2015年10月発売
時は大正十二年。気鋭の探偵作家・平井骸惚のもとに、弟子入りを志願する青年・河上太一が現れる。骸惚は、不可解な自殺を遂げた作家の謎を解いた暁には、弟子入りを認めようと河上に持ちかけるのだが……?
気心のしれた女同士で飲むお酒は、自分を少し素直にしてくれる…そんな中、思い出すのは、取り返しのつかない色んなこと(「元気でいてよ、R2-D2。」)。産休中の女性編集者の下に突然舞い込んだ、ある大物作家の原稿。彼女は育児に追われながらも、自ら本作りに乗り出すが…(「スイッチ」)。本人ですら気付かない本心がふと顔を出すとき、世界は崩れ出す。人の本質を巧みに描く、書き下ろしを含む9つの物語。
1924年、世界初のエヴェレスト登頂を目指し、頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロリー。登攀史上最大の謎の鍵を握る、マロリーのものと思しき古いコダックを手に入れた写真家の深町誠だが、何者かにカメラを盗まれる。行方を追ううち、深町は孤高の登山家・羽生丈二に出会う。羽生が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀だった。山に賭ける男たちを描いた、山岳小説の金字塔、待望の合本版。
鎌倉・由比ヶ浜にある浄泉寺。住職だった父親に代わり、息子の凜太郎が継いでいる。しかし、寺の運営に全く関心のない彼は、アルバイトの僧侶を雇い、気ままにサーフィンを楽しむ日々。ある日、身体中にキズがある女子高生が駆け込んでくる。家族に相談出来ないと言い張る彼女を見捨てることも出来ず、渋々宿坊を貸すハメに。家出の原因を探っていくと、友人関係のトラブルだと分かり、解決に向けて動き出す。人生に迷った人たちの心の葛藤を描く、潮風香るハートフルストーリー。
内神田にある手習所「上谷塾」に新しい手習子・今井竹之助がやってきた。上谷家の皐と幸太郎姉弟が通う「比賀道場」の師匠・比賀兵衛の縁者だという。塾の師匠である上谷理与が人見知りの竹之助を心配するなか、彼は幸太郎と肩を並べるほどの秀才ぶりを見せつけるのだった。お互いの存在を意識し合う竹之助と幸太郎。2人の距離が縮まろうとした矢先、比賀が何者かに襲われる事件が起きてしまうー。書き下ろし時代長篇。
双子の片割れの死体が埋まったこぶを頭に持ち、周りの人間を死に追いやる宿命を背負った男ーボズ。香港九龍城、カンボジア内戦など、底なしの孤独と絶望をひきずって、戦後アジアを生きた男の壮大な一代記。
もしも「記憶屋」が、つらくて忘れたい記憶を消してくれるなら、あなたはどうするーー? 夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座っていると現われ、忘れたい記憶を消してくれるという怪人、「記憶屋」--。大学生の遼一は、そんなものはただの都市伝説だと思っていた。だが互いにほのかな想いを寄せ、一緒に夜道恐怖症を乗り越えようとしていた先輩・杏子が「記憶屋」を探しに行き、トラウマと共に遼一のことも忘れ去ってしまう。まさかと思う遼一だが、他にも周囲で不自然に記憶を無くした人物を知り、真相を探り始める。遼一は、“大切なものを守るために記憶を消したい”と願う人々に出逢うのだが……。 「記憶」を消せることは、果たして救いなのだろうかーー? そして、都市伝説の怪人「記憶屋」の正体とはーー? 衝撃的で切ない結末に、きっと涙こぼれる。 二度読み必至の青春ノスタルジックホラー! ★第22回日本ホラー小説大賞 読者賞受賞作★ 書店員さんの支持No.1!! 「泣けました…」と感涙・絶賛の声、続々!! ・ノスタルジックホラーの名作になる予感がします。泣けるホラーとして推したいです。 ーー中目黒ブックセンター 佐藤亜希子さん ・一ページも目をそらすことのできない心のゆさぶられかたでした。 ーーオリオン書房 所沢店 高橋美里さん ・ミステリー要素も濃密でとても自分好みの作品でした。 ーーTSUTAYA 三軒茶屋店 栗俣力也さん ・恐怖感やせつなさ悲しさなどいろんな感情がこみあげてきました。 ーー八重洲ブックセンター 本店 鈴木貴之さん Prologue 1st.Episode:ノーティス at present 1 2nd.Episode:ラスト・レター at preset 2 3rd. Episode:コーリング・フォー・モラトリアム at present 3 4th Episode:ファースト・アンド・ラスト・コンタクト
医療事故で働き場所を失ってしまった外科医の九十九勝己は、知人の勧めで「神酒クリニック」で働くことに。そこでは院長の神酒章一郎を初め、腕は立つが曲者の医師達が、世間に知られることなくVIPの治療を行っていた。彼らに振り回されつつも、新しい職場に慣れていく勝己。しかし神酒クリニックには彼が知らない裏の顔が。秘密のクリニックで勝己が請け負う「仕事」とは!?個性的過ぎる医師達が贈る、メディカル・エンタメミステリ、ここに開幕!!
