2013年9月30日発売
昭和50年代、西新宿。小学5年生のオレたちにとって、街は格好の遊び場だった。高層ビルでかくれんぼ、新宿御苑でザリガニ釣り。公園のホームレスと仲良くなったり、ボクシング大会にサラ金ごっこと、大人のマネして叱られることもあった。そんなハチャメチャな日々が一変する出来事が…。あの頃の街、離れ離れになった仲間を懐かしく描き出す、笑いと涙の自伝的青春ストーリー。
緋錠前の作り手である緋名にある日、旗本三井家から注文が舞い込んだ。だが、頼まれたのは姫を幽閉するための、開かずの錠前ー。一方、緋名の幼馴染で髪結い師の甚八は、硯問屋の大門屋へ赴く。そこで彼は、美人と評判の末娘が惨殺されたことを知る。大店の娘殺し、神隠しの因縁、座敷牢に響く数え唄、血まみれの手…。この事件、一番の悪人は誰なのか。謎とき帖シリーズ第二弾。
蕎麦切りの名人だったお園は不貞を疑われ、奉公先を追い出されて…(「蕎麦切おその」)。女太夫が本気で惚れた乞食侍は花火造りに打ち込むが(「火術師」)。想いを寄せる下駄屋の倅は彼女の気持ちにてんで気づいてくれず(「下駄屋おけい」)。日本一の刀鍛冶になるべく全てを捨てた男を待っていた悲劇とは(「名人」)。職人たちの矜持が導く男と女の運命ー。きらり技輝る、落涙小説六編を精選。
咲き誇る藤棚の下、今小町と謳われた飛脚問屋の娘おさんは、大経師の浜岡権之助に見初められ嫁入りした。大経師は暦を開板する特権を朝廷から得ている家柄だが、権之助は暦作成を主導しようとする幕府の動きを知り、画策を始めた。一方、おさんは想い人が忘れられない…。天和年間に京で起きた姦通事件を元に近松・西鶴も作品に取り上げた、悲恋の心中物語「おさん茂兵衛」決定版。
大洋栄和銀行の上杉健は、問題があると思えば上司や官僚であろうと容赦しない広報部次長だ。横領、派閥抗争、大蔵省接待、インサイダー取引。数々の苦難を持ち前の正義感で乗り越えてきた上杉に、未曾有の金融不祥事が立ちはだかる!隠蔽を図る経営幹部たち。腐敗が極限にまで達した銀行の膿を出し切ることはできるのか?企業エンタテインメントの傑作。
アメリカ上陸と同時にハリーを待ち受けていたのは、突然の逮捕劇と不条理な刑務所暮らしだった!一方イギリスでは、皆がハリーの死の報せに打ちひしがれるなか、エマだけが愛する彼の生存を信じ続ける。真相を探るため、単身米国に乗り込むエマ。重大な真実を秘めたある本に出会い…。二つの家族の運命が大西洋を越えて揺さぶられる、大波乱の「クリフトン」シリーズ第2部。
時代は第二次世界大戦に突入。金策に苦しむヒューゴーは過ちを重ね、ハリーの母メイジーとの取引を目論む。そのころ、エマが必死に行方を追うハリーは、予想だにせぬ場所で生死を賭けた試練を迎えていたー。「生きて再会したい」エマの願いは届くのか?やがて彼らは、英国中を巻き込む大論争の的となっていく。名誉や金への野心渦巻き、変化する人間模様。
北海道の小さな村を郵便配達車でめぐる女。川のほとりの木造家屋に「フランシス」とともに暮らす男。五官のすべてがひらかれる深く鮮やかな恋愛小説。北海道の山村で出会った男女の恋愛の深まりを描きだす待望の第二作!