2013年8月27日発売
65歳の定年退職者ハロルド・フライは、癌で死にゆく友人に、ただお見舞いとありがとうを伝えるために1000キロの道を手ぶらで歩き始めた。本当は手紙を出すつもりだったのに、実際に会って伝えるべきだと思って……。 道中の心温まる感動的エピソードの数々、すっかり蓋をしてもう触れることのないハロルドの悲しい秘密……。 胸を打つ長編小説! 定年退職した65歳の男が、20年前に同僚だった女性のお見舞いをしたくて、ただただありがとうを伝えたくて、1000キロの道を歩き始める。 去来する人生の苦い記憶と“秘密”を踏み越えながら。 そして巡礼の最後に訪れる、深く静かな感動の救済ーー ナショナル・ブック・アワード新人賞受賞作 世界36ヵ国が涙したロードノベル! 自分はいまこの目に映るものの外側にいると同時に内側にもいる、この目に映るものとつながっていると同時にそういうものを突き抜けようとしている。 歩くとは、じつはそういうことなのだ。(中略) 携帯電話などなくてもかまうものか。あらかじめルートを考えなかったから、あるいは道路地図を買わなかったからといって、それがどうした。 自分には別の地図がある。頭の中にある地図が。 これまでに通ってきたすべての場所、これまでに出会ったすべての人からなる地図が。(本文より) (原題) THE UNLIKELY PILGRIMAGE OF HAROLD FRY
人間の生きてきた痕跡や事件までを消す「消し屋」の省吾は、政治家・轟の依頼により、本栖湖に本拠地のある新興宗教団体「真々教」を内部から探る。教祖の畠山織江は人殺しの前科があり、織江の孫、カリスマ性の高い美形の立花遙介は殺人を快楽の一つと捉えていた。新しい宗教に、人殺したちが集まったー。
怪奇小説家ハワード・フィリップ・ラヴクラフトと、彼と親しい作家たちの間で形成された架空の神話体系『クトゥルフ神話』。人間の情念のおよばない、より原初的な恐怖(宇宙的恐怖)を描くラヴクラフトの小説を起点とするその世界観は、現代においては小説にとどまらず、音楽・映画・ゲーム・コミック等、様々な媒体に共有され、「クトゥルフ神話」を知らずともその末端にも触れたことがないという人はいないのではないかという程に拡大している。数多くの作家が好き勝手に設定を作ったり無視したりして作られていることはクトゥルフ神話のひとつの特徴と言える。本検定はその混沌とした世界観はそのままに、「お約束」となっているような設定や、個々の作品の内容、またラヴクラフトとその周囲を中心とするクトゥルフ神話作家たちのエピソード等を問う。