2015年7月9日発売
1985年8月12日、午後6時24分。日本航空123便のコックピットを「ドドーン、ドーン」という爆発音が震わせた。「スコーク77!」機長が咄嗟に叫んだその言葉は、「緊急事態」を意味していたー。元JALフライト・エンジニアが、コックピット・ボイス・レコーダやフライト・データ・レコーダをはじめ多数の資料から当時の状況を再現。事故調査委員会の提出した結論とは異なる事故原因をリアルに検証する。御巣鷹山飛行機事故から30年ー。あの日のコックピットを描く迫真のドキュメント・ノベル!
川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだったー。そう信じていたが、じつは思わぬ蛇行を繰り返していたのだった。亡くなってから意外な横顔に触れた娘は、あらためて父の生き方に思いを馳せるが…。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。
「SF作家P・K・トロッターの未発表原稿、『多世界の猫』を盗んでほしい」-依頼を引き受けたグリフィンは、原稿をもつマーズデン博士との接触に成功するが、その場を猫に扮装し武器を持った動物愛護グループに襲撃される!謎多き原稿の背後に潜む信じがたい真実とは?そして、グリフィンの運命はー!?新本格ミステリと量子SFの美しき融合。
孤児のジュディは文才を認められ、ある匿名の紳士の援助を受けて大学に通わせてもらえることに。新たな環境で発見と成長の日々を送りながら、ジュディは「あしながおじさん」と名付けたその紳士に、お茶目な手紙をせっせと書き送るが…。世界中で愛読される名作を新訳で。
太刀川要が深夜に遭遇した異様な大きさの黒犬は、半死半生の状態だった。動物病院へ駆け込むと、不可解なことに判別不能の犬種で獣医も戸惑うばかり。やがて始まった共同生活は、かたくなに孤独を貫く男の見慣れた風景を変えていく。そして湧き起こる、ある疑惑の真相とはー。ジョンの眼差しを通じて見つめる人の営み、滑稽さ、哀しみ。淡く胸に迫る大人のファンタジー。
中学教師になって五年の美佐子は、校内のスクールカウンセリング担当に任命される。新年度から新しいカウンセラーを迎えることになったのだが、現れたその人は、なんとぶたのぬいぐるみだった!その名は山崎ぶたぶた。彼が中庭でカウンセリングを始めると、生徒たちの強張った心が、ゆっくりと、ほぐれてゆく。ストレスもお悩みも、ぶたぶた先生にお任せあれ!
石工会社の社長が、採石場で岩の下敷きになり亡くなった。調査を頼まれたケンジは、現場に残されていた黒い粉に気づく。(「哀しき火山弾」)堅固な二重扉に錠が掛かったままの土蔵から、家宝の掛け軸が盗まれた。犯人はどこから入りどこへ消えたのか!?ケンジが披露した驚くべき推理とは?(「山ねこ裁判」)名探偵・宮澤賢治の活躍を描く話題のシリーズ第二弾が登場!
パリ市内のアパルトマンでルーマニアからの亡命将校が射殺され、床には“DRAC”の血文字が残されていた。その一週間後、今度は被害者の女性たちが全身の血を抜かれる連続猟奇殺人が発生、通称“吸血鬼”事件がパリを震撼させる。旅先から戻った矢吹駆は、一連の事件の犯人が遺体に動物の「徴」を添えていることを指摘するが…。名探偵矢吹駆シリーズ、待望の第6作!
“ヴァンピール”事件はまだ終わっていない。今度はルーマニアから亡命した元女子体操選手が全身から血を抜かれ殺された。ルーマニア将校射殺事件と“ヴァンピール”事件には、やはり関係があるのか!?そして神経を病んだ女子大生ナディアに救いは訪れるのか!?矢吹駆の現象学的推理が、血に魅入られた犯人の正体と意図を導き出すとき、驚愕の真相が浮かびあがる!
カフェで隣り合わせた青年が、私に不思議な話をし始めた。彼の持つ角砂糖のようなキューブには、世界中の様々なカフェの空気が封じこめられているというのだ。(「カフェの素」)素敵な結婚をした友人が教えてくれた「行くと必ず結婚できる、秘密のお店」とは?(「男をつかむ」)新世代ショートショートの旗手が贈る、あなたに五分間の魔法をかける十八の物語!
