2013年発売
将軍直属の隠密、お庭番の下忍である織江は、凄腕のくノ一。運命の夫・彦馬と平戸で出会う前、長州に潜入し忍者隊の腕前を調べていた折、不気味な相手に目をつけられてしまう。その後、彦馬は平戸に潜入してきた織江と結婚し、江戸ですれ違いの日々を送るのだが、織江が恐ろしい敵に狙われていたことなど、知るよしもなかったー。最凶最悪の敵から、織江は逃れることができるのか?人気沸騰シリーズ、待望の新章始動。
大坂屈指の版元にして、実は上方の裏仕事の元締である一文字屋仁蔵の許には、数々の因縁話が持ち込まれる。いずれも一筋縄ではいかぬ彼らの業を、あざやかな仕掛けで解き放つのは、御行の又市の悪友、靄船の林蔵。亡者船さながらの口先三寸の嘘船で、靄に紛れ霞に乗せて、気づかぬうちに彼らを彼岸へと連れて行く。「これで終いの金比羅さんやー」。第24回柴田錬三郎賞を受賞した、京極節の真骨頂。
美しい娼婦の四姉妹が遺したものは?(「1、2、3、悠久!」)。愛するその「手」に抱かれて、わたしは天国を見る。(「ジャングリン・パパの愛撫の手」)。死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ。(「地球で最後の日」)。エロスと、魔法と、あふれる音楽!-直木賞作家が描く、甘美な滅びの物語集。最初期から最新作までを網羅したインタヴュー集「桜庭一樹クロニクル2006-2012」も同時収録。
天涯孤独となった彦蔵は、藩への復讐心を抱きながら、生きるために剣術道場・凌宥館の副師範代となった。だが、幼い頃より好んで描いていた絵で身を立てられぬかとの考えも、頭をよぎる。そんな折、類い希なる剣の腕とまっすぐな性格を見込まれた彦蔵は、さる人物から密命を受けることとなるがー。恋仲だったおまきを描いた絵、そして驚くべき密命が、彦蔵の運命を大きく揺さぶる。著者渾身の書き下ろしシリーズ、第2弾。
いよいよ始まった“戦国学園祭”。泉水子たち執行部は黒子の衣装で裏方に回る。一番の見せ場である八王子城の攻防に見立てた合戦ゲーム中、高柳たちが仕掛けた罠に自分がはまってしまったことに気づいた泉水子は、怒りが抑えられなくなる。それは、もう誰にも止めることは出来ない事態となって…。ついに動き出した泉水子の運命、それは人類のどんな未来へ繋がっているのか!?現代ファンタジーの最高傑作、RDGシリーズ第5巻。
両親を亡くした11歳のポリアンナは、気むずかしい叔母、ミス・ポリーのもとに引き取られた。ポリアンナはどんなに辛いことがあっても、その中に「嬉しい」ことを見つけるとたちまち元気になれる。そのお父さんとの約束、「嬉しい探し」ゲームは街中に広がり、ミス・ポリーや大人たちとの冷たい心を変えていった。ところがそんなポリアンナが交通事故にあってしまい…。涙と笑顔いっぱいの不朽の名作が、いよいよ新訳で登場。
人が苦手で無愛想。趣味は遺品集めという高坂和泉には特異な能力がある。それは死者の想いを観られるということ。和泉は、ある特別な絵画を報酬に、開かずのアンティークオルゴールの鍵探しをすることに。箱に遺された想いから手掛かりを得ようとするが、なぜか上手くいかない。そんな和泉の前に、トラウマを与えられた葬儀社の男、透吾や絵画蒐集のライバル、貴士も現れて…。死者が遺した優しい秘密。シリーズ第2弾。
感情を喪失したうつ病の澤野は、ある日、死に場所として入った廃墟で、偶然手紙の束を見つける。それは昔郵便局員に破棄されたものだった。「この7通の手紙は、さようならへのカウント・ダウンだ。すべてを配達し終えたら肚をくくろう」彼は死とその痛みを先延ばしするため、7年前の手紙の配達を始める。そしてそこに込められた悲喜劇に遭遇し、久しぶりに心の揺らぎを感じるが…。神経症の時代に贈る、愛と希望の物語。
昭和12年、大阪。老舗薬種商の鴇屋蛟龍堂は、元祖と本家に分かれ睨み合うように建っていた。エスカレートする本家・元祖争いで起きた惨事が大事件に発展するなか、若き名探偵・金田一耕助は、トレードマークの雀の巣頭をかきむしりながら真相究明に挑む。もう一人の名探偵・明智小五郎も同地に到着してー!?豪華二大名探偵の共演作に、本文庫のための書き下ろし「金田一耕助対明智小五郎」を加えた、目眩くパスティーシュワールド。
