2015年発売
二日酔いで目覚めた朝、ベッドの横の床に何かがあった。…見覚えのない女の、死体。おれが殺すわけがない。知らない女だ。では誰が殺したのか?密室のマンションで、女とおれは二人きりだった…。雑誌『ダ・ウィンチ』から生まれた新しい小説の楽しみかた…小説×写真の世界。
法の奥深くへ分け入り、新米弁護士木村と先輩高塚のコンビが知る、四つの秘密。加害者も、被害者もー相談者たちは、一様に何かを隠している。実力派新人が放つ、鮮烈な読後感の表題作を含む連作リーガル・ミステリー!
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始めるーこれは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。
進学校として知られる天智高校。春休みのある日、人気者だった春日井奈々が校舎から転落死する。自殺と思われたが、転落前、彼女の背後に人影を見たという証言もあり…。奈々が所属していた部活は、部員の名前に偶然、春・夏・秋・冬の文字があることから「四季の会」と呼ばれ、憧れる生徒も多い。だが、奈々の死後、部員たちに異変が起きて…。危うく儚い青春ミステリー。
19世紀末・英国。ロンドン郊外の静かな町で、貸本屋“千夜一夜”を営むサラとアルフレッド兄妹。とある事情から侯爵家の生まれという身分を隠して暮らしているふたりだったが、店にはとっておきの一冊を求めて今日もたくさんの客がやってくる。そんなある日、「探してほしい本がある」という貴族の兄弟が店をおとずれて…。ヴィクトリアン文学ミステリー!!
「人はなぜ生まれ、死んでいくのでしょうか」青年は深い悩みを抱えてわたしの前に現れた。一瞬、わたしは息をのみ、思わずあの子の名前を口走りそうになったー。親友の死に直面することで生きる意味を見失った学生と、ある哀しみを胸に秘めた先生。ふたりの濃やかな交流を通して描く、喪失と再生の物語。夏目漱石永遠の名作をモチーフに、自らを重ねて書き上げたベストセラー、待望の文庫化。
瞬時に移動できる超人的運動能力、普通の人には聞こえない小さな音まで聞き分ける鋭敏な聴覚、決して忘却しない驚異的な視覚記憶力ー常人とはかけ離れた特殊能力を持つ4人は仲間の亘を人質に取られ、老獪な政治家・渡瀬浩一郎のために裏の仕事をしている。そんな彼らに、世間を賑わしている残虐な殺人集団“アゲハ”の追跡が命じられる。“アゲハ”とは何者なのか。今、壮絶な戦いが幕を開けるー。
東京の強豪中学バレー部でトラブルを起こした灰島公誓は、母方の郷里・福井に転居し、幼なじみの黒羽祐仁と再会する。ほとんど活動も行われていないバレー部で、一人黙々と練習を始める灰島だが…。ずばぬけた身体能力を持つがヘタレな黒羽と、圧倒的な情熱と才能ゆえに周囲との軋轢を引き起こす問題児・灰島を中心に、田舎の弱小バレー部の闘いが始まる!純粋で真っ直ぐな青春小説、誕生。
小さいときから強情でいたずらっこだった篤蔵は、福井の大庄屋の次男坊。高等小学校の時、ひょんなことから鯖江連隊の田辺軍曹からご馳走になった“カツレツ”の味に仰天。彼の運命が大きく変わることにー。その後、家出同然に東京へ行き、西洋料理の世界に裸一貫で飛び込んでいく。明治生まれの若者が、日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく立身出世の物語。
好奇心旺盛な篤蔵は、寸暇を惜しみ熱心に修業を続け、華族会館、そして上野の精養軒で働くことになる。フランス語も習得し、ついに西洋料理の本場、パリへ。各国の王室貴族などが集まる一流ホテルで下働きとしてスタートした彼は、人種や言葉の壁、文化の違いを乗り越えて、一人前の料理人として認められていくー。大正と昭和の時代、宮内省主厨長まで登りつめた男の生き様を描く感動長編。
公安委員会に加入したロベスピエールは、共和国フランスを幸福に導くには徳が必要であり、徳を実行するためには恐怖が不可欠であるとして、いっそう強力に恐怖政治を推し進めていた。一方、激しい政争の末、劣勢に追い込まれたエベール派は、公安委員会を倒すべく蜂起を企てるが、あえなく失敗。行く手には革命広場の断頭台がー。革命は理想郷を実現できるのか。苛烈さを増す、第16巻。第68回毎日出版文化賞特別賞受賞。
神奈川県は横浜市に位置する港みらい署。短気で手が出やすい女刑事・海月と、その暴力を嬉々として受けるドMの後輩・亘の名物コンビは五月のある日、先輩刑事からトライアスロン選手の警護を依頼される。横浜で行われるレースへの出場を辞退しろという脅迫状が届いたのだが、その裏には十数年前の悲しい出来事が…。など、全三編を収録。SMコンビが大活躍!?書き下ろしシリーズ第二弾!
40年前の100万ドル強奪事件。当時犯行グループの一人だった老人のもとを記者の女性が訪れた。静かな余生も最早これまでか?他方、失恋で傷心中の青年イヴァンは、TVで元恋人が“元カレから届いたラブレター”を面白おかしく曝すのを見てショックを受ける。手紙を奪回すべく、彼女の実家へ赴くが…。因果の連鎖が波紋のように広がる群像劇、その陰に潜む人物とは?フランス推理小説界新星の話題作。
人気ホラー漫画家が、描きかけの原稿を残し、ある日突然姿を消した。巨漢で偏屈、ただし博覧強記で凄腕の漫画編集者、醍醐真司は、その調査に乗り出すことに。一方本業では、“女帝”とあだ名される大物漫画家と「邪馬台国」という難題に挑む。謎だらけのピースがすべてはまったとき、誰も見たことのない真実が掘り起こされる。『MASTERキートン』『PLUTO』『BILLY BAT』『クロコーチ』…数々の名作を手がけた漫画界のカリスマがすべてを注ぎ込んだ、知的愉悦に満ちた博覧強記ミステリ!
「父から何か、頼み事をされませんでしたかー」収監された過去を持つ無頼派の作家、榊の前に突然現れた美しい女性は、二十年前に刑務所で知り合った米兵の娘だった。裏切りと嘘。殺人の死角。禁じられた愛ーあの日の銃弾は、何のために放たれたのか?哀切の美学が物語のうねりをまとって、眼前に押し寄せる!大人にしか判らない、圧倒的大河ロマン!