2015年10月6日発売
中学生がビルから飛び降りた自殺未遂事件。現場に居合わせた二十五歳の青年・隠館厄介は、生来の冤罪体質が災いし、容疑者とされてしまう。現場には少女が書いたとされる遺書が残されていてー。今日子さんは厄介の疑いを晴らし、事件を解決できるのか?眠るたびに記憶を失う忘却探偵の、タイムリミットミステリー!
日本橋の貸本屋、舞鶴屋で働くおいちは、もと吉原の花魁の卵。その可憐な姿に惹かれて、おいち目当てで訪れる客も少なくない。ある日、旧知の仲である木綿問屋伊勢屋の手代岳三が舞鶴屋にやってきた。岳三は、絵と文を使って謎を閉じ込めた判じ絵を解読するための種本を捜しているという。気軽に「本を捜してみる」と請け負ったおいちには、それが姉の千代姫も巻き込んだ大騒動の発端になるなど、知るよしもなかった。岳三は「その本には、百両の値打ちがある」と言うのだがー。双子の姉妹が入れ替わりながら禁断の書を追う、あやかしお江戸ミステリー!
第二次世界大戦の開戦直後軍靴の響き高まる東欧リトアニアで、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民の人々に自らの判断で二千百三十九枚のビザを発給し、六千人の命を救った日本人外交官・杉原千畝。彼は卓抜した語学力と独自の情報収集能力を駆使し、世界情勢の貴重な情報を発信し続けた優れたインテリジェンス・オフィサーでもあった。政府の意に反してビザを発給した杉原千畝を、戦後、日本の外務省は無視し続けたが、世界は彼の功績を大きく賞賛した。人間・杉原千畝を支えていたものは何だったのか、勇気ある男の感動の真実に迫る超大作映画を完全ノベライズ。
誰もが目を奪われ、憧憬の眼差しを向ける銀幕のスタア清宮朝子は、数々の名作を残し、突如姿を消してしまう。それから五十余年。彼女を大伯母にもつ女優・清宮凛子、そして彼女の母で所属事務所社長の祥子は、あるテレビ局の開局六十周年記念のドキュメンタリードラマ「清宮朝子を捜して」の製作記者発表会見に臨んでいた。伝説の女優を係累に持つ凛子が、朝子を演じることもあり、多くの報道陣が詰めかけたのだ。謎の失踪を遂げた朝子を軸に、半世紀に渡る時を経て、三世代の女の物語がいま、動き始める。
広告代理店のOLだった花丘明希子は、脳出血で復帰できなくなった父親に替わって、花丘製作所の社長になった。しかし、会社は大幅な売り上げ減で銀行から借入金の返済を求められ、資金調達に駆け回ることに。また、同業社の引き抜きにあって五人の社員が辞めていった。そんなとき、大手自動車メーカーから連絡が入る。ライバル企業に発注されていたラジエターキャップに不備があり、仕事が回ってきたのだ。しかし、クリアしなければいけない技術的な壁が!ひたむきに取り組む女性社長の奮闘と、中小企業の心意気を描いた製造業応援小説!文庫オリジナル。
仏・ランス大聖堂の南塔から男が転落、地上八十一・五メートルにある塔は密室状態で、警察は自死と断定した。だが半年後、再び死者が。被害者の共通点は死の直前、シャガールの花窗玻璃を見ていたこと。ここは…呪われている?壮麗な建築と歴史に隠された、事件の意外な結末。これぞミステリー!『最後のトリック』著者による異形の傑作。
折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダンディズム作家の、傑作全十三篇。
「なぜ人生に熱くなれないのだろう?」-圧倒的な虚無を抱えた「僕」は、父の死をきっかけに参加したタイへのツアーで出会った女性と恋におちる。パリへ帰国し、ふたりは売春ツアーを企画するが…。高度資本主義下の愛と性、そして絶望を描き、イスラームの脅威を見事に予言した、最もスキャンダラスな長編作。