2009年9月4日発売
鉄の結束を誇るGボーイズに異変が生じた。ナンバー2・ヒロトの胸の内に渦巻く、キング・タカシに対するどす黒い疑念。Gボーイズが揺らげば、池袋のパワーバランスも破綻しかねない…。タカシの危機にマコトはどう動くか?史上空前の熱き闘いを描く表題作はじめ4篇を収録した、IWGP第7弾。
人に恐れられる隠密という存在も、巨大な組織からすれば卑小な歯車に過ぎないー命令権者に忘れられた男の悲哀を描く表題作ほか、歴史短篇「上意討」、悪女もの「佐賀屋喜七」など、作家デビュー前に書かれた15篇を収録。文庫化に際し、藤沢の浮世絵への並々ならぬ関心を知ることが出来る「浮世絵師」を追加した。
「そろそろ時間切れです。心の準備をして下さい」。メイに差出人不明のメールが届いた日から、夫は別人のように変わってしまった。しかも夫はその後、殺人容疑で逮捕される。続発する事件と過去とが繋がったとき、思いもよらぬ真相が明らかに。震災後の神戸を舞台に、愛の再生を描いた傑作長篇ミステリー。
昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。
R省の局長を父にもつ田沢輪香子は、旅で知り合った考古学好きの青年と深大寺で再会する。和服の女性と一緒のその青年は小野木喬夫といい、東京地検の新任検事であった。喬夫と連れの女性・結城頼子は仮度かの逢瀬を重ねてきたが、頼子は喬夫に素性を明かすことはなかった。輪香子はその後、喬夫と交流をもつようになる。
結城頼子の夫は政治家がらみの情報ブローカーで、R省を舞台にした汚職事件に深く関わっていた。特捜部の担当検事として捜査をし、喬夫は初めて頼子の真の姿を知る。悩んだ末に新たな道に踏み出そうとする喬夫だが…。新任検事と被疑者の妻の悲恋を、彼に憧れる若い女性の思慕と対比して描いた異色の恋愛小説。
愛娘を亡くした痛手を癒すべく島に移り住んだ女性を見舞った想像も絶する危機とは?平凡な女性の勇気と再生を圧倒的な緊迫感で描き出す「ジンジャーブレッド・ガール」、静かな鎮魂の祈りが胸を打つ「彼らが残したもの」など、切ない悲しみから不思議の物語まで、天才作家キングの多彩な手腕を大いに見せつける傑作短篇集。
麻生家に通う途中で見かけた新内流しの娘の視線に、思惑を量りかねる麻太郎。ある日その娘がひったくりに遭い、その荷物を麻太郎が取り返してやるのだが…。麻太郎、花世、源太郎たちが大活躍する表題作をはじめ八篇を収録。次巻より、文明開化の東京へと舞台を移す人気シリーズ、「江戸のかわせみ」の掉尾を飾る一冊。
新宿のスラムで育った亞宮柾人は、ストリートギャング同士の抗争で逮補され、矯正施設に送られる。だがK七号施設と呼ばれるそこは、政治・思想犯専用の刑務所だった。囚人による自治が認められ、一見、自由で新しい施設だが、柾人は陰謀のにおいを感じ、真相に迫ろうとする。思想と信仰の危うさに迫るノンストップ近未来サスペンス。
同僚にプロポーズされたのを機に、不倫中の上司と別れる決意をした朋絵だったが、最後のデートを後輩に目撃され…。男と女の間に流れる、もはや愛とは呼べないくろぐろとした感情、女と女の間の、友情とは呼べない嫉妬や裏切り、優越感。女たちの心に沈む思いを濃密に描きだした、八つの傑作恋愛短篇。
昭和7年夏、秋野暮愁が主催する暮愁庵句会で出会った三人娘ー大学教授の父を亡くしたばかりの阿藤ちゑ、東京女子医学専門学校の学生・池内壽子、そして浅草芸者の松太郎。句会を通して友情を育む娘たちの恋模様を、古き良き東京を背景に瑞々しく描く。読めば思わず一句詠みたくなる、出色の“句会小説”。