2013年9月12日発売
プレンティス総統率いるアスク隊に入れられたトッド。ミストレス・コイル率いる反政府組織のアンサー部隊に加わったヴァイオラ。想い合うふたりは、心ならずも敵同士の集団に属することになってしまった。すれ違う心、届かぬ叫び…。だがそんな人間同士の争いを飲みこまんばかりの大軍が、ニュー・プレンティスタウンに迫っていた。虐げられていた土着の生き物スパクルがついに蜂起したのだ。このままではすべての人間の存在が危うくなる!第一部『心のナイフ』でガーディアン賞、第二部『問う者、答える者』でコスタ賞、そして本作でカーネギー賞と、三大タイトルを独占したYA文学の金字塔。
ヴァイオラが乗ってきた移住船が、この星に着陸する日が迫っていた。大勢の移住者がやってくるのだ。だが、スパクルと人間は一触即発の状態が続き、人間のあいだでも権力を独占しようとするプレンティス総統と、爆弾テロも辞さぬ反政府組織の指導者ミストレス・コイルは互いを信用せず、共通の敵を前に結束できずにいた。なんとかスパクルと人間との和平をまとめようとするトッドとヴァイオラ。一方スパクル側には意外な情報源がいて…。巻末に付録短編「新世界」を収録。カーネギー賞受賞。『怪物はささやく』の著者が贈る、驚異の三部作完結。
ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた十三人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の五十一%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのはーその五十一%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も…。いったい、なにがどうなっているのか?
暴行を受けて殺害されたらしい少女の死体が、車のトランクで発見された。少女はフィギュアスケートの若手ホープ。数日前彼女の演技を観たばかりのエスポー警察の巡査部長マリアは、ショックを隠せない。有力な被疑者としてノーラの母親につきまとっていた男が浮上するが…。産休目前のマリアが少女を巡る人間関係に捜査のメスを入れる。フィンランドで大人気のシリーズ第二弾。
ポルトガルのノーベル賞作家、ジョゼ・サラマーゴによる、みずからの少年時代の回想録。 圧倒的な言葉の奔流で紡がれる長大な物語ーーそれこそが「現代の語り部」サラマーゴのスタイルである。 しかし本書では、一転、そのはげしさは影をひそめ、ポルトガルの庶民生活の丹念な描写を通して、おだやかでやさしい、ときにはユーモラスな語り口で、幼なかったころの日々がつづられてゆく。 読みすすむうち、語り手の年齢も自分の年齢も消え、読者は、こども時代へとさかのぼる。いつしか手のなかに、小さいころ、道ばたで拾いあげた小石の感触すらもどってきそうな、小粒ながら、不思議な、知的で、品格のある魅力的な一冊だ。