2016年3月発売
我らが主人公メヴルト・カラタシュは、12歳のときに故郷の村からイスタンブルに移り住む。昼間は学校に通い、夜は父とともにトルコの伝統的飲料ボザを売り歩く日々を重ねて、彼は次第に大都会になじんでいく。そしてある日、彼はいとこの結婚披露宴で運命の恋をしたーノーベル文学賞作家が描く、ある男の半生と恋と夢、そして変わりゆく時代。新たな代表作となる傑作長篇。
ライハと駆け落ちをしたメヴルトは、日中は様々な仕事をしながらも、あいかわらず冬の夜はボザを売りに出かけていた。イスタンブルとその住民、そしてトルコに訪れる変化を路上から目撃しながら、彼は長年抱き続ける、自分と世界についてのひそかな違和感について思いをめぐらすーこの違和感はいったい何から生まれたのだろう?いくつもの声を重ねて描き出される、都市と人の移り変わり。ノーベル文学賞作家が放つ現代の叙事詩。
本書はアルベール・カミュ『異邦人』の研究書。先行する習作との関係、形成過程研究、緻密なテキスト読解・分析による作品世界の提示、テマティックなアプローチ、比較文学的アプローチ等の多様な角度から『異邦人』を研究し、正確な読解を提出する。とともに、『異邦人』の世界を総合的に描き出すことにより一般読者に向けても小説の読み方の一例を示す。研究書としては刊行後70年余を経て醸成された『異邦人』解釈の定説に修正を迫り、一般向けには小説を読み解くときのワクワク感を感じさせる一冊。
取材でハンガリーを訪れたジャーナリストが消息を絶った。単身ブタペストに飛び、同僚からの情報を頼りに捜索に当たる刑事マルティン・ベック。だが、やがて執拗な尾行者に悩まされるようになりーー。
御蔵前片町にある料亭の一人娘・お鶴。普段はひかえめだが、いざとなると男勝りになることから、おきゃんな蔵前小町と呼ばれている。ある時、向島の花見から帰ってくると、家に珍客があった。病を患う伯母を見舞にきた旗本の章二郎である。初対面からお転婆をたしなめる章二郎に反発を覚えるお鶴だったが、やがてその想いは恋に変わり…(「江戸の娘」)。厳しい冬を越え待っている別れと出会い。名手たちが紡ぐ傑作短編集。
江戸城台所人の鮎川惣介は、持ち前の嗅覚を頼りに、数々の難事件を解決してきた。ある日、幼馴染みの添番、片桐隼人とともに訪れたなじみの蕎麦屋で、酒に溺れ前後不覚になった旗本、二宮一矢に出会う。二宮が酒をやめる代わりに、惣介が腹回りを一尺減らす約束をしてしまい、不本意ながら食事制限を始める。一方、大奥の廁で赤子の骸が見つかった。内密に事が運ばれていたものの、惣介はまたも、事件に巻き込まれてしまう。
雪まだ深い春休み。大学生の森司は、来たるホワイトデイのことで気もそぞろ。 とはいえ通常とは逆で、片想いのこよみからの、バレンタインのお返しについて。 そんな森司に関係なく、オカ研には依頼が。 SNSのオフ会に現れる、心中を強要する霊。 恐怖の市松人形、 はたまた友人の事故物件巡りと、 恐怖の波状攻撃に戦き、成人式を迎えたこよみの晴れ着姿にときめき……。 新たな仲間も登場で加速する、青春オカルトミステリ第9弾!
2011年春、大震災直後に蒲田署から警視庁捜査一課へ異動した北郷に与えられた任務は15年前の『大森女子大生放火殺人事件』の解明。アクの強い古参刑事や女性刑事を部下に従え班長代理・北郷が難事件に挑む。
牡丹こと天草四郎にさらわれた舞を救うため、大剣を背負った大男・万源九郎は飛騨へ向かっていた。時を同じくして、天空より、三種の神器=オリハルコンを求めて異星のものたちが現れ、各地で人の身体を乗っ取り始めていた。やがて宮本武蔵、佐々木小次郎、柳生十兵衛ら剣豪や、真田忍群と伊賀の土蜘蛛衆までもが天の命運をめぐる凄絶な争いに巻き込まれてゆく。はたして源九郎は、女と地球を守り抜くことができるのか!?
