2011年2月発売
彫刻家・遠野公彦は、モデルのリンダをひと目見た瞬間に「ひらめき」を感じた。彼女の可憐かつ扇情的な振る舞いは、四十二歳の独身芸術家に創作意欲だけではなく、別の感情までをも沸き立たせてしまった。ヌードを拒むリンダを脱がせるため、遠野の悪戦苦闘が始まるー(「充血性海綿体」)。情けなくも愛すべき男たちの「悲哀」をユーモアたっぷりに描いた異色の七編。
シャドー・モセス島事件後、反メタルギア財団『フィランソロピー』として活動するスネークとオタコン。新型メタルギアの情報を入手するため、スネークはハドソン川を航行中の偽装タンカーに潜入するが…。2年後、武装集団に占拠された『ビッグ・シェル』へ潜入したのは、VR訓練を受けただけで実戦経験のないフォックスハウンドの隊員、雷電だった。雷電はそこでどんな敵に出会うのか?そして、スネークの行方は。
歴史上の偉人たちの遺伝子から生み出された、究極の“超人”たち。彼らは少年少女の姿に恐るべき力と残虐性を秘め、謎の組織MESSIAHのもと暗躍を続けていた。偶然彼らの秘密を知った女子大生ひとみは、友人のジーンと共に彼らに狙われることに。一方“人類の敵”と呼ばれる男のクローンでありながら、敢然と組織に敵対する青年ヴォルフは、ひとみを守ろうと血みどろの死闘を繰り広げるが…!?未曾有のダーク・オペラ、第2弾。
義父の陰謀に堕ち、絶海の孤島に送られた秋生。そこは表向きは更生施設と呼ばれていたが、実際は少年達を酷使し麻薬の原料を育てていた。高貴な美貌と邪悪なほど淫らな雰囲気を持つロシア系の美少年クリス、手負いの獣のような激しさを秘めた海人。性と血の饗宴が繰り広げられる、逃げ場のない島で出会った孤独な魂。切ないほどに互いを憎みそして愛する、絶望の日々の先にあるものは…。耽美の女王代表作、待望の文庫化。
伊沢吾郎、82歳。かつて日本陸軍の狙撃手としてフィリピン戦線で戦った男は、軍人恩給をもらいながら、孫娘の結と山奥でひっそり暮らしていた。しかし、ひとりの少年の失踪事件をきっかけに、雪山は緊迫感に包まれる。伊沢の動向を監視する謎の男たち。複雑に絡み合う思惑…。囚われた過去を背負いながら、老兵は愛する人を守るため、再び立ち上がった。ベストセラー『償いの椅子』の著者が描く、強く優しい絆の物語。
元は江戸屋敷勤番の侍だった月村四十郎。この男、からすにつきまとわれているため“からす四十郎”と綽名されている。病気の妻を抱え、用心棒稼業で糊口をしのいでいたが、借金は増えるばかり。易者に「死相が出ている」と言われ自棄になった彼は、礼金は高いが用心棒仲間も嫌がる化け物退治を引き受ける。油問屋に巨大な人魂が出るというのだ。だがその人魂の正体は…。人気著者が放つ、新シリーズ第1弾。
1945年、夏。特攻要員の宣言をされた僕が配属されたのは、「伏龍隊」。機雷を持って海に潜り、敵上陸艇を爆破して自らも海の藻屑となる任務だ。来るべき「死」へ向かって訓練を重ねる日々。そんな中でも日常は続いてゆく。友情、上官への反目、海のきらめき、カレーの味…だが、ある日の訓練中、僕の前で友人が死んだ。そして、戦況は悪化の一途を辿り…。比類ないみずみずしさで描かれる、新時代の戦争文学。
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。素質はすばらしいはずだが、まだまだ半人前の見習い陰陽師。相棒の物の怪とともに、祖父の晴明にからかわれながら修行に励む日々である。ところがそんな中、内裏が炎上するという事件が起きた。昌浩は独自に調べをはじめるが、その背後に外つ国からやってきた妖異がかかわっていることが判明しー!?新説・陰陽師物語登場。
イタリアの小村の教会から申告された『奇跡』の調査に赴いた美貌の天才科学者・平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。彼らがそこで遭遇したのは、教会に角笛が鳴り響き虹色の光に包まれる不可思議な『奇跡』。だが、教会の司祭は何かを隠すような不自然な態度で、2人は不審に思う。やがてこの教会で死体が発見されてー!?『首切り道化師』の伝説が残るこの村に秘められた謎とは!?天才神父コンビの事件簿、第3弾。
千鶴子への愛と宿命のはざまで心乱れる護良。許されない相手に焦がれる東湖の悲恋。もう二度と会えない千鶴子を忘れられず苦しむ真白…ほか、ここでしか読めない特別書き下ろしを加えた全7編。本編では語られなかったエピソードを集めた最高に切ない短編集。
超セレブ・綾瀬ミホは、白百合女学園の高校2年生。男勝りな素性を隠し、学園のマドンナと呼ばれる完璧なお嬢様生活にうんざりしていた。そんなとき突然、現れたスーパー☆美フェイス☆イケメン!!びっくりして男を投げ飛ばし怪我をさせたことでミホの生活は一転!?この男、実は南校6代目と呼ばれる有名ヤンキー・千里でー破天荒な凪、フェロモン爆裂の葵、爽やか兄貴の与四郎、キューティーポーイひなた、ジョーシキハズレな千里の仲間たちも加わってとんでもないことが起こる。第4回iらんど大賞最優秀賞。
十九歳、夏、陽光の中を笑い転げながら歩いている私たち。ハニーズ。はちみつたち。とくべつな四人。四十歳に近づいた今でも、私は「ハニーズ」と私の恋とを注意深く分けている。ふたつが混じりあわないように。結婚、離婚、家族、恋愛ー9篇の傑作を収録した魅惑の恋愛小説集。
スペインが誇る名ジャーナリストが、世界的ベストセラー作家パウロ・コエーリョの自宅で1週間にわたっておこなった濃密な単独インタビューの集大成である。「今後20年間は自分の過去を語らずに済むことを願う」-作家がそう述懐したほど、アリアスのインタビュー手腕は卓越していた。1999年の出版と同時に大きな話題を呼んだ「幻の書」、待望の邦訳。
お江戸深川にゃんにゃん横丁。長屋が並ぶこの場所は、その名のとおり近所の猫の通り道。白に黒いの、よもぎにまだら。愛らしい猫たちがあくびをしているその横で、雇われ大家の徳兵衛は、今日もかわらず大忙し。悲しい別れや戸惑いの出会い。報われない想いや子を見守る親の眼差しー。どんなことが起ころうと、猫がニャンと鳴けば大丈夫。下町長屋の人情溢れる連作時代小説集。
風の吹くまま和史に連れられ、なぜか奈良で鹿にえさをやっているあたし(「ラジオの夏」)。こたつを囲みおだをあげ、お正月が終わってからお正月ごっこをしているヒマな秋菜と恒美とバンちゃん(「ざらざら」)。恋はそんな場所にもお構いなしに現れて、それぞれに軽く無茶をさせたりして、やがて消えていく。おかしくも愛おしい恋する時間の豊かさを、柔らかに綴る23の物語のきらめき。