高校2年生の正矢は絶望しきっていた。先輩で不良の崎山が23歳も年の離れた自分の母親と付き合い始めたのだ。ついに正矢は学校も退学してしまう。一方、独房に監禁された男が目を覚ました。どうやら大東亜戦争中の東南アジアで「大罪」を犯したらしい。そこへ謎の男が現れ拷問が始まる…。やがて正矢と男は互いの夢に現れるようになるが2人の過去には恐るべき謎が隠されていた!飴村節全開の驚愕エンタテインメント。
1850年、江戸。浪人に襲われ、最愛の母を殺された少女・凪。天涯孤独となった凪は、近藤勇に助けられ、近藤が営む道場「試衛館」で暮らすことになる。捻くれ者の美青年・土方歳三、強気な美少年・沖田総司、個性豊かな男たちとのにぎやかな日々に、凪は明るさを取り戻していく。しかし、幕府への反発が高まり、世の中は徐々に不穏に。倒幕運動が激化するなか、幕府を命がけで守る人斬り集団“新選組”となった彼らには、壮絶な運命が待ち受けていたー。第6回魔法のiらんど大賞、歴史部門賞受賞。
倒幕にむけた反乱が次々と起こるなか、幕府のために命がけで戦い続ける新選組。しかし、優しい兄のような新選組総長・山南の死をきっかけに、新選組の絆が揺らぎはじめる。大切な仲間の裏切り、別れ、死…混乱のなか、それでもなお必死に戦い続ける沖田総司。彼の姿を傍で見続けていた凪は、長い間気づけなかった恋心を自覚する。ずっと沖田と共にいる決意をした凪。だが、沖田は重い病に侵され、残された命はあとわずかでー。第6回魔法のiらんど大賞、歴史部門賞受賞。
脚の不自由な少女キラは、母を亡くし、天涯孤独の身となってしまった。「欠陥のある者」に非寛容な村のおきてにしたがい、「守護者評議会」の評定をうけることになったキラ。しかし、召喚された彼女を待っていたのは、思いもよらない運命だった…「青という色」をめぐるスリリングな展開のなかに、前作『ギヴァー』同様、思索と議論を呼びさます巧妙なしかけをちりばめた、“フィクションの達人”ローリーの面目躍如たる傑作。
県大会出場をかけた大事な試合で、右膝に怪我を負った遼介。さらに監督の草間までもがベンチで倒れて入院してしまう。キャプテンと監督が離脱することになり、桜ヶ丘中サッカー部は不穏な空気に包まれる。遼介たち3年生にとって中学最後の大会となる夏の総体があと1ヶ月と迫っていた…。がむしゃらでピュアな少年たちを描いた「サッカーボーイズ」シリーズ、いよいよ完結。
武田家の新しい当主となった勝頼は、比類なき才を持つ真田昌幸を軍師とし、上杉謙信と和睦して、怒涛の進撃を開始した。徳川の領地である遠江に侵攻した勝頼は、掛川城、高天神城、作手城を次々に落とす。武田軍に一矢報いるために、家康は二俣城奪還を狙うが、見事に迎撃されてしまった。さらに、勝頼は昌幸が考えた大戦略を実行するために、美濃岩村城に二万五千の武田軍を結集させる。それは、徳川領を三河と遠江に分断し、家康をさらに追い詰める作戦であった。一方、越中を平定した上杉謙信は、能登・加賀を手に入れるべく、末森城に攻撃を開始する。小里城、足助城、大沼城、野田城、そして吉田城と、破竹の進撃を続ける武田軍を、織田・徳川軍団は止めることができるのか。
小間物問屋橘屋の手代だった益治郎は、濡れ衣を着せられ店を追い出された。三日後の夜、店の様子を見にいって若旦那に追いかけられた益治郎を、甚左という名うての盗人が助ける。甚左は益治郎に、意趣返しに自分が橘屋から金を盗むから、お宝ありと目をつけた古道具屋を調べるため、働くように頼む。その古道具屋とは、曰く品ばかりが集められた皆塵堂だった…。
76歳で二度目の殺人を犯した緒方一義は刑務所で自らの過去を振り返るー。九州の伊万里湾に浮かぶ島で生まれ、炭坑夫をしていた緒方は、昭和22年、隣家に募集坑夫として越してきた浦川の妻、久子に憧れ、ほのかな想いをいだく。だが浦川が緒方の母と無理やり関係を持ったことから、緒方は浦川を殺してしまう。そして刑務所から久子にお詫びの手紙を出した緒方の元に届いた「あたしは緒方さんをうらんではいません」という返事。出所して52年後、久子への変わらぬ想いが、緒方を再び罪へと導く…。
清張さんは自身を素材に小説を書くことはなかったのか。…ありました。本巻に集めた作品は、その代表的なものですー宮部みゆき。巨匠、社会派、コワモテ。「作家・松本清張」のイメージとはひと味違う「人間・松本清張」の素顔。残酷で衝撃的な結末が用意された「月」、新聞記者による書簡体サスペンス「暗線」ほか、私小説的でありながらも謎と仕掛けに満ちた12編を収録。