2010年9月発売
人間の世界で研修中の天使・マリと、落ちこぼれの悪魔・ポチが流れ着いた町では、奇怪な事件が続発していた。寝たきりの老人がコンビニをメチャクチャに破壊して店員に大怪我を負わせたり、気弱な妻が自宅に火をつけて夫と愛人を焼き殺したり…。マリとポチは、事件の背後に潜む「影」の存在に気がつくのだが、「影」はある企てのために、あらたな標的を見つけていたー。天使と悪魔シリーズ第7弾。
“絶対的な悪意”七瀬美雪が逮捕され、平穏が訪れたかに思えたのもつかの間、収監された美雪は、自ら呼び出した後藤と石井に告げるー私は、拘置所の中から斉藤一心を殺す…。拘束された身である美雪には、物理的に不可能な殺人の予告。しかし、彼女の目はなぜか自信に満ち溢れていた。本当にそんなことが可能なのか!?後藤は疑心にかられつつも、一心を守ろうと決意する。八雲の叔父を狙う、美雪のその真意とはー。
お堂で一心が刺された!?監視の目をかいくぐり犯人はどうやって事を成し遂げたのか?石井をはじめ、みなが疑心暗鬼になる中、八雲は拘置所で、殺人を告げた七瀬美雪と対峙する。一方、一心が収容された病院では、院内を少女の幽霊が彷徨っているという噂が!?絡み合う複数の出来事が、ひとつの点で結びついたとき、八雲と晴香は、深い悲しみと向き合い、大きな決断を迫られることに…シリーズ最大の悲劇、ここに完結。
十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。
岩手県沖の小島、偲母島の断崖で、島長の海洞貞次の他殺死体が発見された。捜査をすすめる藤田警部補は、この島が地元の人々から「死墓島」という不吉な名前で呼ばれていることを知る。由来は、島に残されたおびただしい数の墓石だった。なぜこんなに多くの墓石が残されているのか。閉鎖的な島民達を相手に捜査を開始した藤田は、次第に死墓島の裏の歴史を知ることとなるー。横溝正史の正統な後継者が描く、傑作長編推理。
重力の井戸ーそれは、宇宙に棄てられた民が母なる地球を指して言う言葉。敵対するネオ・ジオンとともに地球に落ちたバナージは、過酷な砂漠越えの中で自然と対立し続けてきた人間の業を体感する。一方、ネオ・ジオンと共闘するイスラム系反政府組織は、連邦政府首都への襲撃を計画。白人社会への積年の怨讐が巨大殺戮マシーンの暴走を呼び、街は炎の海と化す。宗教、格差社会…混迷する現代を映し出すSF巨編、第6弾。
僕と幽霊のおじいちゃんが暮らす魔法の塔に、はた迷惑な住人が増えた。秘密の部屋の魔法円からやってきた魔女エスペロス。見た目はかわいい女の子なのに、実はものすごいお婆ちゃん。そのうえその気になれば世界を壊せるくらいの力を持っているらしいんだ。しかも彼女は、僕や親友の信久といっしょの高校に通いたいと言い出した。おかげで僕の穏やかな(予定)高校生活が大変なことにー!?大人気「魔法の塔」シリーズ第3弾。
大阪府警今里署のマル暴担当刑事・堀内は、淇道会が賭場を開くという情報を拇み、開帳日当日、相棒の伊達らとともに現場に突入し、27名を現行犯逮捕した。取調べから明らかになった金の流れをネタに、業界誌編集長・坂辺を使って捕まった客を強請り始める。だが直後に坂辺が車にはねられ死亡。堀内の周辺には見知らぬヤクザがうろつき始める…。黒川博行のハードボイルドが結実した、警察小説の最高傑作。
暑気の強まる江戸の町。いつものように真っ昼間から酒を飲んでいた浪人・曾路里新兵衛は、岡っ引きの伝七から、とにかく来て欲しいと頼まれる。暴れている女やくざを何とかしてくれというのだ。紙問屋の帳場に居座り、片肌脱ぎで威勢よく啖呵を切る女から事情を聞くと、妹を襲った男を捜しているという。情に厚い新兵衛は暴漢捜しを手伝うことにするが…。酔うと冴え渡る「酔眼の剣」を使い悪を討つ、人気シリーズ第2弾。
