2015年12月発売
寄生して成長するコウモリラン、いつの間にやら大繁殖するホテイアオイ、暗くてじめじめしたところにいるほど生き生きするコケ…。植物のそんな生態は、あの子やこの子にそっくり。人間の不可思議な行動を植物の生態に模して描く、朝倉かすみ版・植物誌!
王串ミドロ、三十三歳。声優としてもぱっとせず、お笑い芸人としても無名。だが年末のマンザイ・グランプリで優勝すれば、どんなに無名でもキャリアがなくても、一夜にしてスターになれる!こうして漫才コンビ“ゼロワン”は、マングラの頂点を目指し、悩みながらも奮闘を開始。頼りなくも健気で熱心な若き相方零、圧倒的な人気と実力を誇るライバル“クロエ”、自由奔放な恋人マドカらの存在を糧に、芸人・王串は自分の笑いを形づくろうとする。零の兄で不慮の死を遂げたかつての相方壱が、王串の作るネタに落とす影とは…。笑って泣けて元気の出る、青春小説の傑作!
小説家の私が妻と三匹の猫と住みはじめた築五十年の世田谷の家。そこに暮らす人々の音や交錯する視線に誘われるように立ち上がる家の記憶は、やがて生と死、過去と現在を溶かした壮大な交響曲となり、いま私たちは“世界の深層”を体感する。日本文学の傑作にして、著者代表作。
家康に靡かず、志をまげず、上野の地から、一路故地、上田を目指す。上田城では、秀忠の軍勢を、さんざんに翻弄し、釘付けにする。九度山麓での隠栖、雌伏十余年、ついに大坂城からの招請が。いざ真田丸出陣ー。花の女性を鏤めつつ十勇士も奮迅の働き…豪艶雄渾に描く、驍将の生涯。大ロングセラー記念復刊。
クリスマス商戦のさ中、デパートのおもちゃ売り場でアルバイトをする十九歳の女性テレーズは、美しい人妻と出会う。彼女の名はキャロル。テレーズは恋に近い気持ちを胸に、キャロルに誘われ自動車旅行へ。二人を待つ運命を、彼女たちはまだ知らない…サスペンスの巨匠ハイスミスが匿名で出した幻の恋愛小説、待望の本邦初訳。
男が真夜中の駐車場を全力疾走し、そのままビルの壁に激突して重傷を負った。探偵の鵜飼杜夫は、不可解な行動の裏に隠された、重大な秘密を解き明かしてゆく。(「死に至る全力疾走の謎」)烏賊神神社の祠で発見された女性の他殺死体が、いったん消失した後、再び出現した!その驚きの真相とは?(「烏賊神家の一族の殺人」)何遍読んでも面白い、烏賊川市シリーズ傑作集!
同僚の真由美のひと言から、社長の金城と玲子に因縁めいた過去があることを知る雅也。そんな折、女子大生の依頼でストーカーの捜索と彼女の身辺警護に携わる。だが、消息は掴めず、やがて、事態も収束かと思われたその矢先、彼と任に当たっていた玲子が姿を消す!そして明らかになる金城たちの過去とは…!?仲間のために探偵社のメンバーは街を駆ける!シリーズ第三弾。
町の小さな稲荷神社の参道に、知る人ぞ知る「和菓子処しみず」はある。春夏秋冬、季節のスイーツを求めて暖簾を潜れば、絶品和菓子に、甘酒、おでんや焼きそばまで、旨いものが勢揃い。店の主人・山崎ぶたぶたにも、運がよければ出会えるはず。変わった名前だけれど、その正体は…?疲れたとき、悩んだとき、ぶたぶたの作る甘〜い和菓子で、ひと休みしていこう。
「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく…。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!
岸谷亮一は自動車販売会社の営業マン。三十歳の誕生日に上司に誘われ、初めてSMショーの店を訪れる。店のママで、“女王様”の姫花から個人的に誘いを受けた岸谷は、彼女に導かれるまま上流階級の秘密の社交界へと踏み入っていく。平凡な生活を送っていた男の運命が動き始めた…。青春官能小説をリードし続ける著者が、官能の海を旅する青年を瑞々しく描く!
長距離トラックでの仕事を終えて、健二が帰宅すると、マンションの部屋はスッカラカン。妻の香織が家財道具一式を引き払って出て行ったのだ。健二の実家に二歳半のひとり娘を預け、消えた妻。大型タンクローリーの助手席に乗せた愛娘とともに、仕事をこなしながらの妻探し。香織が出て行った事情とは!?愛しの妻と復縁は出来るのか!?笑って笑って、泣ける一冊。
(サル)猿田(コ)骨崎(リ)リサコ、三人のメンバーによる「便利屋」には、「便利屋」の範疇を超えた依頼が舞い込む。失言を恐れる議員を辞職の危機から救い、自殺志願の少女に思いとどまるよう説得。行方不明者のブログ代筆や替え玉受験、首の切断まで。無理難題が次々と押し寄せる!破天荒トリオが巻き込まれる七つの短編ミステリーと五つのショートショート。
仮面兵団に侵攻されたシンドゥラ国が援軍を求めてきた。アルスラーンは、ナルサスの助言を受け、敵の意表を突く策をとる。それは、北側から迂回し、チュルク国境を突破するというものだった。作戦は功を奏し、パルス軍は勝利の進撃を続けるのだが…。ついに迎えるヒルメスとダリューンの一騎打!さらにファランギースの悲しい過去が明かされるシリーズ第九弾!
将軍の毒味役を務める矢背蔵人介は、実父・孫兵衛の料理屋で孫兵衛の元上役である天守番之頭・中村勝之進と出会う。しかし、中村は何者かに斬られてしまう。その裏には薩摩の影がちらつく。なおも死の背景を探る蔵人介の前に、父・孫兵衛の知られざる過去が浮き上がり、自らの「出生の秘密」も明らかになってくる…。衝撃のラストに落涙必至の人気シリーズ第十七弾。
御広敷添番として四代将軍家綱の側室を刺客から守った無住心剣術の達人、工藤小賢太。その後、役を解かれて小普請入りすると、妻を娶り子どもたちとの穏やかな生活を送っていた。元号が元禄に変わり、跡継ぎのいない綱吉の将軍継嗣を巡る争いが勃発すると、またも小賢太は巻き込まれることにー。前巻『幻影の天守閣』刊行から十一年。著者渾身の書下ろし「続編」。
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」無断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターにかかってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社にかけてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていくー。