2016年10月13日発売
鉄道ファンに人気の信州・姨捨駅で、休暇中の亀井刑事が奇妙な服装の男を目撃して驚愕する。東京・麹町ミスキャンパス殺人事件の容疑者中西がアリバイを証明する存在として挙げた男と瓜二つだったのだ。だが、男は見つからず、中西は送検された。冤罪なのか?十津川警部は大々的な男捜しを開始するが…!?(「姨捨駅の証人」より)四つの難事件に十津川が挑む傑作推理集。
新宿署一の嫌われ者百面鬼竜一は、管内の暴力団から金品をたかり、押収品の麻薬や銃を横流しする小悪党の刑事だった。だが、捜査で知り合い、関係を結んだ能塚亜由を拉致され、犯人に難民救援活動家の暗殺を命じられる。百面鬼は五輪の候補に選ばれるほどのライフルの名手だった。苦悩の末に狙撃を実行した百面鬼。ところが、見えざる敵はさらなる暗殺を要求し…。
十七歳の洋子は佐久間という工員の青年と恋に落ちる。だが仲間二名が殺害される事件が起き、犯人と疑われた彼は姿を消す。洋子は佐久間を追って故郷である東北の寒村を訪ねると、かつて東京で彼が飼っていた三毛猫を見つける。村人らは佐久間はいないと口を閉ざし、洋子を監視しはじめた。恋人との再会を信じる洋子を待っていたのは、あまりにも残酷な衝撃の結末だった。
武州忍田は幕府の台所を支える最重要拠点である。年の瀬、公儀御鳥見役とその手下が斬殺された。領主の阿部家は追剥ぎ強盗の仕業とするが、公儀目付役は疑念を隠さなかった。同じ頃、唐木市兵衛は俳諧の宗匠を訪ねていた。彼は阿部家の元家士で、忍田までの旅の供を依頼される。破格の給金を訝しんだ市兵衛が真意を問うや、捕らえられた友の救出に向かうと…。
榎本釜次郎武揚。日本最大最強の軍艦「開陽」を擁して箱館戦争を起こした男。旗本出身ではあるが、海軍伝習所に学び、三年半ものオランダ留学を経験した男。科学者であり、技術者であり、万国公法に通じた法学者ー幕末から維新を駆け抜けた、「武士の鑑」か「武士の風上にも置けぬ」裏切り者か。真にあるべき「新しい日本」を唯一捕りに行った、不屈の挑戦の物語!
二ツ森伝次郎たち戻り舟同心は憤っていた。一件の子供の拐かしから、残忍な人買い組織を五十年間野放しにしていた疑いが浮上したのだ。やがて、伝次郎の右腕・鍋寅の死んだ倅・吉三が、その存在に気付いていたと知る。御用聞きとして一人真相を追い、志半ばで斃れたのか…。子供たちと吉三の無念を晴らすため、捕物に命をかける熱い爺が、弔い合戦の火蓋を切る!
身内の死を機に武士を捨て、無宿人となった新九郎は、偶然出会った国定忠治に使いを頼まれ松井田から高崎へ向かっていた。だが道中、古寺に野宿する色白で愛らしい鳥追いの初音になぜか誘われる。初物だと羞じらう言葉とは裏腹な初音の大胆さに二度も絶頂を迎えた新九郎。翌日別れを惜しみつつ高崎に着くと、聞き覚えのある甘い唄声が…。美女と中山道を行く悦楽記。
罪なき農民が斬られ、女房、娘らが夜伽を強要される。江戸近郊の村での勘定方の非道を聞き、本多控次郎は怒りに打ち震える。だが勘定奉行の名で斬殺が行われていると知り、それが周到な謀略と気付く。「浮かれ鳶」と渾名され、暢気な長屋暮らしの貧乏旗本控次郎だったが、実弟で養生所与力の片岡七五三之介や、地本問屋の手代辰蔵らと共に、許し難き悪を討つ!
一年に及ぶ柳生逗留を終え、惣三郎と結衣が江戸に帰ってきた。しのと結衣は抱き合って再会を喜ぶ。惣三郎は皆に飛鳥山菊屋敷での静養を薦められ、すぐにも精出して働きたいと渋るが、人々の厚意を受けることにした。息子や娘、弟子の成長を見るにつけ、自らの老後に想いを馳せる惣三郎。そんな折、近隣の「烏鷺荘」に引っ越してきた老人が、惣三郎を囲碁に誘うが…。
男を車で撥ねて死なせてしまった女。男が自分を証明する公的書類を一式持っていたことから、ふいにある企みを思いつく。「男の身代わりを立てればいい」と。彼女が目を付けたのは、記憶喪失の若いホームレスだった。突如、人生は大きなうねりに呑み込まれていく…。その先に待ち受けるのは、成功か破滅か。ページを繰る手が止まらない、傑作長編サスペンス!
