2015年1月10日発売
江戸の新興道場・北辰一刀流玄武館の千葉周作は名門・中西道場の重鎮から極秘の依頼を受けて、門弟の平手造酒に高柳又四郎の監視を命じた。撃剣の天才“音無し剣”の遣い手と称される高柳又四郎には、世に知られてはならない秘密があったー。名だたる剣豪が覇を競う撃剣の世に、瞬速無音の剣が閃く!
御赦免で江戸へ戻った流人が、殺し屋に襲われた。事件に当たるのは、町方与力の今井映之進。かつては仕事熱心だったが、最近は刻限が来ると同僚が仕事をしているのを横目にさっさと帰宅してしまう。若手の映之進に目をかけていた上司の筆頭与力・盛伊三郎は、映之進の不真面目な勤務態度に業を煮やして、映之進の家に押し掛けるが…。
芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」から戦後文学の金字塔といわれる「抱擁家族」までの十年間の短篇作品を精選。この間、アメリカ留学、家の新築、妻の手術、妻の死、再婚と、著者自身へもめまぐるしい「事件」が生じ、“関係”をめぐるドラマが主題となる。見知らぬ男からの一方的な関係、監禁という関係、友人のなかにいる異質な友との関係、友人と妻との姦通…。「抱擁家族」へとなだれ込む、貴重な短篇集成。
「かわせみ」の若者たちに訪れた転機。結婚前の不安や憂鬱を乗り越え、無事に祝言を挙げた千春。そして麻太郎には新たな旅立ちがー。「明治のかわせみ」第五弾。
浮気相手との間に子まで生した夫との縁を切り、実家に戻っても居場所がなかったおこう。器量が逆に災いして奉公先を次々に変えるも、容色を武器にすることをきっぱり断るお島。嫁をいびり追い出したと噂されるお久米。妾奉公を自ら望んでやってきたお雪。あらぬ盗みの疑いをかけられた女中頭のお徳ー。人と人との縁を結ぶ「三春屋」で女たちの運命は変わってゆく…著者3年ぶりの傑作最新刊!名手の紡ぐ江戸の人生模様。
警視庁暗殺部のトップ・菊沢義政は第三会議の要請を断固として断った。新設された国際的労働機関の闇を巡る実態調査という事案は、存在が絶対に公になってはならない暗殺部を表舞台に晒す危険が余りに多いのだ。どうやら政府中枢の圧力らしい。同じ頃、日本でも優秀な技術者たちが失踪する事件が頻発していたー壮大なスケール、上下巻の迫力で贈るシリーズ第3弾!
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪かー。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。
世界各国から集められた死刑囚を収容する、ジャリーミスタン終末監獄。親殺しの罪で収監されたアラン青年は、“監獄の牢名主”と呼ばれる老人シュルツと出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わるアラン。死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか?どうして囚人は闇夜ではなく、人目につく満月の夜に脱獄したのか?そして、アランが罪に問われた殺人事件の真相とは…。死刑囚の青年と老人が遭遇する、摩訶不思議な事件の数々。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する、著者渾身の本格ミステリ。
退廃と背徳の都パラディス。この地において男女の別に、いかなる意味があろうか?詩人が手に入れたスカラベの指輪の秘密。両性具有の吸血譚「紅に染められ」。昼間は修道院で働き、夜は少年の姿で悪行のかぎりを尽くす娘。悪魔崇拝を描いた「黄の殺意」。謎の死をとげた美貌の役者が魅入られたこの世ならぬ存在とは。「青の帝国」。幻想の都パラディスを舞台にした中編3編収録。