2016年12月発売
私は移民に何を見るのか。私/かれらの境界を突破する「目覚めよと人魚は歌う」「砂の惑星」「チノ」「ハイウェイ・スター」、単行本未収録「人魚の卵」「風の実」等を収録。
昭和40年代、長崎県対馬でイタイイタイ病発症の疑惑が発覚するなか、会社ぐるみの隠蔽工作の当事者として県議会の証人尋問を受けた義父。手帳に遺された「罪なきこととけして言うまじ」の言葉の真実を追って、夫婦の過去への旅が始まる。
明治38年に来日し、建築家・実業家として活躍したW.M.ヴォーリズ。彼は日米開戦の前夜、日本に留まり帰化することを選んだ。そこには華族の身分を捨てて結婚してくれた妻や、彼を温かく受け入れた近江の人々への強い想いがあった。終戦を迎え、ヴォーリズは天皇制存続に関わる、ある重要な政治的局面に関わることにー。“ふたつの祖国”を持つ彼ゆえに成し得た、戦後日本のための決断とは。俊英による感動の歴史長編。
化学サークルによる「甘い物質」合成対決。サ行の発音がおかしくなった同級生の秘密。四宮大生を狙う奇妙な仮面の男の正体。協力して事件の解決に当たる沖野と舞衣は、ひょんなことから理学部の冷蔵室に閉じ込められてしまった。暗闇&低温の極限状態から脱出する術はあるのか!?
「神」の手により、次々と姿を消していく警官たち。その絶望に抗うように、機動分析課の上郷巡査部長は、執念深く「神」への手がかりを探る。警察に潜む裏切り者、「神」が起こした奇蹟の正体ー。全ての謎を解き明かしたとき、刑事たちの反撃が始まる!書き下ろしシリーズ第四弾。
新型非合法ドラッグ「ティアドロップ」を巡り、ヤクザ、半グレ集団、さらには上野に巣食う中国マフィアまでもが血みどろになって奪い合いを始めた!警視庁の期待を一身に背負った東堂絆は、謎の探偵・片桐亮介と立ち向かう。だが、その背後では絆の交際相手である星野尚美に凶悪な魔の手が伸びようとしていたー。
一八七五年、アメリカ合衆国アリゾナ。人の命が、銃弾一発より軽い世界。幼い頃に両親が虐殺され、義父に虐待されながらも生きてきた少女。射撃の名手にして賞金稼ぎを生業とする男。記憶を失い、ハコダテから流れ着いたサムライ。偶然出会った三人が賞金稼ぎのチームを組み、凶悪な“お尋ね者”を追う旅に出るはめに…。
一八七六年、アリゾナのとある町。複雑で壮絶な過去を持つ十七歳の少女、記憶喪失のサムライとチームを組んだ、凄腕の賞金稼ぎトム・B・ストーンの元に「仕事」が舞い込んだ。莫大な報酬と引きかえに、十年前、コマンチ族にさらわれた少女を連れ帰ってほしいというのだが…。広大なアメリカを縦断する決死の追跡が始まった。
手習子のお美代が消えた。楽しみにしていた秋祭りを前に自ら姿を隠すはずはないと考えた重兵衛が捜し始めると…(「梵鐘」)。人捜しを生業とする紋兵衛、北町奉行所の同心・河上惣三郎、元目付で腕利きの浪人・鳴瀬左馬助、そして主人公である手習師匠の重兵衛ーそれぞれの視点で趣向を凝らした四篇の連作が織りなす、人気シリーズ第二弾。
「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。圧倒的な筆力で恐怖と謎を描く美輪和音。緻密な構成と奇抜な設定で魅せる近田鳶迩。軽妙な語り口で贈るユーモアミステリの新星・櫻田智也。医療ミステリの新たな書き手と期待される浅ノ宮遼。端正なロジックが冴える時代ミステリの旗手・伊吹亜門。新鋭五人の輝かしい出発点となった作品を一冊にして贈る。
高田総合地所の社運を賭けたリゾートプロジェクトチームのリーダーに抜擢され、張りきる優。残業中、夜の社内で梓に後ろからやさしく抱きしめられるが、そのあと何もなかったかのように振る舞う梓の態度に戸惑いを隠せない。一方、隆一は優の存在に焦りを感じながらも、梓との結婚準備を着実に進めていた。プロジェクトの最終プレゼンが迫るなか、優のところに黒沢から一本の電話が入り…。運命的な兄弟を描いた話題作、いよいよ待望の完結!
