2013年4月13日発売
城下町、小田原。介護施設の同僚だった朝子と正人、梓と卓也は恋人同士。けれど以前はお互いの相手と付き合っていた。新しい恋にとまどい、別れの傷跡に心疼かせ、過去の罪に苦しみながらも、少しずつ前を向いて歩き始める二組の恋人たちを季節の移ろいと共にみずみずしく描く。
テロ組織「黒い三角定規」が、いよいよ浜村渚に直接対決を挑んできた。渚と武藤龍之介をミュージカル劇場に招き寄せ、一次方程式を解けという。だが、その問題は普通のやり方では解けないうえに、「黒い三角定規」の驚くべき策略を示唆するヒントまで仕込まれていた!シリーズ第五弾、文庫書下ろしで登場。
13年前の夏休み最終日、僕は「裏山」でロープを首に巻いた美少女を見つける。自殺を思いとどまった少女は、私の命をあなたに預けると一方的に告げた。それから7日間、ばらばらに存在する人や思いや過去が繋がりはじめた。結末は何処に?切なさと驚きに満ちた鮮烈デビュー作。第42回メフィスト賞受賞作。
母親と東京に住む小学生のハヤトは、同じ団地のトンダじいさんから「一生に一度のお願い」を頼まれる。それは古いオルゴールを鹿児島に届けること。福知山線の事故現場、広島の原爆ドーム、父さんの再婚ー出会うものすべてに価値観を揺さぶられながら、少年は旅を続ける。直木賞作家が紡ぐ心温まる成長物語。
カフェ・バークマンに勤めながら脚本を書いているユダヤ人のエリック。継父と団地に住むヒスパニックの少年トリスタン。妻と別れ息子たちをもてあますアイルランド系の刑事マッティ。一人の青年の死が人々の哀しみに光を当て、それぞれの人生を静かにつないでいく。米読書界絶賛の傑作長編。
満員電車でふと自分の手に触れた冷たい手。間違いなく、それは38歳で死んだ嫁の手だった。生前からちょっと変わったところのある女だった嫁が、どうしても伝えたかったこととは。表題作「嫁の遺言」の他、不器用だけれどあたたかい人情に溢れ、人間がいっそう愛おしく思えてくる注目女流作家の珠玉短編集。
小中高といじめられ続け、入社した会社もすぐ解雇。究極のダメ男・鈴木信男は、なぜか一流広告会社に採用される。そこで命じられたのは、エリート社員たちのストレスの捌け口となる「被取締役」の極秘任務だった。かつてない“下から目線”で仕事の本質を衝いて反響と感動を呼んだ、ドラマ原作大賞受賞作。
天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。
稲村に勝つため、階級転向を希望する鏑矢。しかし監督はそれを認めない。一方、優紀は「いつかカブちゃんと戦いたい」その一心でデビュー戦に向けた練習を重ねていた。選抜予選大会3日目、ついに鏑矢と稲村の対戦が始まる。そして幼なじみ二人がグローブを重ねる瞬間がやってくる。圧倒的青春小説決定版。
「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす「ねじれ」の諸相に、斬新な語りとポップな感性で切り込む。全米で話題騒然の新人による、異色の9篇を収めた連作短篇集。“ニューヨーク公立図書館若獅子賞”受賞作品。