2015年6月20日発売
若くして江戸の裏社会に身を投じて15年、裏の世界で大物になった飄六は、札差だった父を殺された仇を討つため札差簑島屋の店付き護衛・蔵闇師として実家に戻った。父の遺した“穴穿き小判”を手がかりに探索を続ける飄六だったが、簑島屋に多額の借金をしている旗本から蔵替の申し込みが相次いだ。不審に感じた飄六は、調査を開始するが…。立ちふさがる難敵の急所を、飄六の秘剣“竜”が貫く!
戸惑いつつも、お互いに恋を認識した、魚住真澄と久留米充。 その関係は秘密をはらみ、進化する。 そんな中、2人が過ごした久留米のアパートが経年劣化で取り壊されることになり、久留米は会社の寮に移ることに。 一方、PTSDの症状に苦しめられつつも研究に励む魚住に、アメリカ留学の話が持ち上がる。 変わりゆくもの、変わらないもの。 失われてしまったものと、新たに生まれるものたち……。 青春群像劇、感動の最終巻。
なぜ「あの男」を殺めることになったのか。老齢の水戸光圀は己の生涯を書き綴る。「試練」に耐えた幼少期、血気盛んな”傾寄者”だった青年期を経て、光圀の中に学問や詩歌への情熱の灯がともりーー。
水戸藩主となった水戸光圀。学問、詩歌の魅力に取り憑かれた若き”虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す。そして光圀の綴る物語は、「あの男」を殺める日へと近づいていくーー。
将軍家斉の御膳を料理する江戸城の台所人、鮎川惣介は、優れた嗅覚の持ち主。家斉に料理の腕を気に入られ、御小座敷に召されることもしばしば。ある日、惣介は、幼なじみの御広敷の添番・片桐隼人から、大奥で起こった不可解な衣装櫃の盗難事件を聞く。下手人に納得がいかない隼人とともに、惣介は事件を調べはじめるが、京からやってきた謎多き料理人・桜井雪之丞が彼らに付き纏い、事件には何やら陰謀めいた臭いが漂いはじめるー。
20年ぶりに吐月と再会を果たした久鬼玄造は典善と九十九、菊地らを自宅に招いた。そこで玄造が見せたのは、はるか昔に大谷探検隊が中国西域から日本に持ち帰ったキマイラの腕であった。やがて玄造は壮絶な過去を語り始める…。若き日の玄造の前に現れた梶井知次郎。彼は学生運動に身を投じる一方、師と仰ぐ馬垣勘九郎のもとで中国西域を調べていた。なぜ玄造はキマイラに関わってしまったのか。理由がいま明らかにされる。
ビンゴに己の運命を託す死刑囚。命を狩るサッカーで大金を稼ぐ男。“とある役割”を決めるためにトランプに挑む家族。観客の命を守るために優勝しなければいけないゴルファー。そして、愛する者の処刑を防ぐためにブレーキを踏まずに死のコースを駆ける青年。生き残りたければ勝つしかないーこれは、自らの生命を賭けて繰り広げられる死の遊戯。山田悠介の原点ともいえる5つのサバイバルゲームが、装いも新たに再文庫化!
悪魔のごとき頭脳を危険視され、わずか13歳にして特殊房に収監されている少年、ローレン・ディルーカ。ある日、彼のもとを国家治安警察の人間が訪れる。血も流れず、凶器もない密室殺人事件の謎を解くよう依頼されたローレンは、気まぐれに獄中から助言を授けるが…(表題作)。平賀とロベルトがあやしげなレシピの再現に奮闘する「魔女のスープ」、平賀の弟・良太の意外な人物との縁を描く「シンフォニア」など、計4編を収録。
心に傷を負ったピッチャー・透哉との奇跡の出逢いを経て、全国大会へ向け練習に励むキャッチャー・瑞希。二人は互いを信じ、バッテリーの絆を確かなものにしていくが、ある日チームメイトで幼馴染みの良治が暴力事件を起こしてしまう。駆けつけた瑞希に、良治は野球部を辞めると言い出す。遠征費用で母親に負担をかけたくないと悩む良治に何も言えなくなる瑞希だったがー。熱く胸を打つ少年たちの青春野球小説、第2弾!
