2015年発売
妻と障害を抱えた息子を殺し、自殺を図るも生き残った一人の男。複雑な家庭環境ゆえの無理心中として同情が集まる中、男は強硬に自らの死刑を望む。弁護を引き受けることになった長嶋駿斗は、接見を重ねるごとに、この事件への疑問を抱き始める。「愛しているから、殺しました」。この言葉に真実はあるのか。
最高学府で連続殺人!謎を解くのは天才哲学者「ウンベルト・エーコ」ならぬ天才政治学者「ウノベ・エーコ」。他を圧する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!!
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。
未曾有の大嵐に見舞われ深刻な被害を受けた“江南”。折しもクワン王子に請われて隣国を訪れていたソニンは、国民の困窮する姿を見て心を痛める。“巨山”はすかさず食料の援助を申し出るも、侵略の布石ともとれる話に警戒するクワン。そんな中、“江南”に向かう“沙維”のイウォル王子が乗る馬に魔の手が迫る。
別居している妻の潜伏先を察知した男が、応対に出た姉のほうを撲殺ー一一〇番通報の時点では単純な事件と思われた。だが犯行が直接目撃されていないうえ、被害者の夫には別の家庭があった。強欲と憤怒に目がくらんだ人間たちが堕ちていく凄まじい罪の地獄。因業に満ちた世界を描ききった傑作ミステリー。
めくるめく神秘と幻想に満ちたアイルランドの妖精世界へ。ノーベル賞詩人イェイツ(1865-1939)による世紀末の連作「赤毛のハンラハン物語」を初邦訳。同時代の詩集『葦間の風』から物語に響き合う精選18篇を新訳。
芭蕉の一番弟子と謳われながら、一門に馴染めない俳諧師・其角と、豪放磊落な絵師・多賀朝湖(後の英一蝶)。二人は、不思議と馬が合った。ある夜、吉原の揚屋で太鼓持ちとして宴を盛り上げていた彼らは、二人の太夫に頼みがあると呼び出される。近頃、屏風に描かれた犬が動くところを見た遊女が、次々と姿を消している。その謎を解いてほしいというのだ。女たちを救うため、二人は奔走するが…。女たち、そして男たちの息苦しいほどの哀切を描く、著者渾身の書下ろし時代小説!
弓原公一が部長を務める水楢中学校野外活動部は、夏休み恒例のキャンプに出かけた。しかしその夜、キャンプ場は武装した半グレ集団・関帝連合に占拠されてしまう。彼らの狙いは場内のどこかに隠された四十億円ー振り込め詐欺で騙し取ったものだ。関帝連合内部の派閥争いもあり、現金回収を急ぐリーダー・溝淵はキャンプ場の宿泊客を皆殺しにし、公一たちは囚われの身に…。そのとき、何者かが関帝連合に逆襲を始めた!圧倒的不利な状況で、罪なき少年少女は生き残ることができるのか!?
神宮前情報社(探偵社)のアンナ、ヨーコ、ノア。道で生きている貧乏猫の三人のもとにウドブノが転がり込んだ。ウドブノを日本に持ち込ませたのはヤクザの白瀬と三田村、道で生きている群れた犬のようなもので道の強者である。元々のウドブノの所有者ロシアの組織は、取引の不具合を怒りチョルト(暗殺者)を送り込む。元警察(はぐれ犬)の絵図師(裏稼業の策士)津屋崎は、アンナたちにウドブノを白瀬に売れば五千万円になると、デブなのに自信満々で持ち掛けた。頭にベーコンみたいな傷のある手下を抱える白瀬は切れ者の経済ヤクザ、簡単じゃない。そこで津屋崎は「善意の第三者」を登場させることを考えた。勝ち目は薄い、しかし、道の強者の鼻を明かしてやりたい。騙し騙され、二転三転どんでん返しのウドブノを巡る争奪戦が始まる、もう後には引けない!
定年を迎え、滋賀から上京した妙子。目的は10年前に消えた亭主の行方。“谷根千”にある近江寮で、うまいものを提供しながら、食べること、生きること、進むこと、を考える。大丈夫、私たちには、ごはんがある。小説宝石新人賞受賞作家が、おばちゃんの自分探しを切々と描く、初の書下ろし長編!
『睡眠渇求症候群(イースター・エッグシンドローム)』と呼ばれる原因不明の「眠り病」にかかってしまった双子の妹・リンを助けるために、レンは唯一“卵の殻を割れる”という伝説の歌姫を探していた。雑誌モデルのルカ、アイドルのカイト、ライブハウスで働くメイコ、そしてメイコの親友だったミク…彼らの想いを巻き込み、辿り着いた先にあるものとはー?大人気ミュージカル風ボカロ楽曲、待望のノベライズ!!
3年前、ひとつの都市が忽然と消えた。運び屋のタクヤと、消滅した都市ーロストーから唯一生還した謎の少女ユキ。二人は、消息を絶ったと思われていたユキの父親からのメッセージを頼りに、ロストの中心部へと向かう旅をしていた。ロストをめぐり、ツキやタイヨウをはじめとする研究者たちや、消滅に巻き込まれ亡くなったユキの弟・ソウマらのタマシイとの戦いの末、辿り着いた先に待ち受けていたのは、ロストを引き起こした核(コア)と融合し、変わり果てた姿になったユキの父親だったー。あれから数日。空から石灰が舞い落ちる世界で、タクヤとユキは、ふたたび旅に出ようとしていた…。人気スマホゲーム公式ノベル化!消滅から始まる「もうひとつの物語」。
高岡市役所あみたん課×あみたん娘 THE NOVEL。2つの物語が1つになった!アイドル志望の「かのん」と「せしる」はある日、高岡大仏の化身である「あみたん」に「アイドル力」をさずけられる。2人は活気を無くした地方都市・高岡市を元気にするために高岡市観光課の職員・家祭誠、元敏腕マネージャーの宇賀神不二彦と協力して「あみたん娘」の展開に奮闘するが…。
1983年、目黒区蛇崩に一軒の店ができた。店名『居酒屋ふじ』。強烈なキャラクターの「おやじ」高橋俊男と、小気味よい包丁の音で彼を支える料理担当の「お母さん」高橋光子が二人で深夜まで営んでいる。店内には、たくさんの芸能人のサインとともに、中日ドラゴンズの立浪和義が2000本安打を達成したバットが飾られている。なぜ、ここに。バイト帰りにふと訪れた「僕」はその謎を探ろうと、おやじの話に耳を傾けるのだが…。伝説の店の、伝説のおやじを描いた長編小説。
ときは一八五四年、徳川家定の時代。野笛藩一の美女・14歳の今井一期は、江戸城大奥に潜入し、野笛出身の座敷童子を連れ戻してくるよう命じられる。仲良しの御次“茜”、伊賀者同心の“唐次”、枕絵の妖怪“サダさん”、人が死ぬと泣く妖怪“泣きジジさま”、妙にイチゴになつく犬・猫・狆たち、そして厳しく恐ろしい御年寄の“嵐山”-。噂がとびかう大奥と秘密あふれる江戸の街を駆けまわり、イチゴが知った座敷童子の正体とは?
どこか不思議で、すこし謎めいていて、いつか読んだような心に温かみを覚える短編集。美しい毛並みの毛虫に心奪われてしまった少女の選択は?素敵な声のかえると行く砂漠の旅の果ては?森の中に棲む大女の家の暖炉の裏から聞こえる声は…?いけにえを捧げる村の風習に抗おうとした一家の行く末は…?物語が、物語を越えて再帰する、新たな「物語」を紡いだ一冊。