2015年発売
失われたグランディエ王朝最後の王女ララは、何者かに付け狙われていた。王家の暗い歴史と自らにかけられた謎を解くには、時の魔術によって王家創始期に立ち返ってみるよう助言を受けたララ。術法の使い手魔道士ビベカに会うため剣士バビロンと旅路を急ぐがー。運命の少女が繰り広げる神秘と魔法の冒険物語!
前髪立ちの十六歳にして、御探し物請負屋の看板を掲げる文平。蒔絵の文箱、消えた盆栽…失せ物に篭められた人の想いまで取り戻すのが文平の信条。助っ人は二枚目の哲哉とごつい岩五郎の部屋住みの二人。文平が探し物に躍起になる理由は、二年前の桜の宵の出来事にあった。
かくも危うく、みずみずしい。安西水丸が熱烈に惚れ込み、自ら翻訳した若きカポーティ、まぼろしの傑作。まだ女ではなく、もう少女でもない。上流階級の娘グレディが、心をかき乱された初めての恋。華々しい’40年代のN.Y.社交界と、その陰りの中に生きる人々のコントラストをくっきり描く長編を初文庫化!
有能な手代だった益治郎は、主の息子に盗みの濡れ衣を着せられ小間物問屋を追われた。失意のあまり盗賊の誘いに乗り、怪しい古道具屋に転がり込んだ益治郎。盗賊たちは開かずの蔵に眠るお宝に狙いをつけた。だが店主からして小僧に店番を任せ釣り三昧、憑きものとがらくたばかりの皆塵堂に、お宝ってあるの!?
日本中を恐怖に陥れた殺人鬼を追って、警視庁の史上最強女王・薬師寺涼子警視は部下の泉田準一郎らを連れてシベリア奥地を大追跡、犯人が潜伏する秘密都市へ向かった。そこで一行が見たのは地獄のような光景と恐るべき陰謀、とうに滅びたはずの幻の巨獣!?人智を超えた敵に、お涼さまは常識越えの作戦で挑む!
大学の探偵助手学部に通う君橋と月々は、志望のゼミに落ち、悪ふざけで出した第3希望の猫柳ゼミ行きが決定してしまう。指導教官は、功績不明かつ頼りなさげな女探偵・猫柳十一弦(25歳)。ショックを受ける二人だったが、名門ゼミとの合同合宿が決まり、勇んで向かった孤島で、本物の殺人事件に遭遇する!
半四郎が国許の少年藩士だった頃、上役の娘・志津を怪物・オオヒトから救い、その勇敢さは村人の語り草となっていた。志津は家老筋の名家に嫁ぐが、姑のいじめにあい、非業の死を遂げる。なぜそこまで追い込まれたのか。志津の不幸を解せぬ半四郎に、藩を捨てる原因となる事件が降りかかる。
悪徳探偵を「駆除」するためにまったく手段を選ばない玲奈は、警察から常時マークされることになる。玲奈は監視をかわしながら、自分と家族の人生を破壊した「死神」を追い続ける。ついに姿を現した死神の驚くべき正体とは。あまりに過酷な闘いに、はたして玲奈の心は持ちこたえられるのか?
厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き、険しい山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺され事件は一件落着したかに見えた。しかし、噛み跡はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛隊の、期待の大型新人による傑作山岳小説。 はかりしれない自然への畏怖の念。血が騒ぎます。胸をうちます。冒険小説ファンは必読。驚くぞ。読むべし!-池上冬樹(文芸評論家) 生きとし生けるものすべてへの畏敬の念が静かに満ちている。-角田光代(作家) むせかえるような自然と獣の匂い、五感の全てを刺激する傑作。-さわや書店フェザン店 松本大介 プロローグ 一章 白い谷 二章 食害 三章 銃声 四章 タンデムベルト 五章 凶弾 六章 発火点 エピローグ
「美味の傍には悪がいる」という言葉をのこし、味見方同心・月浦波之進は、刺客に襲われ死んでしまった。弟の魚之進へ兄の供養の為に味見方同心を継げ、との命が下る。切れ者の兄と違い気弱な性格の魚之進に、隠密捜査が出来るのか?新江戸料理が次々登場するグルメ捕物帖、面白さ爆発の第二弾。
大正11年に来日したアインシュタイン博士が肌身離さず大切にしていたバイオリンが盗まれた! 騒ぎにならないように取り戻してほしいという博士の依頼に、招聘元の改造社が白羽の矢を立てたのは早稲田大学の等々力教授。博士とも意気投合した天才言語学者の推理が冴える。『ジャズと落語とワン公と』を改題。 アインシュタイン、幣原喜重郎、柳家金語楼。彼らの危難に天才言語学者が挑む! 世界大戦による好景気、デモクラシーの勃興、関東大震災、モダンな都市文化の隆盛……大変貌を遂げる帝都を学者探偵が縦横無尽に駆けめぐる。 『翳りゆく夏』の著者が描く傑作歴史ミステリー 面白いことに、「銭形平次」や「人形佐七」など江戸時代を舞台にした捕物帖は一つのジャンルとして定着しています。ところが、江戸時代以前を舞台としたミステリーは、かなり少ない。 おそらく、ミステリーは江戸後期のように、文化が成熟し、社会が安定している時代背景と、なじみがいいのでしょう。 そう言った意味でも、大正はデモクラシーとモダン文化が開花した、ミステリーにふさわしい時代だったと思うのです。--「文庫版あとがき」より 大正11年に来日したアインシュタイン博士が肌身離さず大切にしていたバイオリンが盗まれた! 騒ぎにならないように取り戻してほしいという博士の依頼に、招聘元の改造社が白羽の矢を立てたのは早稲田大学の等々力教授。博士とも意気投合した天才言語学者の推理が冴える。『ジャズと落語とワン公と』を改題。(講談社文庫) プロローグ 秋の日のヴィオロンの溜息 蛙の水口 ジャズと落語とワン公と 文庫版あとがき
単身赴任の徳永丈二は四十五歳。休日、趣味の剣道に稽古着姿で出かけ、妖しい黒い突風に巻きこまれた。気がつくとそこは文化年間の江戸、持っていた葵の紋の手拭いから水戸徳川家縁の者と誤解され、奇妙で艶めいた体験の日々が始まった(中編「とろり蜜姫」)。他に時代官能短編四編収録の睦月影郎満漢全席。
妻と障害を抱えた息子を殺し、自殺を図るも生き残った一人の男。複雑な家庭環境ゆえの無理心中として同情が集まる中、男は強硬に自らの死刑を望む。弁護を引き受けることになった長嶋駿斗は、接見を重ねるごとに、この事件への疑問を抱き始める。「愛しているから、殺しました」。この言葉に真実はあるのか。
日本初! 文系の天才博士が事件を解決! それでも地球は動いている。--こう語ったイタリアの科学者の名前を冠した大ヒットシリーズがある。ミステリーの主人公には、かように天才物理学者や、天才数学者がしばしば登場する。たしかに、理系の天才は見えやすい。 しかしながら、天才は文系にも存在している。 中世の修道院を舞台にしたミステリー『薔薇の名前』で知られる哲学者ウンベルト・エーコなど、その一人であろう。 この物語は、そんな文系の天才が登場するミステリーである。 物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる”知の巨人”である。 その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。 時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種があった。
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。
未曾有の大嵐に見舞われ深刻な被害を受けた“江南”。折しもクワン王子に請われて隣国を訪れていたソニンは、国民の困窮する姿を見て心を痛める。“巨山”はすかさず食料の援助を申し出るも、侵略の布石ともとれる話に警戒するクワン。そんな中、“江南”に向かう“沙維”のイウォル王子が乗る馬に魔の手が迫る。 はじめに 一 春 二 ソニンの憂鬱 三 再び江南へ 四 セオ 五 嵐 六 救いの手 七 父と娘 八 王女来訪 九 棚田の月 十 家族 十一 鷺の村 十二 濁流 十三 代償 十四 狼の死 十五 去ってゆくもの
別居中の妻の潜伏先を察知した男が、応対に出た姉のほうを撲殺ーー110番通報の時点では単純な事件と思われた。だが犯人が直接目撃されていないうえ、被害者の夫には別の家庭があった。強欲と憤怒に目がくらんだ人間たちが堕ちていく凄まじい罪の地獄。因業に満ちた世界を描ききった傑作ミステリー! プロローグ 廣田家の殺人 楠原家の殺人 鷹尾家の殺人 衣更月家の一族 エピローグ
めくるめく神秘と幻想に満ちたアイルランドの妖精世界へ。ノーベル賞詩人イェイツ(1865-1939)による世紀末の連作「赤毛のハンラハン物語」を初邦訳。同時代の詩集『葦間の風』から物語に響き合う精選18篇を新訳。