2013年3月発売
『アルケミスト』の執筆直後、パウロは師であるマスターJに課題を与えられた。それは「守護天使と話し“誰もが自分の愛するものを殺す”という詩ののろいを解く」というもの。パウロと妻クリスは40日間の砂漠の旅を始め、守護天使に会うための条件を知るヴァルキリーズと呼ばれる女性集団に出会った。パウロとクリスは彼女たちと旅を続ける中、嫉妬や自己疑念、激しい恐怖と戦わなければならなくなるー。
何気ない会話や行動を「フラグ」として認識し、ありきたりな日常をドラマチックに変えてしまう謎の装置“フラッガーシステム”。平凡な高校生・東條涼一は、淡い期待と下心から、そのデバッグテストの参加者(主人公)を引き受けてしまうのだが…両親が海外へ転勤、家出少女といきなり同棲、ツンデレお嬢様とのラブコメ、魔法設定で悪の組織と闘い…etc.やがてフラッガーシステムは「ある意味」感動的なラストへ向けて、涼一が思いもよらない暴走をはじめる。
刑事、宇佐見の周囲で次々に不審な死を遂げる重要参考人や過去の事件の被疑者たち。これはただの偶然ではない…。疑惑の目は同僚の高口に向かうが、彼は病気を抱えた定年間近の男だ。そんな宇佐見の前に現れたのは高口の主治医、鈴村。怜悧な美貌と見事な肉体をもつ完璧な外科医…彼こそが死に神なのか…だがなぜ?鈴村と接触を図るうち、いつしか宇佐見の心は謎めく男に搦め捕られ、ついには家庭も捨ててしまうことに…。息詰まる惑溺のサスペンス。
俺とマコトは小学校時代からの腐れ縁だ。マコトは昔からドッキリを仕掛けるのが生き甲斐で、社長となった今も変わらない。そんなヤツが、史上最大の「プロポーズ大作戦」を実行すると言い出したー。天使よりも純情。悪魔よりも非情。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?第25回小説すばる新人賞受賞作。
安政七年三月、桜田門外の変。世に維新回天の軸がまわりはじめ、八年後の江戸無血開城に至るまで重要な役割を果たした男が三人いた。勝麟太郎、西郷吉之助、そして薩摩藩合伝流鉄炮師範で、十五匁筒の使い手・斬善次郎安綱。藩主・島津斉彬の謎の死後、実権を握った久光に疎んじられ、鹿児島城下の屋敷に軟禁されていた善次郎は、藩の運命をも左右するある秘密を守り抜くため、妻子を連れ脱藩。次々と襲いかかる討っ手に、百発百中の士筒が火を噴く!動乱の世に国を捨て、妻子の命を、藩の秘密を守るべくニューヒーローが駆け抜ける、痛快幕末エンタテインメント。
冗談と本気の狭間で怪しく躍動する麺々(面々)が、誰もが予想しなかったムーブメントを巻き起こす!!初代B-1グランプリでチャンピオンの栄冠に輝いた「町おこしの先駆者」の快進撃の秘密とは。
東京・高円寺。同じ夜に起きた医学部教授の自殺と女子高生の突然死。しかし、女子高生の姉・桜井礼子は妹の死に疑問を抱き、仲間達と原因究明をはかる。鍵を握るのは、もう一人の医学部教授と都市伝説カクシワラシ、そして謎の言葉“カジュアル”。人間の心に宿る究極の恐怖の謎に迫る書き下ろし長編ミステリ。
実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影ー?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でしたー。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。
90歳を超えるばあさんは「アキバ」のメイド喫茶に通い、かつて女中をしていた若かりし頃の思い出にふける。いつの世にもいるダメ男、わがままお嬢様、変人文士先生につかえる、奥深い女中人生…。直木賞受賞作『小さいおうち』の姉妹小説。
記憶を失い、過去までも失って300年後を生きるケンザキ、そしてハジメー。嵐に翻弄される方舟、天蓋都市の底辺で虐げられた人々、脱獄不能の囚人島…。過酷な状況の中、覚醒していくライダーたちの戦いの先にあるものとは!?-。
人間の父とファンガイアの母を持つ紅渡。彼の中では二つの種が激しくぶつかり合う。渡のたどる運命は、しだいに渡の父・紅音也と複雑に交錯してゆく。父と息子、音也と渡がすべてをかけてまで最後に守ろうとしたものとは!?-。
屋敷の中央をつらぬく螺旋階段。その底は牢獄のように暗く、厳重に旋錠され、陰惨な過去を封じ込めてあるのだという。その家に嫁いできた彼女の目的、それは「螺旋の底」をあばくこと。また、いっぽうの夫も彼女を迎え入れたのには「ある理由」があったー。
江戸時代にも「占い」は流行し、女性たちはそのお告げに一喜一憂していた。実際に出版されていた占い本「女用知恵鑑宝織」。女の吉凶を生まれ月ごとにズバリあてるこの本をめぐる女の喜びと悲哀ー。月ごとの風物を織り込みながら、江戸の女の恋愛を生き生きと描き出す、切なくも愛らしい傑作時代小説。
グループホームで働く千鶴は結納前日も夜勤が入り、入居者たちはそれぞれの方法で千鶴を祝い…(「Aデール」)。四十年以上前に失踪した初恋の女性・葉子に会うため、窪木は孫娘の園を連れて、葉子の入院する病室を訪ねる(「布袋葵」)。四雁川の流域に暮らす者たちを通し、生死や悲喜に臨む姿を静かに描く七篇。
社長命令で、突然ニューヨークシティマラソンに参加することになった安部広和。かつて家庭教師をしていた社長の娘・真結を監視しろというのだ。(「純白のライン」三浦しをん)ニューヨークで、東京で、パリで。彼らは、ふたたびスタートラインに立ったー。人気作家がアスリートのその後を描く、三つの都市を走る物語。
中国で発生した謎の疫病ーそれが発端だった。急死したのちに凶暴化して甦る患者たち。中央アジア、ブラジル、南ア…疫病は急速に拡がり、ついにアウトブレイクする。アメリカ、ロシア、日本…世界を覆いつくす死者の軍勢に、人類はいかに立ち向かうのか。未曾有のスケールのパニック・スペクタクル。大作映画化。