夏の猛暑日、京都市左京区で女性の扼殺体が発見された。被害者は藍染作家・由良美津子、38歳。締められた美津子の首筋には、藍色の染料が残っていた。時を同じくして、別の殺人事件で逃走していた指名手配犯が北九州市で逮捕されたという一報が入る。犯人の佐伯は京都に住んでいた20年前に婦女暴行を重ね、美津子もその被害者のひとりだった。京都府警刑事部・捜査一課のキャリア刑事・大橋砂生が捜査を進めると、美津子の周辺で目撃されていた怪しい男の存在が浮上するーー。
12歳の走哉は、運動神経抜群の妹と短距離走選手だった父に挟まれるように、毎朝ランニングの練習をしていた。「自分には走る才能がない」周囲から期待されていないこともわかっていたが、走哉は走ることが好きだった。地区で駅伝大会が行われることになり、クラスから参加するヒロシたちのチームに勇気を出して声をかけるが、「補欠なら…」と返されてしまう。悔しさを必死に呑み込み、自主トレを続ける走哉。そんな彼に対しチームのみんなも、一緒にたすき渡しの練習に行うようになる。そして、大会当日。アンカーのヒロシにアクシデントが起きて……!? 才能は全ての人が授かるわけではない。でも、 「走りたい、ただそれだけ」あさのあつこ氏驚愕の、新人デビュー。12歳の少年が友情に支えられながら、駅伝ランナーになる夢をあきらめずに走り出すまでをみずみずしく描いた、心が奮う青春駅伝小説! 駅伝ランナー ・リレー ・駅伝大会 ・部活 小鳥の憧憬
旗本家次男の角次郎は縁あって米屋の大黒屋に入り婿した。米の値段が下がる中、仕入れた米を売るために、角次郎は新米を江戸に運ぶ速さを競う新米番船に参加する。妻と心を重ね家族一丸で米屋を繁盛させていく物語。
大川で惨死体が上がった。吉宗配下の御庭番にして、採薬使の佐平次は探索を命じられる。その死体が握りしめていたガラス棒を手がかりにとして、事件を追うことに。一体何のために使うのか……。同じ頃、西国では蝗害が広がり、稲作に深刻な被害をもたらしていていた。採薬使仲間は原因究明のために江戸を発たせた佐平次だったが……。期待の作家が描く、新解釈時代ミステリ登場! 江戸四大飢饉の一つ、享保の大飢饉の謎に迫る!!
海外の怪奇幻想小説から、傑作を選りすぐり、 一流の翻訳で、ホラー愛好者に贈るナイトランド叢書。 第4回配本は、荒俣宏・訳のホジスンの傑作! ラヴクラフトの先駆をなす宇宙的恐怖! 廃墟に遺された手記が物語るのは、 異次元から侵入する怪物たちとの闘争と、 太陽さえもが死を迎える世界の終末……。 〈ボーダーランド三部作〉の一つとして名高い SFホラーの傑作! 書き下ろし訳者あとがき付。
彼岸と此岸をとりむすぶ直木賞作家の傑作小説。裕福な家を出て画家を志す青年、槇島風波。彷徨う魂を己の絵で成仏させる天才画家、穂村江雪華。闇に浮かぶ幽鬼、死してなお現世に留まる未練者。帝都に蠢く怪を追う大正怪異事件帖、第二弾。
犬との暮らしが教えてくれる。愛する気持ち、愛される気持ち。今を大切に生きることの素晴らしさ。病と闘う少女のそばに寄り添う「トイ・プードル」、絶望した男の前に現れた捨て犬「フレンチ・ブルドッグ」ほか、「ミックス」「ラブラドール・レトリーバー」「バセット・ハウンド」「フラットコーテッド・レトリーバー」書き下ろし「バーニーズ・マウンテン・ドッグー魂の伴侶ー」珠玉の短編計7編を収録。犬を愛するすべての人へ捧げる、書き下ろし巻頭詩「いつもそばにいるよ」も必見!!
2015年ミステリー界のダークホース! 東名高速道路裾野バス停付近で、男性の他殺死体が発見された。被害者・須藤勲は41年前、息子・尾畑守を誘拐されており、遺体は発見されたが事件は未解決のままだった。静岡県警の日下刑事は、須藤の死と誘拐事件に関連性があると捜査を開始する。尾畑守くん誘拐事件については、時効直前の昭和63年夏、県警の威信をかけて再捜査が行われていた。日下は再捜査の指揮をとった当時の管理官・重藤成一郎元警視に面会を求める。 41年前、静岡県で起きた幼児誘拐事件。 26年前に時効成立した事件が、いま再び動き出す。 二度敗北した静岡県警に、三度目の機会はないはずだった。 【編集担当からのおすすめ情報】 江戸川乱歩賞受賞作『誘拐児』から7年、 誘拐ミステリーの新たな金字塔、誕生!
ある小村に村医者として赴任したアムベルクは、亡父の旧友フォン・マルヒン男爵とその養子の不思議な少年と出会う。帝国復活を夢みる男爵の謎の計画に次第に巻き込まれていくアムベルク。夢と現実、科学と奇蹟の交錯がスリリングな物語の迷宮を織りなす傑作。
刑務所長のわたしに全囚人を見せて欲しいと、前触れなく刑務所をおとずれた女性。死刑囚を最後に「あんたはもう足を突っ込んでるのかもしれない」と言い残して死んだ。送られてきたメッセージにしたがって車に乗り込むと、それから悪夢のごとき長いドライブと予想もつかない冒険がはじまった。