“十万分の一”と評されたそのシャッターチャンスは果たして本当に偶然なのか?すぐれた作品を残したいというアマチュア・カメラマンのエゴイズムを軸に「作られた報道写真」問題を活写した社会派ミステリー。
新作の撮影中に謎の失踪を遂げた鬼才の映画監督・大柳登志蔵。すでにラッシュは完成、予告編も流れているが、実はこの時点で作品の結末を知るのは監督のみ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の「犯人」を推理しようとするが…。『探偵映画』というタイトルの映画をめぐる本格推理小説。
原子力潜水艦内で乗組員多数が謎の攻撃により変死、アメリカ海軍は海底基地に調査員を派遣する。一方、新種の鯨を追う学者・須藤もパイロットのホノカとともに同海域に潜航開始した。軍、企業、テロ組織の思惑が絡み合う深海教千メートルの世界にひそむ脅威とは!?圧倒的リアリティの傑作海洋冒険小説。
スポーツクラブに通う有閑マダムたちの悪意と、ひそやかなアバンチュールの結末を鮮やかに描いた表題作、上京して娘と再会した父親が、都会で必死に生きる娘の意外な一面を垣間見る「娘の部屋」など、閉塞した日常に倦み、恋に焦がれるさまざまな女性たちの揺れる心に寄り添う、6つの恋愛短篇。文庫オリジナル。
どこにでもありそうな地方都市の、よくある退屈なオフィスで、上司に怒鳴られ後輩から軽んじられる三十歳手前のOL。疲れ果てたある日、ふと立ち寄った不思議な理容店。女主人からマッサージを受けているうちに睡魔に襲われる。目覚めてみると鏡の中の自分は別人になっていた!現代の痛快な変身譚六話。
下級役人の甚八郎は、三代将軍足利義満の命により、遣明使の右筆という大役を命じられる。一行には一山当てようとする商人、渡明で箔をつけようとする僧も加わって、甚八郎は右往左往。しかしその裏では、日本国の根幹を揺るがす陰謀が進行していたー。明までの航海を、史実に基づき描いた壮大な歴史小説。
近代日本美術の父・岡倉天心の直筆画が発見された!?「筆を持たない芸術家」と呼ばれた天心の実作はきわめてまれだが、神永はズバリ、破格の値をつけた。果たして本当に天心の作なのか。
『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく。天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる。このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。この作品で第24回織田作之助賞を受賞している。