大家族の長女に生まれた天下無敵のしっかり娘ヒロちゃん。ところがバイトにやってきた那覇のゲストハウス・ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。昼夜二重人格のオーナー(代理)や、沖縄的テーゲー(アバウト)を体現するような双子の老ハウスキーパーなど規格外の職場仲間、さらにはワケありのお客さんたちにも翻弄されながら、ヒロちゃんの夏は過ぎてゆくー南風が運ぶ青春成長ミステリ、待望の文庫化。
まぶしい日射し、あふれる緑、静寂に満ちた、聖マルグリット学園ー極東からの留学生・久城一弥と智恵の泉を持つ少女、ヴィクトリカは初めての夏休みを迎えた。大図書館で、庭園で、芝生で、謎を解き、世界を語る2人の距離は少しずつ近づいてゆく。やがて訪れる大きな嵐の予感すら、この輝きを曇らせはしないのだー。人気ミステリシリーズの名探偵コンビ、つかの間の安らかな日日を描いた外伝短編集。
エスカレートする遊びの中で、少年と少女が禁じられた快楽に目覚めていく「少年」、女に馬鹿にされ、はずかしめられることに愉悦を感じる男を描く「幇間」、関東大震災時の横浜を舞台に、三人の男が一人のロシア人女に群がり、弄ばれ堕ちていく「一と房の髪」など、時代を超えてなお色鮮やかな、谷崎文学の真髄であるマゾヒズム小説の名作6篇。この世界を知ってしまったら、元の自分には戻れない。
『桜ハウス』と名づけた家でハウスシェアをしていた女たち。蝶子36歳・遠望子31歳・綾音26歳・真咲21歳。あれから十数年の月日が経ち…。今明かされる真咲の離婚の真相。婚約破棄を繰り返していた綾音が、選んだ男。遠望子のもとを訪れた女の目的は?そして、蝶子に新しい男が!?一生懸命に生きるからこそ、どこかコミカルになってしまう30〜40代の女たち4人を小気味よく描く傑作連作集。
完さんが日本に帰ってきた!明治の政府になって早7年。江戸の広告代理店、広目屋「藤由」の居候から、アメリカでのジャーナリズム体験をひっさげ、今度は東京日日新聞の居候となった香冶完四郎。人気の新聞錦絵をひと目みるなり、不審の数々を暴き出す推理の冴えは昔のまま。免許皆伝の剣をステッキに替え、いまや売れっ子戯作者となった仮名垣魯文らと事件の真相を探る。人気シリーズ第4弾。
時は安土桃山。運命的に出会った四人の若者が一座を結成した。驚くべき速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲のお国一座の笛役者・小平太。信長の従者だった黒人の太鼓叩き・弥介。べらぼうに喧嘩の強い天性の舞姫・ちほ。型破りな芸で熱狂的に民衆に迎えられた彼らは、やがて、庶民への支配を強める秀吉に立ち向かうことにー。エネルギッシュで爽快な、第20回小説すばる新人賞受賞作。
室町後期、荘園の新代官として赴任することになった僧の清佑。村のものどもを愛子と思った撫育するよう老師から言われたが、村人たちは一筋縄ではいかない。食うや食わずの生活では、どんな手を使っても生きのびることが第一なのだ。寺で純粋培養され、理想に燃える代官と、代官でさえうまく利用しようとするしたたかな村人たち。清佑の一方通行とも見える彼らへの思いは実を結ぶのか。第14回中山義秀文学賞受賞作。
気になる男性と出会うたび、「この人と結婚するかも」って直感する。けど、結果はいつも外れ。このままじゃ私、ただのイタい妄想独身女!?二度と変な直感は抱かないと反省したのも束の間、英会話教室で出会ったケンのことが早速気になって…(『この人と結婚するかも』)。その他、迷走する男の勘ちがいを描く『ケイタリング・ドライブ』を同時収録。
1558年、アン・ブーリンの娘エリザベスが念願のイングランド女王に即位する。国の安定を求めて国内外の権力者との結婚を進言する国務長官ウィリアム・セシルをよそに、エリザベスは幼なじみで国賊の汚名を被るロバート・ダドリーに夢中だった。ダドリーもまた、貞淑な妻エイミーをないがしろにし、宮廷に入り浸る。恐ろしいほど激しい人間関係を描いた、史実に基づく壮絶な物語。待望の人気シリーズ第3弾。