2009年5月25日発売
ある大きな戦争で崩壊した近未来世界。金も居場所もなくなった元戦闘員の三人組が、偶然、手に入れたオンボロ戦艦「銀鼠号」で海賊稼業を始めることになった。用心深く情に篤い灰汁、冷静沈着で陽気な可児、短気であくどい鼻裂。勢い込む三人だったが、戦艦は超低スピード、肝心の機関砲が使えない…。プロペラ巨人、泥豚、雲人間など未知なる生物が次々現れるシーナのドキドキ海洋大冒険SF。
時は明治。琉球の下級士族の家に生まれた富名腰義珍は、生来の病弱を克服するために門外不出の秘伝であった唐手を学びはじめる。ひたすら同じ型を練り続ける日々の中で義珍の心身は強靱になり、修行にのめり込んでいく。そして時は移り、教育者となった義珍は、唐手を青少年の育成に役立て、古伝の精神を本土に普及させることを決意する。琉球秘伝の「唐手」を極め、本土に「空手」を伝えた男の生涯。
帽子デザイナーの木之内冬子は、28歳で子宮摘出の手術を受けた。かつての愛人で有名建築家の貴志祐一郎とよりを戻すが、女としての魅力をなくしてしまったのではないかと煩悶する。やがて、別れを決意するが…。店の顧客である教授夫人との同性愛体験、貴志の部下からの求愛など、様々な愛の経験を通じて女としての歓びを取り戻していく。限りなき性の悦楽と女性再生への葛藤を描いた異色の大作。おとなの恋愛小説コレクション第3弾。
宿題、勉強ああ嫌だ…机にむかうフリをしながら現実逃避のためにページを繰った少年は、いつの間にか物語の主人公として大海原にこぎだすはめに。そこは奇妙でハチャメチャな別世界。元の世界に戻るためには、物語の中を逃げ続ける作者を捕まえなければ!退屈な日常をがらりと変える豊かな空想の世界。大人から子どもまで、読み始めたらとまらない奇想天外なファンタジーが新装版で復刊。
命運を賭けた決戦に大敗し、満身創痍となった艦隊を敵本拠星系から無事に脱出させたギアリー大佐。次々と策を用いて敵の裏をかきながら故郷をめざす途中、シュトラー星系で捕虜収容所を発見、救出に成功した!だが、その捕虜のなかには、ギアリー同様“伝説の英雄”と讃えられるファルコ大佐がいた。野心家の彼は艦長たちを扇動し、39隻の艦をひきいて艦隊を離脱、一路故郷の宙域をめざすが、そこには怖るべき敵の罠がー。
人面魔獣事件で重傷を負ったジョウには長期の治療が必要だった。その入院生活もようやく終わろうとした頃、病床のジョウは不可解な襲撃を受ける。それは暗黒邪神教事件以来消息を絶っていたクリスからの死の挑戦状だった。エスパーの国、神聖アスタロート王国をうちたてた美しき魔王は、銀河系の新たな支配者となることを宣言し、全人類の滅亡を予言してきたのだ!わずかな手懸りからジョウたちは捜査を開始するのだが。
アビーは故郷の南アフリカ-差別と呪術の国-を離れ、アメリカ人の男性と結婚し、常夏のハワイへ移住した。雨漏りする車庫や不親切な隣人たちに悩まされながらも、夫と甘えん坊の愛娘とともに平穏な暮らしを営んでいた。しかしそれは、束の間の幸せに過ぎなかった。友人に預けていた娘が、空飛ぶ凧を追いかけ路上に飛び出すまでの。アビーは娘を失い絶望の底をさまよった。救いはどこにもないように感じていた。だが、生まれ育ったケープタウンへの旅が、神秘的なアフリカの大地の鼓動が、彼女の人生を甦らせる。感動のデビュー長篇。
無人島に理想郷を築こうとした宗教組織が集団失踪した。そこで何が起こったのか?教団の足跡を取材中の女性フォト・ジャーナリストが発見した不可解な異物。そして彼女の周囲で起こり始める異変。数学者が、教団の教義から数学的に導き出した殺人連鎖とは何か?消滅したはずの教団は?カルト、廃墟、暗号、パラドックスなど、謎の迷宮の暗路に潜む真実を、数学論理が解き明かす、本格論理ミステリ。
遺伝子管理局が統括する12基の知性機械によって繁栄していた人類文明が、キルケー・ウイルスの蔓延によって滅びてから250年。25世紀半ばの中央アジアでは、疫病が各土地で風土病と化し、人々の移動を著しく制限していた。イスラム系のマフディ教団とロシア系の中央アジア共和国が微妙な均衡を保つ天大山系で、旧世界の科学技術を保持するミカイリー一族は、半世紀にわたってマフディ教団と共存してきた。だが、教団の勢力争いにより、次期当主候補の一人であるミルザは、重大な秘密をもつ少女フェレシュテとその母マルヤムとともに、中央アジア共和国へと亡命する。一方、もう一人の当主候補レズヴァーンを擁立した教団幹部のアリアンはミルザらの逃亡を機にミカイリー一族を処刑、XXYのレズヴァーンを“妻”として教団の実権を掌握するのだったが…。『グアルディア』『ラ・イストリア』に続くHISTORIAシリーズ待望の第3作。
中央アジア共和国イリ軍管区の保護下にあるフェレシュテは、精鋭部隊の少女リューダの護衛の下、辺境のクルジャから北部の町へ移送されることになった。だが道中の2人を、マフディ教団の実権を奪取したレズヴァーンと配下の殺戮機械パリーサが襲撃、フェレシュテは連れ去られ、リューダは瀕死の重傷を負う。そんなリューダを救ったのは、西方から侵入してきた騎馬民族カザークの首領ゼキであった。教団の女信徒たちを自爆テロリストに仕立て上げ、共和国との永続的な準戦時体制を維持しようとするレズヴァーンに対し、イリ軍管区司令官ユスフはゼキとの同盟を締結、共和国からの独立を画策していた。古えの知性機械ミカイールに一度だけアクセスできる“階梯”たるフェレシュテをめぐり、複雑にからみあう各陣営の思惑は、中央アジアを大いなる動乱へと導いていく…『グアルディア』を凌駕する近未来の英雄叙事詩ついに完結。
麻布永坂町の高稲荷。蕎麦屋から少し奥に入った局見世の入口に、人の腕が落ちていた。それも二度も。まるで“羅生門”のように。誰が何のために捨てたのか(「茨木の腕」より)。幕末のお江戸で今日も一大事。芝神明の目明し万吉、果敢に挑む。冴えた勘と粘り強い聞き込みで人様から恐れられる岡っ引き。街の裏側にはびこる有象無象を相手に、江戸中を駆け回る人気シリーズ第三弾。