2015年11月発売
没落華族の令嬢・十和子に、新興企業の社長・桐谷との結婚話が持ち上がる。十和子が出した条件は「わたしのすることに口を挟まないこと」。実は彼女は、下町の食堂「ななつぼし洋食店」を経営していて…?
夜見坂少年の生業は、先代から引き継いだ金物屋。もうひとつ引き継いだのが「まじない業」。不本意ながら、こちらの方が繁盛している。ある日、男爵家から「呪殺を阻止してほしい」という依頼が…?
興信所を営む曽根崎栄治の前に、女子高生・民代が現れる。十九年前に突然姿を消した恋人・真弓が産んだ栄治の娘だと主張する彼女は、二人の人物を探して欲しいと依頼する。半信半疑ながら栄治が調査を進めるうち、民代は、調査対象者のどちらかが世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件の犯人だと言いだし…。この子は一体、何者なのか。犯人の正体は何なのか。ノンストップ恋愛ホラーサスペンス!
デモ、ネット炎上、ステマ、電凸……市町村合併を目前に控え、インターネットから始まる〈見えない戦争〉を描く表題作ほか、ベストセラー『となり町戦争』のスピンオフ短編も収録。(解説/卯月鮎)
虫への〈変身〉を夢見た伝説のサックス奏者。彼の行方を追い求めた先に私が見たのは絶対にありえない戦慄の光景だった……。カフカの『変身』を通奏低音にして描く音楽ミステリー。(解説/円堂都司昭)
医学部入学を目指し大学浪人中のアキラは、いとこの善男が営む老人グループホーム「八方園」に下宿することになる。三十半ばでバツイチ、元役者、めっぽう口が悪くて老人たちを婆ぁ呼ばわりする善男だが、なぜかホームに暮らすみんなからの信頼は厚い。赤の他人ながら共同生活を送るうち、彼らは互いにかけがえのない存在になっていく。著者の代表作『おれのおばさん』に繋がる連作短編小説。
配属先はローカル遊園地!?ディズニーランドで働く夢に破れ、二度と遊園地には行かないと心に決めた久瑠美。失意のうちにホテルへの入社を決めた彼女が命じられたのは、グループ傘下にあたる九州の遊園地での勤務だった。理想と現実のギャップに不満だらけの久瑠美、しかしそこでは更なる試練が待ち受けていたー。遊園地の知られざる裏側と不慣れな地で奮闘する新米社員を描くお仕事小説。
“曹操暗殺計画”に加担した劉備を討つため、曹操は徐州を攻略。一旦は降伏した関羽は、劉備の無事を知ると曹操の下を去る。中原への進出を目論む江東の小覇王・孫策の病死により後顧の憂いがなくなった曹操は、河北四州を占め強大な勢力を誇る袁紹と、雌雄を決するべく出陣。決戦の地、官渡へ向かう。一方、新野に雌伏する劉備は、稀代の天才軍師・諸葛亮を幕下に迎え、勇躍の時を待つー。
気弱な古書商が出会った本は、なんとシェイクスピアの正体を決定づける奇書だった!? 余白にある謎のサイン、命を狙う追っ手。果たしてこの本は本物か? 極上ビブリオ・ミステリ。(解説/穂井田直美)
女性検事ヤナには幼い頃の記憶がない。あるのはうなじに刻まれたKer(ケール)の文字だけ……。移民局職員殺害事件がスウェーデン社会のひずみ、そしてヤナの過去へとつながっていく。異色の北欧ミステリ。
長屋の平和を守るため、悪党たちしぶしぶ大奮闘!スリに詐欺師に美人局、実は凄腕ばかりの善人長屋に迷い込んだ本物の善人・加助。人助けに燃え、減らず口の不良娘やケガをした当たり屋、不審な傷だらけの男児など、面倒の種をせっせと連れ帰り、そのたび騒動に巻き込まれる住人たちは戦々恐々。しかも拾った行き倒れが西国の盗賊一味と判明。とばっちりで差配の母娘が囚われてー!?
こんな食卓、私だけーー?ちょっぴりビターな、大人のための食小説。365日、食べて生きるわたしたち。好きな人といても、仕事や趣味に打ち込んでいても、お腹が空いていては幸せになれないのです。美味しい生活を求め奔走する男女6人、悩みはそれぞれ。偏食、孤食、料理ベタに味覚障害ーーこのコンプレックス、なんとかしたい! 大人気『給食のおにいさん』著者が描く、新食感ごはん小説。
鬱病、家庭崩壊、自殺未遂、大震災、麻薬逮捕。21世紀の碌でなし文学誕生。生からの一瞬の暗転として確固たる死を想え。不測の事態で流動する恥多き人生のただ中でこそ。時間を自在に往き来しながら、時に幻想的に、あるいは軽妙なユーモアのうちに、切実な記憶の数々を有機的につなぎ、やがて生命の喜ばしき光に到る……。泥沼のスランプを脱した著者10年ぶりの復活を証して、異彩を放つ長篇小説。
ウチの親って、絶対になんか変! と思っているあなたに贈る究極の毒親物語。私にとって、人生最大の悩みは両親でした……何気ない一言に浴びせられた罵倒、身に覚えのない行為への叱責、愛情のかけらもない無視、意味不明の身体接触。少女の頃から家庭で受けつづけた謎の仕打ちの理由を、両親を亡くした今こそ知りたい。驚愕の体験談を投稿の形で問いかけ、毒親から解放される道を示唆する「相談小説」。