2015年11月発売
高層ビルの執務室で男が死体となって見つかり直後、ニューヨークを大停電が襲うー現場にたどり着いた隻眼の探偵はさまざまな証言の中から犯人を追い詰めていく。屈指のクイーン研究家がセレクトした珠玉のミステリ!
蓮は、要塞国家トーキョーの中でも最強といわれる特殊警察部隊白狼・第十三番隊副隊長として、治安を守るために反政府過激テロ集団「紅椿」や「黒龍」と日夜戦っていた。そんなある日、紅椿の手によって襲撃された現場に駆けつけると、紅椿の主戦力である破壊兵器“からくり”と、“ヒト型からくり”が暴れていた。蓮は、ヒト型からくりの“椿”と対峙するが、戦闘中、それが幼き日に失った大切な少女・凛にそっくりであることに気づいてー。
藤堂率いる国際的犯罪組織と、日本最大の暴力組織“本社”の銃撃戦に巻きこまれ、消息を絶った藤堂の娘・カスミ。助からなかったのか、父の下で犯罪者として生きると決めたのかー捜査班はカスミを捜し出し、藤堂を捕えるため、抗争の鍵を握る男・村雲の行方を追う。捜査のうちに行き着いたのは、ある極秘の議定書の存在だった。今までの潜入捜査と4人の過去が繋がる衝撃、感動の完結編が待望の書籍化!
吉原の駒屋の遊女・小梅が、代筆人の雪乃を訪ねてきた。姉に反物を送る添え書きを頼みに来たのだった。だがその翌日、小梅が何者かに殺されたのを同心の岡島から聞かされる雪乃。小梅を吉原に連れてきた女衒の銀次が絡んでいるのか。さらに、気落ちする雪乃に、小梅からの風呂敷包みが届けられるがー。小梅の包みを巡り、暗躍する者たち。花魁でくノ一の丸山、修験崩れの翔英らの宿命の糸を雪乃が紡ぐ。書き下ろし時代小説。
水不足の村に現れた悪徳役人・伊舎堂。村人の窮状に追い打ちをかけ、強制労働の果てには、信仰や娯楽まで禁止してしまう。村を絶望が襲うなか、役人の番所に火が放たれる。その犯人は、なんと屋良座ノロだった(「間切倒」)。那覇の町で巻き起こる6つの事件に、新米岡っ引きの武太が立ち向かう。失敗を重ねながらも成長してゆく武太と、市井の人々を生き生きと描きあげた心躍る物語。幕末・琉球王朝を舞台に、武太が駆け抜ける!
放蕩者だったが改心し、雪駄作りにはげむ丑松が、猫字屋に一俵の小豆を持って来た。妹のおきぬが世話になっている礼だと言うが、時を同じくして、汁粉屋の蔵に賊が入っていて…(「寒の雨」)。病に臥す助松の容態が悪化。竹蔵は、助松と揉めた過去を語り、罪滅ぼしのため助松の息子、幾松にある提案をする(「寒四郎」)。過去のしがらみも明日への糧に、どこまでも健気に前を向く人々を温かく描く、書き下ろし江戸人情小説第六弾。
年の瀬迫る忙しない時期。烏丸家の若き当主・花穎と初めて過ごすクリスマスに、冷静沈着な執事・衣更月蒼馬は少なからず気負っていた。しかし、執事の采配の腕の見せ所であるはずの聖夜の晩餐は取りやめになり、主人の花穎は名家の人々が集う演奏会に行くのだという。落胆を胸に秘め、会場へ付き従った衣更月は、そこで各家の個性際立つ使用人たちと不本意な交流をすることに…。半熟主従が織りなす上流階級ミステリー!
「空想の中でしか、私は生きられないから」-中学時代の八雲にまつわるエピソード「真夜中の図書館」(『心霊探偵八雲』のスピンオフ)、物語が禁止された国に生まれた子どもたちの冒険「青と赤の物語」、ノベロイド研究にのめり込み、「物語AI」におもしろい小説を書かせようと奮闘する高校生の青春模様「ワールズエンド×ブックエンド」など、「小説」が愛おしくなる8編を収録。旬の作家によるバラエティ豊かなアンソロジー。
金沢市内の大学で生物学を教える山田博士に、ひとつの奇跡が起きた。人生初の人間の彼女ができたのである。しかし山田にはすでに学内公認の恋人がいた。それは「枕さん」という生き物で、山田の夢にしばしば少女の姿で現れる。そして絶妙なタイミングで山田に謎ときのヒントを与えてくれる女神のような存在なのだった。でもこの「枕さん」、傍から見れば何の変哲もない、ただの枕で…。妄想理系男子の“遅すぎる”青春小説!