【話題沸騰 『信長の原理』 の姉妹編!】 明智光秀はなぜ瞬く間に出世し、信長と相前後して滅びたのかーー。 厳然たる「定理」が解き明かす、乱世と人間の本質。 各界絶賛の全く新しい歴史小説、ここに誕生! 永禄3(1560)年の京。 牢人中の明智光秀は、若き兵法者の新九郎、辻博打を行う破戒僧・愚息と運命の出会いを果たす。 光秀は幕臣となった後も二人と交流を続ける。やがて織田信長に仕えた光秀は、初陣で長光寺城攻めを命じられた。 敵の戦略に焦る中、愚息が得意とした「四つの椀」の博打を思い出すがーー。 何故、人は必死に生きながらも、滅びゆく者と生き延びる者に分かれるのか。 革命的歴史小説、待望の文庫化! 解説・篠田節子
「私の中のなにかが、リセットを使いたくないと考えている」相麻菫が死んで二週間。中学二年の夏の残骸が香る季節。浅井ケイと春埼美空は、能力で人助けをする奉仕クラブに入部するも、春埼は時間を巻き戻す能力・リセットが使えなくなっていた。感情が能力を拒絶する理由を考える春埼は、ふいに理解する「私は、ケイにー」。ケイと春埼が少女の死と自らの感情に向き合う表題作を含む、6つの青春の断片。シリーズ第4弾!
麻布警察署刑事課二係は、管轄内の重要犯罪を隠蔽することを目的に組織された。トップアイドルの覚醒剤疑惑、大物政治家の賄賂…。手段は問わない。二係のエース、仙石は誰よりもスマートに残虐に、犯罪を揉み消す。そんな仙石の行動を見張るため、細川巡査部長は、仙石の部下として、二係内で潜入捜査を始める。極限の騙し合いの勝者はどちらか。“悪を以って悪を制す”汚職警官を描いた本格警察小説。
九年前、武家を捨てて照降町にやってきた喜三次に一目惚れしたおゆき。所帯を持って早二年、待望の赤児が腹に宿ったことを知らされるもおたふく風邪に罹っていることが判明。一方、人生の大きな節目を迎えた喜三次は、照降町の面々と水魚の交わりをしてきた年月を振り返り、書役の職を辞して第三の人生を始めることを決意するー。お目出度と心配事に町は上を下への大騒ぎ!絶好調シリーズ、胸うち震える佳境の第七弾!
真琴が勤める廃校寸前の大学総務課に、前理事長の孫娘・リラがやってきた。ハリウッドでストーリー分析家として活躍したリラは、大学再建のために送り込まれたという。無鉄砲なリラに振り回されながらも、彼女のアドバイスを受け、片思い相手の教授との距離を縮めていく真琴。リラの勧める映画には、人生のヒントが詰まっていた。そんな中、大学内で重大事件が起きてー。働く女子にエールを送る、ポップでキュートな物語。
昭和30年、春。新任教師の明子は三重県伊賀の山里にある分校に赴任した。小さな村ならではの誰もが顔見知りの人間関係や、無邪気な子どもたちが教えてくれる自然の美しさに、初めての地での緊張もほぐれていく。そんな中、誰にも心を開かず、突飛な行動をとる生徒・朱根のことが気にかかっていた明子は、思いがけない事情を垣間見る…。清冽な空気とともに、人々の心の交流を丁寧に描きだす優しく温かい物語。