2014年10月20日発売
奇跡の人奇跡の人
旧幕臣の娘である去場安は、岩倉使節団の留学生として渡米した。帰国後、日本にも女子教育を広めたいと理想に燃える安のもとに、伊藤博文から手紙が届く。「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた安はその少女、介良れんに出会った。使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんは強烈な光を放っていた。彼女に眠っている才能をなんとしても開花させたい。使命感に駆られた安は「最初の授業」を行う。ふたりの長い闘いが始まったー。
殺し屋ケラーの帰郷殺し屋ケラーの帰郷
ルイジアナ州ニューオーリンズ。殺し屋を引退したケラーは結婚し、子供もできてすっかり良き市民になっていた。新しい仕事のリフォーム事業も、好景気で順調だった。ところが、サブプライムローン問題によってバブルがはじけ、一気に失業状態に。そんなところへ、身を潜めていたドットより突然電話があり、殺しの依頼が舞い込んだ…(『ケラー・イン・ダラス』)。ほかに、数年ぶりに訪れた懐かしいニューヨークを異邦人の眼で見ることにとまどう『ケラーの帰郷』などを収める連作短篇集。
野良猫姫野良猫姫
ソウルの街角で野良猫の世話をするファヨル、二十歳。父は彼女が五歳の時に失踪、数年後には母も単身、渡米してしまった。そんなファヨルを気遣う親戚もいるけれど、コンビニでアルバイトをして一人暮らしをしながら、野良猫と、猫を通して知り合った人たち、ボーイフレンドに支えられて生きている。みんな、自分らしい生き方をしたいと模索している。高校を中退したファヨルにも、大学へ行くより、やりたいことがあった…。詩人によるかろやかで心に響く長編小説。
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