2014年10月16日発売
不吉な彗星の年。軍務に戻ったアンドレイは父と妹に敵接近を急報するが、退避日前に老公爵は死去、マリアは領地農民の反抗に遭う。戦争の本質を探ろうとピエールはボロジノへ発つ。いまや貴族も農民もなく、全ロシアの危機が始まろうとしていた。
多くの作家や詩人が国外に亡命したり獄中死などの悲惨な最期を遂げるなか、南アフリカに踏みとどまって、白人の立場から人種差別批判の作品を発表しつづけた南アフリカのノーベル賞作家ナディン・ゴーディマ(1923-2014)。アパルトヘイト全廃が法的に決定した後の、新しい社会体制へと移行する人びとの動揺や不安の心理を描いた珠玉の短篇。
日本語教師の職が東京にあると聞き、田舎を飛び出してきた女子大生・花。歌舞伎町の外人ホスト・ジンジャーに催眠術をかけられ、朽ち果てそうな古いビルに連れ込まれる。そこは魑魅魍魎の魔窟「歌舞伎砦」、ジンジャーの本性は猫の妖怪だった。花は法外な高時給に誘われ、妖怪たちの日本語教師となる。いつから、なぜ、こんな場所が存在するのか? 花はついに驚くべき砦の秘密を知る。 「歌舞伎町に行って日本語教師になる」。親の猛反対を押し切って田舎から東京・新宿に来た女子大生・花。唯一のアテは謎の祖父・周蔵じいさんだ。住所を辿って行き着いた場所は新宿コマ劇場跡地、いまは「歌舞伎砦」という異名で知られるひび割れたコンクリートの魔窟だった。ぶんぶんうなる歌舞伎砦の中へ、猫耳の外人ホストに案内される花。砦は魑魅魍魎たちの巣窟で、海外から歌舞伎砦に流れ着いてきた各国の妖怪だらけだった。そして花を待ち受けていた語学クラスは、とんでもない事件が頻発して妖怪達の妖術合戦と化し、教室は大混乱。砦の秘密をさぐり、花は砦の主の元を目指す!
夏休み、補習中の教室の窓の外を女子生徒が落下していった。自殺として少女の死がひそかに葬られようとしていたとき、目撃者の男子に真相を問い詰めたのは少女と同じ美術部の由良だった。絵を描きかけのまま死ぬはずがない。平凡な高校生たちの日常が非日常に変わる瞬間を鮮烈に描いた、青春ミステリーの傑作。 夏休み、補習中の教室の外を女子生徒が落下していった。上の四階からの飛び降り自殺として少女・吉野の死が静かに葬り去られようとしていたとき、目撃者の男子・榎戸川と旭に真相を問い詰めたのは少女と同じ美術部の男子・由良彼方だった。登校拒否で授業に出ていなかった吉野は、ひそかに美術部に蝶の絵を描きに来ていたのだ。絵を描きかけのままで死ぬはずがない……やはり二人は彼女の死の真相を知っていた。彼女は自殺ではなかったのだ。少女が迎えた悲劇は自殺より更に残酷で無情だった。平凡な高校生たちの日常が非日常に変わり人間模様が陰影を織りなす瞬間を、デリケートな筆致で綴る青春ミステリー。
皇女和宮が降嫁の際に立ち寄った馬篭宿の脇本陣には、幻の柩が残されていたー。姪に頼まれ、大学の人類学研究室職員の女性殺害事件の謎を追って妻篭・馬篭を訪れた浅見光彦は、そこでも女性が殺されていたことを知る。二つの殺人を結ぶ柩。和宮の怨念が、浅見に立ちはだかる。シリーズ屈指の歴史ミステリー。
死体って、光るのかな。文化祭の準備中、お化け屋敷の人形を見て呟いた女子の一言を、沖津は聞き逃さなかった。人をつっつくこと、陥れることが趣味のイケメン沖津は、人形を造った美術部男子が光る死体の秘密を知っていると勘づく。卒業生・由良が母校の美術教師に。「由良シリーズ」待望の新作。 「死体って、光るのかな」文化祭の準備中、お化け屋敷の人形を見て呟いた女子の一言を、沖津は聞き逃さなかった。お化け屋敷のネタがばれクラスが崩壊の危機を迎えるが、やっとのことで開催にこぎつけた文化祭。そのまっただ中、つっつくことが趣味、人を陥れることばかりを考えて生きているイケメン沖津の最大の興味は、人形を作った美術部・真名井に光る死体の秘密を聞き出すことだった。卒業生・由良彼方が美術部教師として赴任する、「由良シリーズ」最新作。 沖津魁は笑わない 真名井諭一は笑いたい 笑え。
父は国家権力が大嫌い。どうやらその筋では有名な元過激派で、学校なんて行くなと言ったり、担任の先生にからんだり、とにかくムチャクチャだ。そんな父が突然、沖縄・西表島に移住すると言い出し、その先でも大騒動に。父はやっぱり変人なのか?それとも勇者?家族の絆、仲間の絆を描いた傑作長編。
全米批評家協会賞 小説部門 最終候補ノミネート! 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。 わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであったーー。 芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
警察官が自らの拳銃を奪われ射殺された。犯人は同じ府警の刑事だと断定されるも、逃走。被害者の息子・隆史と容疑者の息子・伸人は親友だったが、悲劇によってその仲は決裂する。成長し、父の敵を討つために刑事になった隆史の前に、再びあの拳銃を使用した事件が。苦難を糧にひたむきに生きる者たちを描いた感動作。