2013年発売
安重根による伊藤博文暗殺。夏目漱石の「韓満所感」。大逆事件で処刑された幸徳秋水、管野須賀子、そして生きのびた者。二〇世紀初頭、動乱とテロルの世界を、人びとのリアルな姿として語りなおす。一〇〇%の知られざる史実から生みだされた長篇小説。
島から出られないリゾート客。スラム街の少女と修道女。第三次世界大戦に携わる宇宙飛行士。娘たちのテレビ出演を塀の中から見守る囚人。大地震の余震に脅える音楽教師ー。様々な現実を生きるアメリカ人たちの姿が、私たちの生の形をも浮き彫りにする。四人の訳者によるみずみずしく鮮明な9篇。1979年から2011年まで。現代アメリカ文学の巨匠、初の短篇集。
関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ…傷ついた少年少女たちは、戦わない形で、自分たちの大切なものを守ることにした…。いまの社会をいきがたいと感じているすべての人に語りかける長編小説。2003年発表、映画化もされた話題作を、文庫化に際し、全ページにわたり加筆、作品としての密度をさらに増した。
村上春樹が訳し、レッドフォードが演じ、そして今度は、ディカプリオが演じた『ギャツビー』の魅力にせまる!ディカプリオ主演映画『華麗なるギャツビー』(2013年6月14日公開)の見所も紹介!
ニックは三十四歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、二年前、妻エイミーとともに故郷ミズーリに帰ってきた。しかし都会育ちの妻にとってその田舎暮らしは退屈きわまるものだった。結婚五周年の記念日、エイミーが、突然、謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのない夫ニックに嫌疑がかけられる。夫が語る結婚生活と交互に挿入される妻の日記。異なるふたつの物語が重なるとき衝撃の真実が浮かび上がる。大胆な仕掛けと予想外の展開、「NYタイムズ」で第一位に輝いた話題のミステリ登場。
小説家志望のサムは、働いていた古書店が潰れて無職になった。妻からも突然別れを切り出され、彼は絶望のどん底に沈んでいた。サムは探偵助手の仕事を見つけ再起を図る。文学と芸術しか知らない自分でも探偵にならなれる!そう確信するサムだったが、巨漢の探偵ロンスキーに命じられた謎の美女の素行調査は次第に奇妙な様相を…。ベストミステリ三冠に輝く『二流小説家』の著者、渾身の第二作!
新地球3から67ワープ年離れたボルネオ1に一人の女性科学者が訪れた。彼女の名はジェーン・ハワードーこの惑星で消息を絶った父親を捜しにきたのだ。旧地球の赤道直下地帯によく似たこの密林惑星に生息する特異な生物と、古代プレアデス文明の播種船との関連を調査中に、ハワード教授は突然連絡を断ったのだ。惑星資源開発企業の総監督者ラジャ・シンの協力を得て、彼女は怖るべき生物が棲む密林へと踏みこむが…!?読みだしたら止まらない異世界冒険SF。
第二次大戦下のイギリスで現地調査をするため、過去へとタイムトラベルしたオックスフォード大学の史学生三人ーマイク、ポリー、メロピーは、未来に帰還するための降下点が使えないことを知り、べつの降下点を探そうとしていた。だが、新たな問題も発覚した。ポリーがすでに過去に来ていたため、その時点までに未来に帰還できないとたいへんなことになる。史学生が危機に陥ったときには救出しにくるはずのダンワージー教授、万一のときは助けにいくとポリーに約束したコリンは、はたしてやってくるのか…前作とともにヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した二部作、ついに完結。
デビューからわずか四年で、芥川賞に六回ノミネートされ、六回落選した現・芥川賞選考委員島田雅彦の華麗なる落選の軌跡にして初期傑作集。大学在学中に発表された鮮烈なデビュー作「優しいサヨクのための嬉遊曲」のほか、「亡命旅行者は叫び呟く」「夢遊王国のための音楽」を収録。作家生活三十周年記念企画。
これが輝かしき文学史的事件!芥川賞最多落選者であり現・芥川賞選考委員島田雅彦、前代未聞の初期傑作集。永遠の青二才・悪久間一人を峻烈に描いた代表作「僕は模造人間」をはじめ「ドンナ・アンナ」「未確認尾行物体」を収録。作家生活三十周年記念企画。
少年は旅立った。サヨウナラ、「世界」-ある夜、突如ランちゃんの前に現れた謎の少女・マホさん。彼女はランちゃんにある指令を出した。「“世界を守る鍵”である、あなたの弟・キイちゃんが『悪』の手先・ミアちゃんに連れ去られたわ。『悪』からキイちゃんを救い出すのよ!」「悪」とは、「世界」とは何なのか?単行本未収録小説「魔法学園のリリコ」併録。著者最高の話題作が待望の文庫化!
なぜ『こころ』のKと先生は自殺しなくてはならなかったのか?意外なキーパーソンとして浮かび上がる静と青年ー漱石は「女の謎」に悩み続けた時代の教科書だった。高校生から大人まで、国民的作家がぐっと身近に感じられる一冊。新たに2章を特別書き下ろし!
十六世紀初めの戦国時代。土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就のもとに、“鬼”といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは支え合いながら否応なく戦国の夫婦として生きていく。やがて元就は頭角をあらわしはじめるが…。NHK大河ドラマの原作となった長編歴史小説の傑作。
大内氏と尼子氏の二大勢力のはざまで翻弄され続ける元就。たび重なる危機的な戦い、身内の裏切りなど苦境を乗り越えて、戦国時代屈指の名将への階段を上っていくが、隣にはいつも、愚痴っぽい元就を支えた妻の天性の明るさがあった。三人の息子たちとともに乱世を生きぬく武将とその妻を描いた長編小説。
暴走族あがりの集団SS会の男を揉合いのうちに刺殺してしまった青年は、ブルートレインに乗って、長崎へ向かった。復讐に燃えて追いかけるSS会の仲間たちと、十津川警部。果たして青年を捕まえるのはどちらか?大ベストセラー「寝台特急殺人事件」から25年を経て、新たに書き起こされた白熱のトレイン・ミステリー!
名も素性も想い起こせぬ女から手渡された「先生のあさがお」の種。あさがおの先生といえば、四年前に逝った先輩医師しかいないはずだが…。「わたし」をかたどる記憶のあいまいさにただ立ちつくすー。他者の死に関わる医業で疲弊し、かろうじて生きのびたいま、妻と分かち合う平凡で危うい日常を描く作品集。
「闇神波は本気で我らを根絶やしにする気だ」。刺客、暗殺、陰謀。江戸で男が次々と闇から斬りつけられる中、燦はついに争う者たちの手触りを感じ始める。一方、伊月は藩の代替わりの準備に追われるが、圭寿の亡き兄が寵愛した美しき個室・静門院が面会を求めてきて…。少年たちが苦悩する、文庫オリジナルシリーズ第四弾。