2015年2月発売
田沼意次の失脚後、老中首座となった松平定信は幕政改革に着手。一方で裏門切手番頭・高槻宗一郎は、己が信じる士道を貫くため、裏の上役であった松平信明と袂を分かっていた…。焦燥と煩悶を朋える日々の中で、宗一郎は陣笠の刺客に襲われていた男ー最上徳内を助ける。その身柄と蝦夷地を巡り、陰々たる闘諍の幕が上がる!
入居者向け娯楽活動の不毛さに音を上げた高級老人ホーム“海の上のカムデン”の面々は状況の改善に乗り出し、スペイン語講座、さらにはメキシコへのバス旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた…新入りの老婦人が、突然の死に見舞われるまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、シリーズ第八弾。
取材で黒い森を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て帰郷したばかりの妊婦だったが、胎児が消えていた。村に伝わる“鴉谷”の不吉な言い伝えや、過去の嬰児失踪事件と関わりが?堅物の刑事と敏腕女性編集者が、閉ざされた村での連続殺人を解き明かす。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞の清冽なデビュー作!
パラディスで学ぶためにやってきた青年ラウーランが下宿したのは、凋落した貴族デュスカレ家の屋敷。老婆と馬丁しかいないはずのその屋敷で、ラウーランは美しい娘の幽霊を見る。若くしてこの家に稼ぎ、葬られた娘が語る、呪われたデュスカレ家の物語。遥かローマ時代に遡る悲劇の萌芽。退廃と背徳の都パラディスに潜む恐るべき影。闇の女王が織りなす、奇怪で蠱惑的な幻想譚。
江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父・松庵の仕事を手伝うおいちは十七歳。父のような医者になりたいと夢を膨らませているのだが、そんなおいちの身にふりかかるのは、友の死、身内の病、そして出生の秘密にかかわる事件等々。この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができる娘・おいちが、その能力を生かし、亡き友の無念を晴らそうとするのだが…。人気の青春「時代」ミステリー・シリーズ第二弾!
地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!
上州倉賀野に騒擾あり!荒天続きの凄まじい雨の中、不気味に膨らむ神憑き一行はついに宿場を襲い出す。その陰には一行を操る稀代の女悪党の姿が。もはや川堤は決壊寸前、このままでは公領水没も時間の問題ー漫遊、否探索中の隠密廻・八巻卯之吉が捻り出した、神頼みならぬカネ頼みの仰天対抗策とは。シリーズ屈指の壮大なスケールで描く文句なしの傑作第十六弾!
本所南割下水に住まう御家人、三日日左門の屋敷の近所に元旗本の青砥家の兄妹が越してきた。父の不祥事により、禄を減らされお役を取り上げられた二人はお家の再興を願うが、妹の智与の美貌に目をつけた無法の集団が蠢きだすー。紛うことなきサンピンなれど、頭も腕も天下一品。気が向かなければ動かぬが、ひとたび動けば華麗に蹴飛ばす、圧巻の無頼漢、三日日左門の活躍を描く、注目の新シリーズ!
揚羽座に格上の花村座の花形役者、春牡丹寒次郎が訪ねてくる。曰くつきの芝居『情女濡色鐘』再演直前に脅し文が届き、座員が次々と怪死を遂げているというのだ。花村座の危機を救ってほしいと懇願する寒次郎に、恋之介は「酒と豪華弁当と広い楽屋」の破格の条件を呑ませ、魔の桧舞台に上がることに。弟子の“鬼がらす”堅四郎は剛剣で師を守り抜けるか。ドラマ『猫侍』で注目の黒木久勝が放つ痛快新シリーズ第二弾!
天狗の面をつけて材木問屋に入った押込み一味は、千両箱の中から一部の小判と蔵王権現像を持ち去った。門扉は閉じられており、まさに烏天狗のように宙を飛ばなくては像は運び出せないと、すぐに江戸中の評判となった。ひょんなことからこの一件にかかわった村越壮志郎は、その謎に挑むのだったが…書き下ろし時代小説、痛快シリーズ第二弾!!
触れ合いたいけど触れられない、アンドロイドの少年と訳あり少女の邂逅(「未来編」)。文化祭の演劇を成功させるために奮闘する少年の恋の目覚め(「学園編」)。魔法を覚醒させてしまった少年が巻き込まれる、魔法者と人間の壮絶な戦い(「魔法都市編」)。バラバラになった3つの物語がすべて揃う時、大いなる物語が動き出すー。
父親の事故死により孤独な幼少時代を過ごしていた主人公・鈴木翔平。高校生になった彼は、病気の母に代わって家計を助けたいと思い、喫茶店でアルバイトを開始する。そこで、4歳年上の女性・香澄と出会い、付き合うことに。生まれて初めて幸福な時間を過ごす翔平だが、ある日、彼に耐えがたい出来事が!?
目覚めると、美少女だらけの学園だった。不安の時代を生きる僕たちが失ってしまった人生の指針ーそれが哲学。デカルト、ニーチェ、ハイデガー。西洋近代哲学者の化身たる美少女たちが教えてくれる世界の真実、人のありかた。「萌え×哲学」でクールジャパンの極北を彩る小説が、大幅改稿で文庫化。
繊細で美男な大学生、鮎太朗。女はみんな彼に片想い。でも結局はなぜだか彼がふられてしまう。刺されたり貢がされたり、その一方で、自分を慕い続ける可愛い同級生には心惹かれない。理不尽で不条理だけど、恋する男女はいつも真剣なのだ。芥川賞作家が恋愛の不思議を温かな眼差しで綴る傑作長編。
武蔵野の雑木林で殺人事件が発生。瀕死の被害者は「テン」と呟いて息を引き取った。意味不明の「テン」とは何を指すのか。デート中、事件に遭遇した田島は、新聞記者らしい関心から周辺を洗う。どうやら「テン」は天使のことらしいと気づくも、その先には予想もしない暗闇が広がっていた。第11回江戸川乱歩賞受賞作。
ひとりぼっちの少女とコンビを組み、失踪した三毛猫を探すことになった天才弁護士・百瀬太郎。忙しさのあまり婚約者の誕生日に気づかず、彼女はイケメン同窓生と急接近!さらに次郎と名乗る弟までが現れて…。やっかいでかけがえのない人たちのために悩み、奔走する百瀬。絶好調、癒されるミステリー!