2014年6月6日発売
東京の会社をリストラされた理美は、故郷の沖縄に戻った。ハローワークに隣接する食堂のオバアに「やめておけ」と言われたコールセンターの仕事だったが、近代的なオフィスビルに惹かれ、就職する。研修では、役を演じろ、ウイスキーの顔を作れ!など、はじめて聞かされることに戸惑い、実務では、クレーマーやトラブルに冷や汗の連続だ。そんなある日、理美は会社の代表として「電話応対コンクール」に出場することに。優勝を期待する会社からのプレッシャー、同僚の嫉妬、連日の猛特訓に逃げたくなるが、大会は待ってくれない。手に汗握るコンクールの結末は?
昭和精密機械の技術者、早川啓介が、東尋坊から死体で発見された。警察は自殺と断定したが、人型ロボット開発の中心人物として仕事は充実しており、公私とも悩んでいる様子はなかった。父親の雄介は息子の死に疑問を抱き、会社を辞め自ら調べ始める。ついで、浅草で若い女性の死体が見つかる。亡くなった北川愛は、啓介の人型ロボットのデザインを担当しており、遺書めいたメモには早川の名前が残されていた。調べを進める十津川警部のもとに、啓介の父親が謎の解明につながる人物を発見したと知らせてきた。果たして、二人の死にまつわる真相とは何なのか。
時は江戸・文政年間。秋月六平太は、信州十河藩の供番(篭を守るボディガード)を勤めていたが、十年前、藩の権力抗争に巻き込まれ、お役御免となり浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添い屋をして糊口をしのぐ日々だ。血のつながらない妹・佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫仕事で家計を支えている。相惚れで髪結いのおりきが住む音羽と元鳥越を行き来する六平太だが、付添い先で出会う武家の横暴や女を食い物にする悪党は許さない。立身流兵法が一閃、江戸の悪を斬る。時代劇の超大物脚本家、小説デビュー!
十一代将軍・家斉の治世も四十年続き、世の中の綱紀は乱れていた。浪人・秋月六平太は、裕福な商家の子女の花見や芝居見物に同行し、案内と警護を担う付添い屋で身を立てている。外出にかこつけて男との密会を繰り返すような、わがままな放題の娘たちのお守りに明け暮れる日々だ。血のつながらない妹・佐和をやっとのことで嫁に出したものの、ここのところ様子がおかしい。さらに、元許嫁の夫にあらぬ疑いをかけられて迷惑だ。降りかかる火の粉は、立身流兵法達人の腕と世渡りで振り払わねば仕方ない。日本一の人情時代劇、第二弾にして早くもクライマックス!
かつてアイドルになることを夢見ていた桜木広司、三十二歳。ごく一般的な生活を送っていた彼が、ある日アイドルグループの新メンバーにスカウトされる。外見が幼く見え、十七歳だと思われたのだ。抱いた夢を終わらせるために“柊剛人”として始めたアイドル生活。彼が『少年ハリウッド』に光臨した神「ゴッド」と呼ばれるまでの軌跡と、チーム結成当初からの全メンバーが登場する物語をコンプリート。本作から十五年後の設定である『少年ハリウッド〜Holly stage for 49〜』がアニメ化決定!放送に先駆け初代少年ハリウッドの物語が完全版となって登場。
「俺たちのことはジジイと呼ぶな。-おっさんと呼べ」還暦を迎えた、かつての悪ガキ三人組が、私設自警団を結成した。剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。ゆすり、たかりに悪徳詐欺、卑劣な痴漢に動物虐待…。キヨの孫・祐希とノリの愛娘・早苗の高校生コンビも加わって、町内の悪を成敗する!“三匹”の活躍に胸がすく痛快活劇小説。シリーズ第一弾。
