2014年発売
キッド・ラビットが昏睡から目覚めると辺りには人っ子ひとりーというか、兎っ子一匹いなかった。そう、ぼくたちは人間じゃない。兎だ。人間たちはまだ気づいていないけど、兎社会を脅かす大事件が勃発した。死者が甦り生者を襲ってむしゃむしゃ喰っているんだ。いまや森は屍兎どもの天下だ。この兎史上最悪の状況を終わらせるには、死の山に棲む人喰い熊をキッドが狩らなければいけないという魔女ラビットのお告げなんだが…いったいなんてこった!
東京・深大寺の参道でテレビ番組のディレクター、井上美奈子がお遍路姿の絞殺体で発見される。彼女が企画した“お遍路ゲーム”収録目前の出来事だった。翌日、捜査本部に「お遍路の途中で人が殺される」という電話が。徳島に飛んだ十津川はお遍路姿に変装し収録を見守るが、新たな殺人事件が発生する!!巻末に長篇推理「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」連載!!
カレの正体は貧乏神!?BHK(貧乏神被害者の会)が主催する“貧乏を断つ”ためのサロン。そこには働かないイケメンの彼氏をもつ様々な女たちが集まって…文藝賞受賞作『おしかくさま』に続く痛快小説!
ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと向かう。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。禁断の愛、交錯する嘘と真実。これぞ、連城マジックの極み。耽美ミステリーの名手が遺してくれた渾身の1000枚!闘病中に書き上げた執念の大長編を、追悼の意を込めて、一周忌に刊行ー。
一九七〇年代は、日本SFの黄金期である。ホラー、コミカル、ナンセンス、アクション等々、小説やマンガのあらゆる楽しみが、SFという可能性の中で結晶し、新しい世界を切り開いていく。-はなやかな話題と、挑戦的姿勢、それが生み出す傑作に満ちていた一九七一年の日本SFを、同時代に居合わせたかのように体験できる歴史的アンソロジー。
ゴミ回収車自殺…アヒルボート自殺…セザール彫刻式自殺…病院で知り合った自殺志願者ポールとノルベール。ダメ男ふたりがアイデアの限りを尽くして繰り出す、奇想天外な自殺方法の数々。フランス映画の巨匠ルコント監督が仕掛ける、抱腹絶倒のユーモア小説!
それはまるで映画から抜け出したような、不思議なぬいぐるみの旅行会社。甘えん坊の息子、亡くなった母、引きこもりの青年、病気の子供たちー。ぬいぐるみに託されたそれぞれの人生の、4つの真実の物語。
本棚から本を取り出して読むというより、ギャラリーを歩くかインディペンデント映画を見るようなつもりで読めーーマリオ・ベジャティン 「おまえは小鳥を食うのか、サラ」と私は言った。 「そうなの、パパ」 娘は恥ずかしそうに唇を嚙んで言った。 「パパもでしょ」 「おまえは生きた小鳥を食うのか、サラ」 「そうなの、パパ」--本文より 几帳面で整頓好きな普通の男の暮らしに突然入ってきたシルビア、そして小鳥を食べる娘サラ……。父娘2人の生活に戸惑う父親の行動心理を写しだした表題作「口のなかの小鳥たち」など、日常空間に見え隠れする幻想と現実を、硬質で簡素な文体で描く15篇を収録。ボルヘス、ビオイ=カサーレス、コルタサル等のラプラタ幻想系譜の最先端、スペイン語圏における新世代幻想文学の旗手による傑作短篇集。 イルマン 蝶 保存期間 穴堀り男 サンタがうちで寝ている 口のなかの小鳥たち 最後の一周 人魚男 疫病のごとく ものごとの尺度 弟のバルテル 地の底 アスファルトに頭を叩きつけろ スピードを失って 草原地帯
古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。エプロンドレス姿の美人店主は、恥ずかしがり屋で人見知り。しかし、事件となるとガラリと人が変わってしまう。動機には一切興味がない安楽椅子型の名探偵が「春」「夏」「秋」「冬」の4つの事件を鮮やかに解く、連作シリーズ! 「春の十字架」「もっとも猟奇的な夏」「切りとられた死体の秋」「バラバラ死体と密室の冬」
法律を学ぶためパリに出た青年フレデリックは、帰郷の船上で美しい人妻アルヌー夫人に心奪われる。パリでの再会後、美術商の夫の店や社交界に出入りし、夫人の気を惹こうとするのだが…。二月革命前後のパリで夢見がちに生きる青年と、彼をとりまく4人の女性の物語。19世紀フランス恋愛小説の最高傑作、待望の新訳!
