2015年11月発売
大規模多人数同時参加型オンラインRPG“セルフ・クラフト”のゲーム世界では、人工生命“G-LIFE”が奇跡の独自進化を遂げていた。ゲーム内のド田舎村で旅人を迎える役目のエリスは、九州女性(?)のノンプレイヤーキャラクター。砂漠で彼女の命を救ったプレイヤーのGENZは、G-LIFEの不可思議な生態を研究しているという。そこへ謎のハッカー集団の侵入事件がー世界最高の熊本弁ファンタジーSF!
国民管理のために首輪型嘘発見器の着用が義務付けられた世界。非合法の首輪除去技術を持つ少年フラノは、強盗犯、痣のある少女、詐欺師、不倫妻、非情な医者、優しすぎる継母など、様々な事情を抱えた人々の依頼を請けて日銭を稼いでいた。だが彼には密かな目的があった。ある人のために、特殊な首輪を探しだして、外すこと。首輪には複数のタイプがあり、中でも、フラノに技術を仕込んだ師匠ですら除去法を教えられず、存在自体ほとんど確認されていない難攻不落の型こそ、フラノが探す首輪・レンゾレンゾだった。レンゾレンゾを求めることがやがてフラノを窮地へ追いやり、さらには首輪に隠された秘密へと導いてゆく。人はなぜ嘘をつき、また真実を求めるのか。フラノが辿り着いた衝撃の結末とは?近未来の管理社会を生きる少年の苦悩と成長を瑞々しい筆致で描く、ディストピア青春ミステリ。小説推理新人賞とダブル受賞でデビューした超大型新人による、第5回アガサ・クリスティー賞受賞作。
アガスティアリゾートーマイン社が運営するサンフランシスコ沖合の特別提携地区。そこでは住民が自らの個人情報ー視覚や聴覚、位置情報などのすべてーへの無制限アクセスを許可する代わりに、基礎保険によって生活全般が高水準で保証されている。しかし、大多数の個人情報が自発的に共有化された理想の街での幸福な暮らしには、光と影があった。リゾート内で幻覚に悩む若い夫婦、潜在的犯罪性向により強制退去させられる男、都市へのテロルを試みる日本人留学生ーSF新世代を担う俊英が、圧倒的リアルさで抉り出した6つの物語。そして高度情報管理社会に現れる“永遠の静寂”とは。第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
インド、アラビア、東アフリカ……大英帝国の作家・冒険家リチャード・バートンの旅路は続く。重層的な語りから生まれる、めくるめく世界の姿。ブルガリア系ドイツ人作家による越境文学の傑作!
愛猫を亡くし、喪失感にうちひしがれていた立花明海は、西船橋の古書店で普段は読まない自己啓発系の本を買う。すると、中に元の持ち主の名刺が栞代わりに挟んであり、明海が最も心を動かされたフレーズにはすでに傍線が引かれていた。気になった明海は意を決して名刺の「大滝あかね」に連絡をとる。会うと、あかねは明るい年上の女性で、日常の物事を幸福感たっぷりに捉えている“幸せの天才”だった。明海には、今まさに恋愛関係に発展しそうな会社の同僚・松原弥生がいたが、あかねの存在が徐々に大きくなっていく。だが…あかねには恋人がいた。彼は病に伏し、余命宣告を受けているというー。
男に騙され、会社も辞める羽目になってしまった神戸美菜代は、凄腕の復讐屋がいるという噂を聞きつけ、その男、成海慶介の事務所を訪ねる。が、イケメンでオレ様の成海に足元を見られ、けんもほろろに追い払われてしまう。諦めきれない美菜代は弟子入りを志願、押しかけ秘書として成海の事務所で働きだす。
