2013年7月8日発売
八咫烏が支配する世界山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか…?
幼い頃からずっと自分を大事にできなかった“私”。理不尽な義父と気まぐれな母、愛情と暴力が紙一重の恋人に、いつしか私は、追いつめられていく。そんな日々のなか、私は、二十も年上の“あなた”と久々に再会する。そして婚約者がいるはずの“あなた”に、再び愛を告げられてー“あなた”と“私”…名前する必要としない二人の、密室のような恋。至上の恋愛小説。
時は昭和三年ー。名探偵唐草七郎の一番弟子にして閨秀の探偵・岡田明子のもとに舞い込んだ摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。三人とも左の耳に一粒の琉璃玉が嵌った、白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑、女掏摸、男装の麗人、旅芸人一座、変態性慾の男、老刑事、放蕩の貴公子…奇想天外、百花繚乱!幻の探偵小説が奇才の筆でいま蘇る!大発見を語った「尾崎翠フォーラム講演抄録」併録。
結婚して13年、ゲーム・デザイナーで小説家の卵のデイヴィッド・ペピンは妻のアリスを深く愛しながらも、妻の死をくり返し夢想せずにはいられない。そしてアリスは不可解な死を迎え、ディヴィッドは第一の容疑者となる。アリスの謎の死を捜査する刑事二人も複雑な結婚生活の経験をもつ人間であった。ウォード・ハストロール刑事は自分の意思で寝たきりとなる妻と静かな闘いを続け、かつて医師であったサム・シェパード刑事は数十年前、妻の惨殺について有罪判決を受け、のちに無罪と認められた過去がある。デイヴィッド、ハストロール、シェパードの人生ドラマがヒッチコック的サスペンスを高めながらエッシャーの絵のように絡み合うなか、メビウスという名の不思議な殺し屋があらわれる。「おれが小説を終わらせてやる」そして現実とフィクションは浸食しあい、読者を迷宮に誘うー愛と憎しみ、セックス、不倫、妊娠、摂食障害、鬱病など結婚生活における諸問題をユーモラスに時にグロテスクな色彩を帯びた文章で緻密に描き、同時にエッシャー的構造の小説化を試みる、実験的かつ大胆な驚異のデビュー作!