大学の非常勤講師でありジャーナリストの田島は、生活保護も受けずに餓死した母娘の事件を調べていた。ある日、浄水器の悪質な訪問販売に居座られている隣人の姉妹を助け、その姉妹を通して刑事の緑川と知り合う。緑川から、いくつかの強盗殺人事件に悪質訪問販売が関わっていることを聞いた田島は謎を追うが、やがて自らも奇怪な事件の渦中に巻き込まれていく!
港町で居酒屋を営む蔵田悟郎は、元高校教師。十五年前、蔵田は教え子を守るため、あやまって人を殺した。出所後は、ひっそりと息をつめるように暮らす日々だ。そんな彼を今も慕う教え子二人が、相次いで非業の死を遂げた。近海に眠るメタンハイドレートの利権に群がる悪党どもの仕業なのか!?蔵田の中の侠気が、ついに目覚める!心震わせる熱きハードボイルド。
被害者の眼球をくり抜き、三人を殺害したシリアルキラー「眼喰鬼」が京都を震撼させていた。キャリア警察官・二条実房は犯人検挙を期して平安警察署の署長に赴任したが、その直後、二条を嘲笑うかのように平安署員が第四の犠牲者となる。「奴は我々を本気で怒らせた」。闇に潜む犯人に対して、二条と平安署の威信をかけた闘いが始まった。極上にして最強の警察小説、待望の文庫化!
旗本・御家人の救済のために借金を棒引きにする棄捐令を出す。それによって困窮する札差を支援するため幕府が金を下すー。貸し下げ金二万両の差配をした結城屋三津五郎に柚木源九郎は不審をいだいていた。上州の侠客・国定忠次との関わりも疑われた。武士の矜持を失った直参を相手に、結城屋が画策した謀とは…。般若同心が正義の十手で、大きな闇に挑む!
南町奉行所の元定町廻り同心でいまは船頭として生計をたてる沢村伝次郎は、ある日、川を流れてきた女の骸を発見する。かつて同僚だった同心から探索の助を頼まれ、事件に関わることになるが、伝次郎の前に今度は敵討ちのために江戸に出てきた若き侍が現れる。そして、探索と敵討ちの助で大忙しの伝次郎の眼前に生涯最大の強敵が。泣ける最高傑作のシリーズ第十二弾。
信長に仕え二十年。丹後丹波を平定し一国の主となった光秀。齢六十を過ぎたが、嫡男は幼く、まだまだ隠居はできない。主君の覚えを得るためには武勲を上げ続けねばならぬのだが…。安土で家康への饗応を命ぜられた光秀は失態を演じ、主君の不興を買う。不安に駆られる光秀に追い打ちをかけるような下知が。領地召し上げ。追い込まれた光秀が兵を挙げた先はー。
南町奉行・大岡越前は、汐留沖の島に四季の草花が咲く行楽地を作った。島に巣くう犯罪者を一掃し、江戸の庶民の遊楽地とするためだった。だがその島に、老中を襲撃して逃亡した浪人・宮坂弦九郎が潜伏しているという。大岡より弦九郎探索の命が、なぜか忠兵衛に下るが、その理由を大岡は語ろうとしない…。(表題作)人情同心・角野忠兵衛の活躍を描く精選シリーズ第五弾!
八代将軍・吉宗の寵姫である竹姫が大奥女中の雑用を引き受ける男衆の五菜に襲われた。竹姫の操を奪おうとした行為に吉宗は激怒。竹姫付き御広敷用人の水城聡四郎は吉宗の命を受け、竹姫を襲った五菜の背後にいる「真の敵」を炙り出すべく動き始めた。さっそく刺客に狙われた聡四郎は、はたして「敵」をどう制圧するのか。好調の人気シリーズ、躍動感満載の第八弾。
映画美術に携わる「私」は、友人や家族の動画を撮りためている。未熟で無防備だった十代。恋し、挫折し、傷つきながら、進む方向を模索していた日々。「私」の初恋の記憶は、ある事件によって色彩を失っている。高校時代を共にした個性豊かな男女六人は、互いに離れたり、支え合いながら三十代を迎えた。一つのファイルにまとめた動画は、その記憶をたどるものであり、「私」に次のステップを踏み出すきっかけを与えた。