夏の盛りの8月。日本・韓国・台湾の高校生32人が、国際交流の研修で台湾にある孤島に集まった。研修5日目の夜、打ち解けてきた生徒たちのスマホに、“王様”を名乗る人物から謎のメールが送られてくる。そして、再び地獄のゲームが始まった!生徒たちの間には、やがて疑心暗鬼が募り、対立が広がっていくー
仕事に情熱を燃やすグレースは、ある日、上司が殺害され、お酒の瓶が転がっているのを発見する。過去の恐ろしい記憶が甦ったー十六歳のとき、男に襲われ、正当防衛から相手を殺してしまったのも同じ酒瓶だったのだ。再び過去の悪夢に悩まされはじめたグレースは職を失うが、そんなとき友人からジュリアスという男性を紹介される。ビジネスで大成功を収め、冷静ながらも情熱的な彼にグレースは惹かれていく。だが、死んだはずの上司から毎晩メールが届くようになり…
深夜の放火事件。無人だったはずの建物で身元不明の少女が焼死し、警備員の射殺体が見つかる。現場に向かったのは刑事オリヴィアと消防士のデイヴィッド。かつて運命的な一夜を共にした男女だったが、それぞれの心の傷からあと一歩が踏み出せず、音信不通の日々が続いていた。気まずい再会を経て、捜査協力をきっかけに徐々に心を通わせる二人ー。一方、逃げた放火犯は、謎の男からの脅迫を受け、さらなる放火を強要されて追い詰められていく。脅迫者はいったい何者なのか?オリヴィアたちの恋のゆくえは!?
天平6年、正月11日、興福寺西金寺の落慶供養が行われた。 安置された30体近くの仏像群の中で、ひときわ目を引いたのが、後に「日本人にもっとも愛された仏像」と言われる、あの阿修羅像だった。「神というより、人のようではないか」--若き仏師がそこに込めた思いとは。 苛烈な権力争いを繰り広げる男たちと付き従う女たちの葛藤、ひたむきな愛をドラマチックに描き上げた、日本人の魂の琴線に触れる感動の物語。
大切なものを失う悲しみを、まっすぐに描いた感動作。40歳にして免許を取得した戸倉は、友人須崎、その恋人琴美の3人で、伊勢神宮へドライブに出かけた。本当の願掛けにいくのだ。著者初の書き下ろし。最初で最後の「泣ける」恋愛小説。
もののけに襲われた美少年大学生・理生。助けてくれたのは妖狐銀之丞ーー神主様なのにオレ様、守銭奴、ぐうたら。彼と奇怪な事件に巻き込まれ、前世からの不思議な縁が明らかに!乙女系×あやかし文芸融合エンタメ!
父の衝撃の発表から一週間あまり。とうとうあの人が載った列車が、バックショー仮駅に到着した。みんなで列車を出迎えている折、フレーヴィアは見知らぬ男から父への謎めいた伝言を頼まれる。しかしその直後、男は誰かに押され、列車に轢かれて死んでしまった……。徐々に明らかになる謎めいた言葉の意味、ド・ルース家の秘密。大人気のフレーヴィア・シリーズ、大団円の第六弾。解説=穂井田直美
敵対していた小国の族長がモアン王国を訪れたそのとき、族長とモアン国王を何者かの矢が襲った。どちらも命に別状はなかったが、襲撃がモアン側の陰謀だという相手の主張に、両国は一色触発の危機に陥る。国王は自国の潔白の証明を、妹であり、法廷弁護士、裁判官の資格をもつ修道女フィデルマに託した。だが襲撃者は既に殺され、フィデルマはわずかな証拠をたよりに襲撃に使われた矢の出所と思われる村に向かう。好評シリーズ第七弾。
イムラックの大修道院で大切に保管していた聖遺物が紛失。保管担当の修道士が失踪した。そんなとき、国王と族長襲撃事件の調査にフィデルマが修道院にやってきた。救いの神とばかりに院長は調査を依頼する。聖遺物はモアン王国の宝。襲撃者のひとりが元修道士であったこともあり、ふたつの事件の結びつきを感じたフィデルマは院長の依頼を引き受ける。王国の平和と威信がかかった難事件を、フィデルマは解決することができるのか? 解説=若林踏