2015年7月17日発売
1945年。少女はたった一人で世界と戦っていた。太平洋戦争さなか、幼くして母を亡くしたイコは新しい母親になじめぬまま、生まれたばかりの弟と三人で千葉の小さな村へ疎開することに。家のそばにある、暗く大きな森の中で脱走兵が自殺した噂を耳にする。耐え難い孤独感と飢餓感はトンネルの森のように覆いかぶさり、押しつぶされそうになった時、イコは兵隊の影を追いかけ森に入るが…。『魔女の宅急便』の著者角野栄子が、自らの戦争体験から描き下した、憫然で、美しい、珠玉の物語。
過去の世界のマーキス島に呼び寄せられた、医学生の西條遊馬。元の世界に戻るその日まで、王室に仕える鷹匠クリストファーの弟子として過ごすことになった。しかし、新王ロデリックの即位式の夜、事件は起きた。招待客である外国の要人が不審な死を遂げたのだ。早急に犯人を見つけ出さなければ王室の信用にかかわる。遊馬は現代法医学の知識で真相究明に臨むがー!?
極道だった実家のせいで、彼氏も仕事も長続きしない緋桜乃は、現在花屋のアルバイト。そこに整った顔に銀縁メガネをかけた男性客が現れた。祖父が義理と人情を守るため、東京下町に立ち上げた会社「NDY企画」への帰還の合図だ。いやいや帰った緋桜乃は、唐突な見合いを強要された上、結婚詐欺の被害者を救済しろと言われてー!?義理と人情の下町事件簿!
超高校級スラッガーの益岡が最後の甲子園を前に腰を故障した。監督は益岡を代打で起用し、さらに補欠の俺を益岡専用の代走としてベンチ入りさせると言うのだ。そんな理由で数少ない選手枠を奪っていいのか?益岡との関係もギクシャクする中、ついに地方大会が始まって…。友情、嫉妬、ライバル心、そして一体感。少年たちの熱い夏を描いた涙と感動の高校野球小説集。
将棋に挫折し、無気力な日々を送っていた元天才少女の歩は、将棋同好会を立ち上げた元陸上部エース・涼の熱意に負け、将棋を再開する。元ライバルの奈津子、師匠だった父、挫折の原因となった天才棋士・龍也…。将棋盤に向き合うたびに、過去の痛みに立ち向かっていく歩の隣には、いつも涼がいて…。ひたむきに盤上を駆ける少女達の、ひと夏のガール・ミーツ・ガール。
東京下町に暮らす主婦・志乃子、50歳。もうすぐ閉店する「かささぎ堂」という近所の喫茶店で、文机と朝鮮の手文庫、そして薄茶茶碗という骨董品を女主人から貰い受ける。その茶碗は、なんと三千万円は下らない貴重な鼠志野だという。一方、志乃子の姉、美乃も長年勤めていた仕事を辞め、海雛という居酒屋の女将になるという。予想もしなかった出会いから、人生の扉が大きく開きはじめるー。
志乃子は一個の鼠志野の茶碗をきっかけに、骨董の世界へ足を踏み出していく。茶碗と同時に貰い受けた手文庫には、小さな手縫いのリュックサックと、敗戦後に命懸けで、北朝鮮から三十八度線を越え帰国した、ある家族の手記が入っていた。残りの人生で何が出来るかを考えた彼女は、その持ち主を探し始めるー。ひたむきに生きる人々の、幸福と幸運の連鎖から生まれた、喜びと希望の物語。
週刊誌の記者が何者かに殺された。偶然その場に居合わせた報道番組「ニュースイレブン」記者の布施は事件直後の現場撮影に成功、翌日のニュースで映像が流される。一方、継続捜査を受け持つ捜査一課の黒田はある暴力団の組員が殺害された事件を追う中で、記者殺害との奇妙な符合に気付く。しかし、二つの事件を繋ぐカギは踏み込んではならない聖域だったー。大人気“スクープ”シリーズ第3弾。
司法書士の市絵、34歳。近所の老人たちの相談にのるうち、「姑に希望通りの死装束を着せてやれなかった」という後悔を聞かされ、死ぬときに何を着たいかを発表する「終活ファッションショー」を開催することに。年齢も趣味もばらばらなメンバーが集まり、十人十色の理想の死装束から、それぞれの人生が見えてくるー。他人と関わり合いながら生きて死を迎える人間の絆を描く、人情「終活」物語。
気象台に勤務する美晴は、息子の楓大と二人暮し。ある日、自分たちが天気を「よむ」能力を持つ一族の末裔であることを知る。美晴にも天気を予知する不思議な能力が出現し、特別研究チームへの参加を任命される。それは、代々“空の一族”が担ってきた「外番」の仕事をすることを意味していた。「外番」とは、そして一族の「役割」とは一体何なのか?かつてない気象エンタメ小説、ここに開幕!
