2013年11月15日発売
モンテ・クリスト伯の仇敵たちが彼の正体を知るときは、すなわち身の破滅のときである。仕組まれた復讐の第一は、メルセデスの家出とモルセール伯の自殺で終わる。ヴィルフォールは肉親の相次ぐ毒殺に遭い、ダングラールは破産寸前まで追いつめられる。
人間はからだを責めて働かな嘘やー不屈の精神で孫娘を育てあげる男の明治から昭和にわたる波瀾の生涯を描いた「わが町」。自意識過剰で不器用な青年の成長の日々を点綴した自伝的小説「青春の逆説」。織田作之助(一九一三ー四七)の代表的長篇二篇。
祖母の旧友ヴィルパリジ夫人のサロンで、「私」はゲルマント公爵夫人とついに同席。芸術、噂話、ドレフュス事件など、社交界の会話の優雅な空疎さを知る。家では祖母の体調が悪化。母、医師、女中に見守られ、死は「祖母をうら若い乙女のすがたで横たえる」。
学問のためという一念で、妻の肉体を人体実験に供する町医者。未知の分野であった人体解剖の彩色図を、憑かれたように描く絵師。娼館設置をめぐり、ロシア人に遊女たちの性病検査を迫られ苦慮する長崎奉行所の役人。幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
バイトからのたたき上げである鮫島静緒は、百貨店の洋菓子部門でキャリアを積み重ねてきた30代半ばの苦労人だ。洋菓子以外にも手がけたフロアリニューアルが成功し、契約社員から晴れて正社員になったはいいが、突然の人事異動で男性ばかりの外商部に唯一の女性として配属される。実はカリスマ外商員・葉鳥の退職を控え、それまでに彼の顧客との太いパイプを繋げるべく、さまざまなメンバーが集められたのだった。これまで仕事では成功を収めてきた静緒だが、プライベートでは同僚・神野と別れたバツイチの身。勝手が違う外商の世界に戸惑いつつ、交渉成立を目指してお客様のところに足を運ぶがー。
農協の経理のような顔に、昭和の哀愁を感じさせる銀縁眼鏡。よれよれにくたびれたスーツに、安手のコート。ところ構わず葉巻の煙を噴き上げ、口を開けばディープな実予弁ー。冴えない外貌ながら、「猟犬」としては超一流の外田は、連続強姦殺人犯の行方を追って、愛媛を飛び出し、東奔西走の身。しかし、行く先々で、謎めいた殺人事件に遭遇する。それも、容疑濃厚な被疑者に限って鉄壁のアリバイに守られているのだ…。手強い犯罪計画の立案者たちを、外田はどうやって追い詰めるのか?あの、ぞなぞなコート野郎!惚けた顔をしてー!!
東に失言議員がいれば辞職の危機から救い、西に自殺志願者がいれば思いとどまるよう説得し、行方不明者のブログ代筆や替え玉受験、首の切断まで引き受けます!破天荒トリオが巻き込まれる、7つのミステリーと5つのショートストーリー。
何の変哲もない地方都市・磯原市(通称いそっぱら)を牛耳る会社「たたらフーズ」のワンマン社長、多々良萬福はある日突然、いそっぱらを一年中クリスマスの雰囲気にすると宣言、矢継ぎ早に指令を出し始めた。当然、社員も市長も議員も右往左往。萬福社長の目的は一体ー?「素直な人間愛に好感」(藤沢周氏)、「ドキドキ感が持続する、尋常じゃない引き込み力」(三浦しをん氏)と両選考委員絶賛の「アッティラ!」で2010年小説宝石新人賞を受賞しデビューした著者、会心の書下ろし長編。
厳格さで知られる初老の美術鑑定士と決して姿を見せない謎の女。美術と骨董とオークションの世界に彩られた鮮やかなミステリー。『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督による初めての原作小説。