2015年1月28日発売
歴史小説の巨人、6年ぶりの新刊!! 弘化三年(1846)日本海に浮かぶ隠岐「島後」に、はるばる大坂から流された一人の少年がいた。西村常太郎、十五歳。大塩平八郎の挙兵に連座した父・履三郎の罪により、六つの年から九年に及ぶ親類預けの果ての「処罰」だった。 ところが案に相違して、島の人々は常太郎を温かく迎えた。大塩の乱に連座した父の名を、島の人々が敬意を込めて呼ぶのを常太郎は聞いた。 翌年、十六歳になった常太郎は、狗賓が宿るという「御山」の千年杉へ初穂を捧げる役を、島の人々から命じられる。下界から見える大満寺山の先に「御山」はあったが、そこは狗賓に許された者しか踏み入ることができない聖域だった。 やがて常太郎は医術を学び、島に医師として深く根を下ろすが、徐々に島の外から重く暗い雲が忍び寄っていた。 『神無き月十番目の夜』『雷電本紀』『始祖鳥記』『黄金旅風』『出星前夜』と、いずれも歴史小説の金字塔となり得る傑作ばかりを書き続けてきた作家・飯嶋和一。 いつの頃からか、書評家や書店員のあいだで、「飯嶋和一にハズレなし」と語られるようになった作家の6年ぶりの新刊です。 今回も超弩級の大作です。存分にお楽しみください!
高級外車窃盗団を追う築地署の刑事游二の眼前に、その女は立ちはだかった。美しい肢体を晒しながら、銀座ティファニーのショウウインドーに銃弾をぶちかましたのだ。少女のような微笑をたたえながら。そしてダイヤのピアスを盗むと、獣じみた哄笑を残して、消えた。同僚の死、ビル爆破、高級車炎上ーー。次々と凶事に巻き込まれる游二が辿り着いた女の正体とは。渾身の傑作長編。
華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。自分だけが彼の魅力に気づいているはずだったのに、手紙をやりとりする女の子がいたなんて。思い通りにならない恋にもがく愛は、予想外の行動に走るーー。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を瑞々しく描いた傑作小説。
男友達もなく女との恋も知らない変わり者の中年男・本田をとらえたのは、レズビアンの親友・七島の女同士の恋と友情だった。女たちの世界を観察することに無上の喜びを見出す本田だが、やがて欲望は奇怪にねじれ…。熱い魂の脈動を求めてやまぬ者の呻吟を全編に響かせつつ、男と女、女と女の交歓を繊細に描く友愛小説「奇貨」と、著者26歳の時に書かれた危うい思春期小説を併録。
実家はインチキ拝み屋。ご先祖様は江戸妖怪の総大将ぬらりひょん。14歳の市村鉄之助は剣の才能皆無なのに、愛犬モモと共に新選組に入隊。源義経の亡霊に取り憑かれて滅法強い剣士と化す。将軍家の重大な秘密を握るため、暗殺者に狙われる沖田総司を絶対に守ってみせる!ご先祖様のお仲間の、お歯黒べったり&お岩さん・お菊さんも大きに応援。新感覚書下ろし時代小説、堂々開幕。
剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた!書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火…。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込み、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動!ますます快調、大人気シリーズ第二弾。
小柄で、泣き虫で、人見知り。濃厚津軽弁話者の相馬いと。高校2年生になり、メイドカフェのバイトも変わらず大奮闘。親友早苗と始めた写真同好会に大きな男子後輩登場!早苗との初ケンカ、男の子への微妙な感情。先輩智美の夢に向かう姿、シングルマザー幸子と娘のやりとり大好きな人たちに囲まれて、いとも確実に成長中。智美主役の短編「ジャンピングニー」も収録の第2弾。
坂東蛍子は桐ケ谷茉莉花が嫌いだった。容姿端麗、運動神経抜群にして、自分と並び称される彼女のことが許せなかった。だが、なぜ嫌いで許せないのか、判らなかった。故に、彼女は果たし状を書く。その日、学園二大スターは、屋上にて決闘する。校舎がお化け屋敷と化し、テロリストに占拠されようと、その程度の“事件”は少女達の青春をとめられない。疾風怒涛の女子高生譚、第二弾。
ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りしていた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのだった……。人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。