映像制作会社・チョコレートTV。“老若男女に愛されるチョコのようなコンテンツを提供する”はずが、いまや謝罪の手土産にチョコを持参する始末。時と場所を選ばずダジャレを連発、周囲をドン引きさせる社長の荒巻源次郎のもと、ドラマやバラエティー、はては息子の運動会のビデオ撮影まで、さまざまな現場で奮戦する社員たち。テレビをこよなく愛する人間たちのくすっと笑える裏事情。
出島に薬草園を造りたい。依頼を受けた長崎の植木商「京屋」の職人たちは、異国の雰囲気に怖じ気づき、十五歳の熊吉を行かせた。依頼主は阿蘭陀から来た医師しぼると先生。医術を日本に伝えるため自前で薬草を用意する先生に魅せられた熊吉は、失敗を繰り返しながらも園丁として成長していく。「草花を母国へ運びたい」先生の意志に熊吉は知恵をしぼるが、思わぬ事件に巻き込まれていく。
深夜の歌舞伎町。顔面の皮がよじれ、原型をとどめない惨殺死体が三つ発見された。上海クラブを襲ったイラン人たちが、謎の大男に素手で叩き殺されたのだ。男は広東訛りの北京語を喋っていたという。新宿署刑事捜査課一係の松崎は手がかりを求め、事件後に男を治療した外科医・犬養を訪ねる。報復が繰り返され、闇組織の抗争が激化する中、帰宅途中の犬養は例の大男に待ち伏せされ…。
大坂に到着した俊介らが真っ先に向かったのは、名医が営む診療所。原因の分からぬ頭痛で難儀する仁八郎が、ひとり一行を離れ、世話になっているはず。しかし、置き手紙を残したまま、彦根へ発ってしまったと医者は言う。仁八郎の身に一体なにが起こったか?急ぎ後を追う一行を巻き込む、恐るべき陰謀とは?さらに宿敵似鳥幹之丞の魔剣までもが俊介を襲うのか?若殿、危機一髪!傑作廻国活劇第八巻。
2013年に発表された中から、当代の読み手が選んだ名作14篇!新鋭からベテランまで、“いま”を代表する実力派作家が揃いました。ミステリー、ファンタジー、恋愛など、テーマや時代背景はさまざまですが、共通してどの物語からも“読む”ということの楽しさを再発見できるはず。短篇という限られた枚数だからこそ描くことのできた味わい深い物語の数々。
聖斗高校二年生・佐伯晶は、女子と見紛うほどの美貌の持ち主。近寄ってくる女子も多いが、男子のいじめの対象になることも。ある日、二人の男子に詰め寄られているところを養護教諭の水上花に助けられる。それからたびたび保健室を訪れるようになった晶に、次第に翻弄されていく花。そして、晶らしからぬ冷酷な行動を偶然目にして…。学園を舞台に繰り広げられる恋模様。「恋愛教室」シリーズ“保健室”篇。
憧れの人気写真家ニキのアシスタントになったオレ。絶えず命令口調の傲慢な彼女に、オレは公私ともに振り回される。だがオレは一歳年下のニキとつきあうことになる。そして仕事の顔とは全く別の、恋に不器用なニキを知ることになって…格差恋愛に揺れる二人を描く、『人のセックスを笑うな』以来の恋愛小説。
狐かオバケか、人に化けた者たちが徘徊する町。かつて巨人が生まれた町。ときに不思議なことが起こり、特定危険区域と呼ぶ人もいる。大災害に見舞われたあの日から。いま私は娘の春子と、異形の姿の妻と、三人で暮らす。この幸せを脅かすものがあれば、私は許さない…。切ない感動に満ちた再生の物語。
宿敵モリアーティとの緊迫感あふれる対決を描いた傑作短篇「最後の事件」をはじめ、学生時代のホームズや探偵初期のエピソードなど、さまざまな物語でその魅力を描いた、第二短編集。全十二篇を、「ストランド・マガジン」に掲載された初出の順番どおりに収録。充実した注と解説、全イラスト復刻。