「もう一度、仕事をしてみないか」。二人の子どもにも恵まれ、ささやかながら幸せな日々を送る福田曜子の元に届いた25年ぶりの仕事の依頼。幼い頃にアメリカで暮らした曜子は、祖父エドからあらゆることを教わった。格闘技、護身術、射撃、銃の分解・組立…。そう、祖父の職業は暗殺者だったのだ。そして、曜子はかつてたった一度だけ「仕事」をしたことがあった。家族を守るため、曜子は再びレミントンM700を手にする。
うちのばあちゃんって一体何者!?浪人生の真崎光一は、一緒に住み始めた祖母が、方々で先生と慕われることに驚く。どうやら昔から色々な人を幸せにしてきたらしいのだ。実際、家族の抱える諸問題もいつの間にか解決してしまった。光一は目撃する。ばあちゃんの作るびっくりするほど美味しい料理や「優しいうそ」の力がもたらした信じがたい奇跡をー。「こんな人がいてくれたら」ワンダフルでスペシャルなおばあちゃんが惹き起こす幸せの物語。
愛する妻子を惨殺した凶悪犯、永倉を七年間追い続ける警視庁強行犯担当刑事・神条俊輔。復讐に燃える不死身の肉体を駆使し、逮捕のためなら手段を選ばぬ非情な神条は裏社会で「狂犬」と恐れられている。そしてついに、神条は永倉一味が沖縄に潜伏中との情報を掴み、現地へと飛ぶ。だが、それはさらなる血の雨の前触れに過ぎなかった。ハードアクションの旗手がぶっぱなす超ド級の快作!
二匹の猫の世話を条件に叔母のマンションに引っ越したぼくは、ある雨の夜、部屋で女性の声を聞いた。「わたしは幽霊です」と言う彼女は、自分を殺した人を捜してほしいという。戸惑いながらも、真相究明に乗り出したぼくは、いつしか、雨の日にしか現れない彼女に恋をしていた。そして、すべての謎が明かされたときー奇跡の恋を描いた感動のラブストーリー『雨恋』が、装いも新たに!
トモ子の許嫁、宗一が殺人の主犯として逮捕された。事件当夜、宗一と寝ていたトモ子は、宗一が部屋を空けていた時間があったにも拘らず宗一と一緒にいたと証言する。一審二審と宗一は有罪になるが、トモ子は一貫して宗一のアリバイを主張。裁判は最高裁まで進み、差し戻される可能性が出てきた。そこでも、これまで通りの証言をするつもりのトモ子だったが、ある事を知り、心理に微妙な変化が起きる(「脊梁」)。ジャンル別作品集第4巻は「法廷ミステリ」。裁判や法律を扱いつつ、著者ならではの人間ドラマ5編を収録。
祖父から譲り受けた古民家を改造し、外国人旅行者向けのゲストハウス「八百万」を開業した元バックパッカーの安堂美香。オープンから九ヶ月。同僚の亮介、ミシェル、そして宿のマスコットである柴犬のヤタローとともにおくる外国人ゲストとの楽しくもドタバタな毎日が、今日も始まる!文化も言語も異なる外国人が教えてくれた、日本のいいところ。古民家ゲストハウスを舞台にした、疲れた心がほっと休まる優しい物語。
伊豆に温泉旅行に出かけた今井健吾は、深夜、ひとり温泉に浸かっていると、いきなり全裸の女性が風呂場に入ってきた。なんとその女性は、二ヶ月前まで健吾が通院していた歯科医院の医師大町比沙子だった。思いがけない場所で出会った二人は、誰もいない混浴露天風呂で互いの欲望を解放する。さらに後日、比沙子を介して複数の美女が健吾の前に姿を現し…。書き下ろし長編柔肌エロス。
「あんたの奥さんを俺たちに抱かせな」。愛人殺しの罠にはめられ、謎の覆面男二人組に脅迫された不動産会社社長、坂本修三郎は、やむなく妻の沙織を差し出す。だが、事件には驚愕の裏があったー美しく貞淑な人妻が、夫の眼の前で犯され嬲られ堕ちる!斬新なストーリーと主演の風祭ゆきの妖艶な魅力で話題をさらった80年公開の衝撃作を、日活ロマンポルノ生誕45周年記念して人気官能作家・早瀬真人が完全ノベライズ。