昭和16年。大学予科に通う太一は、長引く戦争による食糧不足のため、愛犬アルマを軍用犬にすることに。試験に合格したアルマに、ついに出征命令を告げる「赤紙」が届き、満洲へ出征していく。このままアルマを「生きる兵器」にしていいのか。お前を一人にさせない、必ず僕も行くー。太一は、アルマを追って戦場に行くことを決意する。戦争に翻弄された青年と犬の“友情”を描く感動物語。
立志館大学を囲むように出現した「呪」と「殺」の落書き。それは次第に増殖し、ついには女子学生が正門前で刺殺体に。被害者が、桜子のゼミに出入りする平泉講師の恋人だったという噂が流れ、おまけに彼の研究が「呪いと密教」なものだから、疑いの目は一気に集中。ところが桜子を慕う勤勉実直な講師・鱈目小雪が恋する相手が平泉だったため、事態はとんでもないことに!?大学内ミステリー第2弾。
高校ダンス部の部長に指名された西原あずさ。前部長への恋心から引き受けるが、部員たちの反感を買ってしまい、主力メンバーが全員退部。残ったのは、落ちこぼれの幽霊部員3人と、誰よりも踊るのが上手だが無愛想で協調性のない美少女・愛海だけ。なんとか部を続けようとするあずさは、伝説のダンサー・ケニー長尾と出会い、コーチを頼むのだが…。少女たちのきらめく青春ダンス小説!
オスロ中心部の銀行に、白昼強盗が押し入り、銀行員一人を射殺、金を奪って逃走した。現場に手がかりひとつ残さない鮮やかな手口で、ハリー・ホーレ警部も加わった捜査チームにとっては、前途多難を予感させられた。一方、かつてのガールフレンド、アンナと食事をしたハリーは、翌朝、前夜の記憶がない状態で目覚めた。そしてアンナが死体で見つかり…。30カ国以上で出版されている話題作。
連続銀行強盗事件の捜査が行き詰まり、ハリーはチームを離れ、独自の捜査に踏み出す。また、自殺として処理されたアンナの死の真相を探り続けるハリーに、謎めいたメールが届く。死の直前、ハリーがアンナと会っていたことを知っている、とほのめかす文面だった。そして、アンナ殺害の容疑が降りかかり、窮地に陥るハリー…。エドガー賞長編賞の候補にもなった、北欧ミステリーの傑作。
若い女性を狙った連続絞殺事件が発生。FBIのサビッチは若手捜査官のルーシーとクープを担当させる。そんな矢先、ルーシーの父親が急死。遺された謎の言葉から、封印された一家の秘密の扉が開きだす。22年前の祖父失踪の真相とはー?一方、全米各地で繰り返される悲劇に捜査は難航するが、DNA鑑定の結果、犯人は稀代の連続殺人鬼テッド・バンディの子供だと判明した。FBIをあざ笑うかのように犯行を重ねる殺人鬼はサビッチを狙撃。不意を衝かれた彼はその場にくずおれるが…!?
ミナは准男爵だった父親を無実の罪で処刑され、子供時代を過ごした瀟洒な屋敷も奪われた。首謀者は屋敷の元の所有者フォーカム伯爵。いつか父の復讐を果たすと心に誓いながら、今はミナという偽名を使い、薬草に詳しい村の娘としてひっそりと暮らしている。そんなある日、伯爵が大怪我をしたとの知らせが入り、呼ばれたミナは仕方なく屋敷に向かうー伯爵の命令に背けば、この土地にはいられなくなるから。だが怪我のせいで高熱にうなされる伯爵の美しい裸体を目にした途端、ミナは憎しみを忘れ…。