2013年発売
関羽は曹操の部下が守る五関を見事突破、ようやく劉備と再会を果たす。しかし、劉備の受難は止まることがなかった。呉の孫権と結んで袁紹を下した曹操に再び敗れ、劉表の食客になるも、そこでも命を狙われてしまう。間一髪逃げ延びた先で、劉備は軍師、徐庶に出会うがー。『三国志』最大の賢人、諸葛孔明がいよいよ登場!邂逅と展望の第五巻。
自省と克己に励む手負いの武蔵。その行く手には、過去の因縁から深い怨嗟を秘め抱く鎖鎌使いの宍戸梅軒、一門の名を賭けて復讐を誓う吉岡清十郎、そして一門きっての荒くれ者・伝七郎ら難敵が、次々に立ちはだかる!孤独に戦う武蔵をめぐる、お通と朱実の恋の行方はー。他方、小次郎になりすました又八は本物の小次郎と対決!?それぞれの命懸けの想い轟き怨憎哀楽、超回転の第三巻。
なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない、増殖していく俺に耐えきれず、右往左往する俺同士はやがてー。他人との違いが消えた、100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説!大江健三郎賞受賞作。
スパイMの奸計により逮捕され共産党から転向した小松修吉は、Mを追って満洲に渡り、終戦後、捕虜となる。昭和21年早春。ハバロフスクの日本新聞社に移送された修吉は、脱走に失敗した軍医の手記を書くよう命じられた。面談した軍医は、レーニンの裏切と革命の堕落を明かす手紙を彼に託した。修吉はこれを切り札にしてたった一人の反乱を始める…。著者の集大成。遺作にして最高傑作。
人は、自分の悲しみのために涙する。陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。祥瓊は、芳国国王である父が簒奪者に殺され、平穏な暮らしを失くし哭いていた。そして鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で、苦行を強いられ泣いていた。それぞれの苦難を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福を信じて歩き出すのだがー。
王は人々の希望。だから会いに行く。景王陽子は街に下り、重税や苦役に喘ぐ民の暮らしを目の当たりにして、不甲斐なさに苦悶する。祥瓊は弑逆された父の非道を知って恥じ、自分と同じ年頃で王となった少女に会いに行く。鈴もまた、華軒に轢き殺された友の仇討ちを誓うー王が苦難から救ってくれると信じ、慶を目指すのだが、邂逅を果たす少女たちに安寧は訪れるのか。運命は如何に。
最期ののちはきみのそばで眠りにつきたいー。亡父が残した愛人への手紙。それは砂上の出会いから続く「運命」の結実だった。愛を失った夫。心を病む元婚約者。愛人の息子を名乗る男。35歳の主婦・美砂子は自らを取り巻く人間関係の根源に、父の妄執と、千億の愛すら呑み込む「超越」をみる。生きるとは何か。人はなぜ、子を成すのか。果てなき愛への答えを示す、圧倒的長篇小説。
「五」足す「二」で「しち」。「五二屋」とは質屋のこと。黒船来航に揺れる江戸の質屋・伊勢屋を訪れるのは、本当に金に困った客、盗品を持ち込む輩、そして襲撃を企む盗賊…!?主の傳蔵が、その鋭い洞察力と深い情をもって悪事に挑む。
不可思議な工場での日々を三人の従業員がそれぞれに語る表題作(新潮新人賞受賞)のほか、熱帯魚飼育に没頭する大金持ちの息子とその若い妻を描く「ディスカス忌」、心身の失調の末に様々な虫を幻視する女性会社員の物語「いこぼれのむし」を収録。働くこと、生きることの不安と不条理を、とてつもなく奇妙な想像力で乗り越える全三篇。
失踪した友人を捜す早紀。祖父母秘伝の豆スープを配る咲。双子の兄を事故で亡くした崎の部屋に転がり込んだ、10歳の姪さき…。いま“さきちゃん”たちに訪れた小さな奇跡が、かけがえのないきらめきを放つ。きつい世の中を、前を向いて生きるひとに贈る、よしもとばなな5つの物語。
もしもまたホロコーストが起こったら、誰があなたを匿ってくれるでしょう?-無邪気なゲームがあらわにする、取り返しのつかない夫婦の亀裂(「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」)。ユダヤ人のヨルダン川西岸への入植の歴史を、子を奪いあう二人の母を軸にして、寓意あふれる短篇に仕立てあげた「姉妹の丘」。物語にはつねに背景がある、人生にはつねに背景があるー年若い息子に父が語る、悲劇を生きのびた男の非情な選択(「若い寡婦たちには果物をただで」)。コミカルな語り口にしのばせた倫理をめぐる深い問いかけ。ユダヤ人を描くことで人の普遍を描きだす、啓示のような八つの短篇小説。
西暦2231年、木星前方トロヤ群の小惑星アキレス。戦争に敗れたトロヤ人たちは、ヴェスタ人の支配下で屈辱的な生活を送っていた。そんなある日、終戦広場に放算された宇宙戦艦に忍び込んだ少年リュセージとワランキは信じられないものを目にする。いっぽう2014年、北アルプス・コロロギ岳の山頂観測所。太陽観測に従事する天文学者、岳樺百葉のもとを訪れたのは…。21世紀と23世紀を“つないで”描く異色の時間SF長篇。
有望な若手社員としての期待に応えられず、仕事に倦んでいたジョッシュ。ある日上司から、「二週間の休暇の間に、仕事を続けるかどうか決めてほしい」と言われる。休暇初日、とうもろこし畑の迷路で迷ったジョッシュに、農夫がくれたひと粒の種。種をまくべき場所を見つけるために、十四日間の旅が始まるー。
低迷を続ける大企業、スープ・インクのCEOに就任したナンシー。そんなある日、ランチに立ち寄ったスープハウスで驚くほど美味しいスープに出合う。そのスープを作っていたのは、「味の秘訣はこの私」と話すグランマ(おばあちゃん)だった。買収の危機に瀕する会社を救うため、グランマのレシピを手にナンシーの奮闘が始まるー。
絶対服従を誓った守護者・シャルティアがまさかの反逆。アインズが冒険者として、エ・ランテルに潜入する裏で、守護者たちに一体、何が起きていたのか?最強守護者相手に、死霊系統魔法が一切無効化されるアインズの戦略は!?決戦の火蓋が、いま切って落とされる…。瞬きも許されない死闘を刮目せよ。