この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。ある日、ひとりぼっちの少年がバケモノ界“渋天街”に迷い込み、バケモノ・熊徹の弟子となって、九太という名前を授けられる。奇妙な師弟関係の2人はことあるごとにぶつかり合う。だが、修行と冒険の日々を重ねるうち、次第に絆が芽生え、ともに成長する。まるで本当の親子のようにー。細田守監督が書き下ろす原作小説!
生まれたばかりの赤ん坊・雪を抱え途方に暮れていたシングルマザー山野珊瑚、21歳。「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙の主で年配の女性くららと出会ったのをきっかけに、果敢に人生を切り拓いてゆく。どんな絶望的な状況からでも、人には潜在的に立ち上がる力があるー様々な助けに支えられ、心にも体にもやさしい総菜カフェをオープンさせた珊瑚の奮闘を通して、生きること食べることの根源的な意味を問いかける。
刑務所で病に伏せる罪人に高額な医療費を送りつける逆・死神。古書店で入手した一般人の日記帳に綴られた壮絶な書き込み。ファンから著者に贈られた鍵と簡素な地図。女性ライターの股間に憑いたインチキ霊能者の生霊。どう考えても腑に落ちない、霊とも人間の仕業とも解釈できない出来事から、人間の強烈な悪意や剥き出しの狂気まで。平穏な日常を不安に陥れる99話を収録。知ってしまったことを後悔する、これが現代の怪異譚!
14歳のあすかは楽器店で不思議な音色を奏でるヴァイオリンに出会う。それはアウシュヴィッツの強制収容所で音楽隊だったユダヤ人の少女・ハンナが持っていたものだった。どんなに過酷な状況下でも仲間を思いやり、音楽への情熱を忘れなかったハンナ。ハンナの思いは日本のあすかにも届き…。戦火をくぐり、数奇な運命に翻弄された一丁のヴァイオリンが生み出す感動の物語。第60回青少年読書感想文全国コンクール課題図書。
建設中のアパートに停めてあった車が何者かに放火された。消火活動中、突然の爆発で消防士の峯岸が殉職してしまう。夫を失った妊娠中の妻・亜希と近所の住人たちは消防団「夜回り隊」として真犯人探しに乗り出す。一方、峯岸が乗っていた車の買い取りを担当するディーラーの吉岡は、車中で遺書を発見した。そこには峯岸の秘めた決意が書かれていた…。ひとりの勇敢な消防士の死をめぐる、遺された者たちの葛藤と再生の物語。
リラ荘を七人の芸大生が訪れた翌日から、殺人鬼の活動は始まった。老人が殺され、死体の横には学生のコートと、スペードのAが。それを機に別荘で次々と起こる殺人、凶悪無残な殺人鬼の正体とは?
1940年、不穏な世界情勢の下、外務書記生の富士森繭は敵性領シンガポールへと赴任する。世界に誇る文化財を保持する植物園に感動した繭は、そこで出逢った華僑のテオと惹かれ合うが、やがて太平洋戦争が勃発。戦火に晒された植物園の文化財を守るため、繭はテオとともに立ち上がり、交戦中の人々が国境や民族を超えて結束する。激しい戦乱の最中、人類が積み重ねた文化を守り抜いた人々の、永遠に語り継ぐべき愛と戦いの物語。
古長屋に住む大学院生の隆一郎。ある日、彼は懐いた野良猫の尻尾がふたつに分かれているのを見てしまう。驚く間もなく猫は喋った。「見たの?」茫然とする隆一郎の前で、猫は少女へと姿を変えた。彼女は猫又だったのだ。やがて、奇妙な共同生活を始めたふたりの元に、相談が舞い込む。ある名家の令嬢の誘拐予告が届いたというのだ。現場に出向くふたりの前で、令嬢は忽然と姿を消してー猫又少女に癒やされるライトミステリ!!
パリの社交界で、金持ちの貴族を相手に奔放な生活を送っていた美貌の高級娼婦マルグリット。純粋でひたむきな青年アルマンに出逢い、その深い愛情に心うたれた彼女は、都会での享楽的な生活を棄て郊外へと向かった。だが、セーヌ左岸の村ブージヴァルの別荘で、二人だけの生活が始まった矢先、アルマンの父親が二人の仲を引き裂くためやってきた。アルマンを心より愛するマルグリットは、苦渋の選択を迫られることになるー。
イシュメールは捕鯨船ピークォード号に乗り組んだ。船長エイハブの片脚を奪った巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐を胸に、様々な人種で構成された乗組員たちの、壮絶な航海が始まる!