「最後の始末旅」から七年。穏やかな日常に戻った夏目影二郎の元へ、国定忠治の子分・蝮の幸助が現われた。久しぶりに上州の縄張りに戻った忠治が中気で倒れたという報せに、影二郎は幸助とともに再び上州へ向かう。もはや捕縛寸前ながら逃げまどう忠治、それを追う八州廻りや捕り方たちー。そして、最期の時が訪れる!感動を超えた最終巻。「狩り」シリーズ堂々完結。長編時代小説。文庫書下ろし。
妻に先立たれ、毎日を無気力に過ごす礼二郎。彼を変えたのは、絵画同好会での幸子との出会いだった。やがて二人は恋に落ち、喜びも悲しみも分かち合いながら愛を育む。たとえ周囲の人間に後ろ指をさされようとも。だが、礼二郎は不意の病に蝕まれて…。ときめきを忘れかけていた男女が、限られた時の中で紡ぐ切実な恋愛模様を、まばゆいほどに美しく描く感動作。
高校生の村松光輝は、コンサート会場で、探し求めていた女性との再会を果たした。一年前の大雪の日に命を救われ、かつ初めて性の歓びを教えてくれた美女。ところがその会場で、彼女の連れの男性が、突然銃殺された!しかも、殺人幇助の疑いで、彼女が逮捕されてしまう。光輝と友人たちは、真相を求め、赤かぶ検事に会いにゆくのだがー。待望のシリーズ最新作。
南町奉行所隠密廻り・乾蔵人の元に、仇敵の沼津藩家老・土方縫殿助が襲われたという知らせが入った。調べ始めた蔵人の前に現われたのは、討ち入りをされた吉良家に縁のある武士。そして、米沢藩上杉家との遺恨が浮かび上がってきた。土方はなぜ襲われたのか。「忠臣蔵」に隠されたもう一つの真相とはー。瞠目の歴史ミステリーに挑んだ藤井邦夫の傑作シリーズ最終巻。長編時代小説、文庫書下ろし。
将軍・綱吉の治世に、公儀隠密の劣化を憂う老中らが立てた密かな計画。それは、各地から素質ある子を集め、優れた忍者を育てるというものだった。貧しい山村の出の一平も、妙義山中の養成所へとやってきた一人だ。仲間たちとの競い合いや友情ー学び舎での日々が、内気だった一平を逞しく成長させてゆく。だが、背後では風魔忍者衆が恐るべき陰謀を企てていた!文庫書下ろし。最注目の気鋭が放つ胸おどる冒険活劇!
「お助け金所望、五百両」応じなければ、主人を惨殺。江戸では、豪商を狙った世直し党による凶行が続いていた。『三倉屋』への投げ文が、賊を騙った手口だと般若同心・柚木源九郎が見破る。源九郎は、奪った金を庶民に配る義賊・変化小僧とともに世直し党の正体に迫る!北町の同心・小月忠吾は、源九郎と変化小僧との関わりに疑念を抱くが…。“痛快”捕物帖!長編時代小説。
名代の十手持ち辰三が姿を消したのは昨年暮れ。上方の悪党「名なしの幻造」を追ったまま行方がしれない。縄張りの日本橋をあずかる子分の文治だが、切れ者の親分と比べると頼りにならない。辰三の娘お加代が、御用の向きにも口を挟んでくる。心根の優しい大男と跳ねっ返り娘が智恵を寄せ合い、御用の謎を解き明かす。時代小説の新鋭が情感豊かに描く、傑作捕物帖。
大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し盗品を専門に売買する泥棒市場の存在を突き止める。そこで鑑定人として働く中国人美女・明蘭。その背後には鮫島の宿敵、仙田の存在が。鮫島と同期の香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。泥棒市場の存在を 巡って、さまざまな思惑が渦巻く!
青森でりんご農園の手伝いに明け暮れる海空は、「新しい自分」を夢見て親に内緒で上京する。一方、人気モデルでヨガインストラクターのKUMIは、自分ブランドのヨガウェアをプロデュースすることが決定。二人はある出来事がきっかけで同居することにー。垢抜けない海空とプライドが高い完璧主義のKUMIは、ときに反発し合いながらヨガを通して心を通わせ、それぞれの人生や幸せの意味を探していくのだった。