2016年3月28日発売
藤沼悟の壮絶な追跡の果てに、連続児童誘拐殺人事件の真犯人は、ついに逮捕された。犯人は一審で死刑判決を下されるが、発見された犯人の「手記」に頻出する“スパイス”なる謎の存在への呼び掛けから、精神鑑定によって一転して無罪判決になってしまう。検察は即日上告するが、犯人はなぜか無罪を勝ち取った弁護士を罷免し、若き弁護士・小林賢也が国選弁護人として指名される。彼はサトルの親友であり、自身も事件の当事者の一人だった。ケンヤは戸惑いを覚えながらも、手記を通じて犯人の不可解な内面を探り、己の“正義”をも突き詰めていこうとする。そして、ついに訪れる最高裁での審理。そこで明かされた、ある“真意”とはー。真犯人逮捕の「その後」を描く、驚愕のオリジナルストーリー!
自らの存在意義を否定して身投げした少女、碓氷深白。そんな彼女が目を覚ますと、そこは天国でも地獄でもない、『鏡の世界』と呼ばれる仄暗い空間だった。記憶をなくした彼女はその世界で出会ったユズやリョウタロウと共に、理不尽な世界の捜索を始める。全ては、ミシロが抱きながら死んだはずの“望み”を叶えるために。緻密なストーリーと驚愕の展開で人気を博したホラーフリーゲームを完全ノベライズ!!
1年後の地球破壊を宣言するも、なぜか椚ヶ丘中学校の落ちこぼれクラス3年E組の担任教師となった謎のタコ型超生物・殺せんせー。潮田渚ほか3年E組の生徒たちはその超生物の暗殺を政府から託されていた。2学期を迎え、残された暗殺の時間もあと半年。慌しい学園祭が終わり、束の間の安息が訪れたE組の前に衝撃の暗殺者が正体を現す!?桜が舞う別れの季節、驚き、笑えて、涙する「暗殺教室」最後の授業が始まる!
反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの“ゲルニカ”。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消した…。大戦前夜のパリと現代のNY、スペインが交錯する、華麗でスリリングな美術小説。
札幌から北京そして東京へー。物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、誰からも愛される犬、臆病な犬、高貴な犬、澄んだ目の犬、縄抜け名人の犬、猫と仲良しの犬、生涯の伴侶犬など、様々な犬たちが描き出す、その犬の一生と家族の歴史。
100年程前、夫となる人の写真だけを頼りにアメリカに嫁いでいった日本の娘たち。失望とともに結婚生活をはじめ、厳しい労働を強いられながら、子を産み育て、あるいは喪い、懸命に働いて、ようやく築いた平穏な暮らしも、日米開戦とともにすべてが潰え、砂漠のなかの日系人収容所へー。「わたしたち」という主語を用いて、女たち一人ひとりの小さなエピソードがつぎつぎと語られるうち、その小さなささやきが圧倒的な声となってたちあがる、痛ましくも美しい中篇小説。
現実の凍土に震える者よ。六花の結晶よりも儚げな、肉の器を持つ者よ。皆川博子の祝福を受け入れるがよい。彼女の吐息は、夢幻の精霊。夜の帷にも似た抱擁と、甘やかな痛みとともに、色の無い世界も染まりゆく。唇は情念よりも朱く、血は薔薇よりも青く、死は詩のように色づいて…。儚げな、肉の器を持つ朋よ。やがて知ることになるだろう。自分の内側に注ぎ込まれたものの真の意味を。著者初の時代小説「十五歳の掟」を含む表題作、江戸民衆の情念を炙り出した「朱紋様」の2冊に加えて、単行本初収録の連作短篇を併録。