会社の幹部たちが粛々と進めていた計画倒産。リストラ候補もピックアップし、会社は思いのままになるはずだったーのだが、メインバンクのご意見番が社長に指名したのは、弱冠19歳の桑田伸子。平凡な生活から一転、秘書の純子や、友達以上恋人未満の昌也、元営業部長の三枝に支えられながら、業務と社内改革に奮闘する日々。そんな中、前社長の愛人の遺体が、会社所有のマンションで発見される。パワー全開の痛快ミステリ。
殺人未遂罪で服役中の宅間善人の冤罪が証明された。元は京都府警広報課勤務。10年の服役中に犯罪の手口、技能、背景や心理などすべてのデータを記憶するスペシャリストになった彼は、女性刑事・千波ら個性派が揃う新設の特別捜査係に復職する。しかしそこは閑職。千波が未解決事件を手に入れるが、無関係に思えた4つの事件が宅間が見つけた糸でつながり…。異色の警察ミステリー、スペシャルドラマ第1&2弾待望のノベライズ。
2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとはー。表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。
ぼくはあのひとが好きでたまらない。ロサンゼルス五輪に参加する選手団を乗せた客船で、坂本は高跳び選手の熊本秋子に一目惚れした。しかし、2人の仲を同僚に揶揄され、ついには選手間の男女接触禁止令が出てしまう。オリンピックに参加した自身の体験を描いた「オリンポスの果実」、晩年作の「さようなら」など、珠玉の6篇を厳選。太宰治の墓前で散った無類派私小説家・田中英光。その文学に傾倒する西村賢太が編集、解題。
鉄道の旅を愛し、突然姿を消した叔父。そのゆくえを探し、一心に列車に乗り続ける香澄だが、いつしか各駅停車旅の醍醐味を味わっていた。京急の歌う電車に秘めた技術者の願い、南阿蘇鉄道で出会った美しい蝶、小海線の大カーブをめぐる考察…やがて、新たな情報に導かれ、今なお震災の爪痕が残る東北へ向かうことになるのだがー線路がつなぐ人々の想いが心揺さぶる、鉄道旅ミステリ第二弾!文庫オリジナル。
皐月の大雨に見舞われた江戸。江戸城台所人の鮎川惣介は、自宅近所で浸水の対応に追われていた。翌朝、気付くと同居している英吉利人の末沢主水が行方不明に。以前彼が在籍していた天文屋敷へ捜しに行くが、門前払いをされてしまう。焦燥と疲労で倒れた惣介が目覚めると、さらなる騒動が待ち構えていた。一方、娘の鈴菜が嘘をついてまで出掛けていたことが発覚。鈴菜は何を隠しているのかー。人気書き下ろし時代小説第2弾。
僕が住む平屋は少し臭い。とくに薄暗い廊下の真ん中にある便所は臭く、そして怖い。ある日の夕暮れに、暗くて臭い便所へ向かうと…(「便所の神様」)。無職になった私は秩父にある実家に戻った。ただし私は家が好きになれない。得体の知れないシリミズさんが祀られている上に、中庭には変なモノが出る(「シリミズさん」)。暗闇が匂いたち、視界が歪み、記憶が混濁し、やがて眩暈をよぶ。京極小説の本領を味わえる8つの物語。
建設コンサルタント・二宮の菩提寺で起きたトラブルに、ヤクザの桑原が喰いついた。鎌倉時代から続く伝統宗教の宝物「懐海聖人絵伝」。その絵柄を染め抜いたスカーフを作るために住職が振り出した約束手形を使い、ふたりは本山に返却されていない三巻一組の絵巻物を狙う。極道、美人画商、悪徳刑事が入り乱れ、渾沌とする争奪戦の行方はー。ミステリ史上最凶コンビ再び!直木賞受賞作『破門』へ続く、「疫病神」シリーズ!
普通の女子高生・水分佳乃は、祖母の形見の品を持ち帰った日から、一人暮らしのマンションに、人の気配を感じるように。そんなある日、佳乃は食卓に座る子供と出会う。「座敷わらし」と名乗る子供は、なんと日に日に成長し、気づけば妙齢の男前に。性格は「わらし」のままなのに、親友には「私に黙って彼氏を作るなんて!」と誤解され、焦る佳乃だが…。「成長しちゃう座敷わらし」と女子高生の、ちょっと不思議な青春小説!
東京の下町・谷中を舞台に、真面目すぎてサエない落語家“のようなもの”である志ん田が、落語を捨て気楽に生きる兄弟子の志ん魚と出会い、自分らしい生き方を模索しながらも答えを導き出していく。何者にもなりきれないものたちの、笑いと涙にあふれた物語。故・森田芳光監督の伝説のデビュー作『の・ようなもの』から35年を経て生まれた続編的映画、『の・ようなもののようなもの』のオリジナル小説。