2013年4月発売
天正十七年、小田原。二年ぶりに帰参した豊臣秀勝は、真砂五右衛門からひとつの忠告を受けるー「敵は外ではなく、内にいる」。混迷する太閤・秀吉の天下。そこに下されたひとつの命。「天皇を助けて秀吉を討ち取った者が次の天下人である!」伊達、徳川、蒲生、細川、そして豊臣秀次・秀勝兄弟…。己の天下を目指して、皆が一斉に「秀吉の首」を狙う!果たして次の天下人は誰か?-。
孫権のもとで発展を遂げた呉に目をつけた曹操。しかし呉の周瑜は曹操の求めに従わず、天下三分の計を持論とする孔明に煽られ、開戦へと突き進む。互いに策謀を巡らせながら、赤壁において両軍はついに激突。そして孔明の能力が次の脅威となるを恐れた周瑜は、彼の命を狙うー。物語最大の山場を迎える、野望と決戦の第六巻。
蓮華王院三十三間堂。兄の仇と一門の汚名返上に奮い立つ伝七郎に対峙した武蔵は、一太刀であたりの雪を赤く染め上げた。これにより吉岡方の恨みは頂点に!次なる舞台は、総勢七十余名の待ち受ける一乗寺下り松。圧倒的不利の状況で次々と挑みくる敵を無心に斬り続け、武蔵の肉体が限界を迎えたその時、遂に二刀流が生まれたー。血潮飛び散る苦闘の第四巻。
両親を亡くした卯乃は、筑前黒田藩で権勢を振るう立花重根に引き取られたが、父の自害に重根が関与したと聞き、懊悩のあまり失明してしまう。前藩主の没後、粛清が始まった。減封、閉門、配流。立花一族は従容として苦境を受け入れるが追及は苛烈を極め、重根と弟・峯均に隻腕の剣士・津田天馬の凶刃が迫る。己の信ずる道を貫く男、そして一途に生きる女。清新清冽な本格時代小説。
「その日を死に番と心得るべし」との覚悟で幾多の合戦を生き抜いた藤堂高虎。織田信長亡き後、豊臣家に三顧の礼を持って迎え入れられるが、秀吉は茶々との愛欲に溺れ、天下人としての資質を失っていく。落胆した高虎は一時出家さえ試みるが、徳川家康から届いた一通の手紙に心を動かされ、再び下天を謀る決意を固めるー。「戦国最強」との誉れ高い異能の武将を描く本格歴史小説。
石田三成らの讒言により豊臣家から疎まれた藤堂高虎は、家康の人柄に魅了され徳川家に接近。類い稀なる諜報能力を駆使して、家康の危機を救うこととなる。そして訪れた太閤秀吉の死。高虎は外様でありながらいち早く旗幟を鮮明にして東軍に付き、雌雄を決する合戦に挑む。その唯一の望みは民が平和に暮らせる世ー。激動の時代を怜悧な判断力で巧みに生き抜いた男の人生を描く。
遙かな洋上にいる息子彰之へ届けられた母からの長大な手紙。そこには彼の知らぬ、瑞々しい少女が息づいていた。本郷の下宿屋に生まれ、数奇な縁により青森で三百年続く政と商の家に嫁いだ晴子の人生は、近代日本の歩みそのものであり、彰之の祖父の文弱な純粋さと旧家の淫蕩な血を相剋させながらの生もまた、余人にはない色彩を帯びている。本邦に並ぶものなき、圧倒的な物語世界。
両親を失った晴子は福澤家で奉公を始める。三男二女を擁する富と権力の家ーその血脈は濁っていた。やがて運命に導かれるように、末弟たる異端児淳三と結婚する。一方、母の告白により出生の秘密を知った彰之は、苛酷な漁に従事しながら、自らを東京の最高学府から凍てつく北の海にまで運んだ過去を反芻する。旅の終りに母子が観た風景とは。小説の醍醐味、その全てがここにある。
1920年代、イギリスの港町ブリストルに住む貧しい少年ハリーは、サッカー選手か世界を旅する船乗りを夢見ていた。しかし、意外な才能に恵まれ、進学校へすすんだ彼は、富裕層の御曹司たちから再三いじめを受ける。やがて名家出身のジャイルズという親友を得るが…。『ケインとアベル』より30余年、貴族と庶民の生きざまを描く著者畢生の最高傑作。壮大なるサーガ、ついに開幕。