両親と離れて暮らす高校生の佳乃は、豆柴のカンタと、座敷わらしの暁星と同居中。最初は戸惑ったけれど、今では食いしん坊で癒し系な暁星との暮らしを大切に思っている。受験が近づき、緊張感も漂い始めたある日、佳乃は街で、不穏な気配をまとう同学年の宮崎と出会う。肩に妖鳥を乗せ、百鬼夜行を連れ歩く宮崎。しかし彼と対峙した暁星が記憶を失って…。暁星が消える?その時佳乃は…。少し怖くて心ぬくもる青春小説。
名探偵・明智小五郎が初登場した記念すべき表題作を始め、ミステリ要素を多く含んだ作品をセレクト。自らも数々の推理小説を書き、多くの推理作家の才をも発掘してきた巨人の傑作選をぜひご堪能あれ。
失恋した15歳の誕生日、ひろみは目が覚めたらアラビアンナイトの世界に飛び込んでいた!偶然出会った青年ハールーンにジャニと名付けられ2人は都を目指す。道中、次々と現れる追手たち。ハールーンは王宮から逃げ出した王太子だった。絶世の奴隷美少女、空飛ぶ木馬、魔法で鳩に変えられたジャニ。砂漠の行者が語る「王国のかぎ」とは?ファン待望大人気作家の初期作品が、書き下ろし短編とあとがきを収録して新たに登場!
旅本作家・和泉蝋庵の荷物持ちである耳彦は、ある日不思議な”青白いもの”を拾う。それは人間の胎児であるエムブリヲと呼ばれるもので…。迷った道の先、辿りつくのは極楽の温泉かはたまたこの世の地獄かー
日本の自然主義の先駆けと称された表題作をはじめ、初期の名作を収録した独歩の第一短編集。人気アニメ「文豪ストレイドッグス」とコラボレーションした特別カバーの新装版。(解説:中島京子氏)
ニコラス・理人・リューディガーは金髪碧眼の美青年。見た目は異国の王子様だが、中身は傲岸不遜な“魔女の専門家”だ。旧友の臨床心理士・都月玲李を訪ねたリヒトは、レイがある殺人事件の捜査に関わっていると知る。被害者は占い師。犯人は、邪悪な魔女を殺したと話しているという。リヒトは専門家として、強引に協力を申し出るが!?現代の魔女の謎を解く、オカルト・ミステリ開幕!
長原あざみは樫乃木美術大学の1年生。立体造形科の所属だけれど、引っ込み思案な性格のせいで、いつもひとりぼっち。ある日学校へ来ると、同級生の橘が作ったアクリル造形が変形していた。犯人の疑いをかけられたあざみを救ってくれたのは、人好きのする雰囲気を持つ青年、梶谷七唯。同じ学科の研究生という彼は、真実を調べようと言いだして…。第1回角川文庫キャラクター小説大賞“大賞”受賞。日常の謎系青春ミステリ決定版。
寒さがしみる夜、熱い手打ちそばをすすっていた次郎吉と小袖のいる店に、旅装姿の若い男女が入ってきた。どうやらやくざ者に追われているらしい。咄嗟に二人を匿った次郎吉が事情を聞くと、娘はやくざの親分に手篭めにされ、同情した男が駆け落ち覚悟で連れ出したという。だが、男が勤めていた貸本屋が付け火で焼け落ちてしまう。二人の事情には何か裏があるのでは…。義理人情に篤い鼠小僧が、今宵も悪を盗み出す!
誰もが認める烏丸家の当主になるべく決意も新たに迎えた2回目の春。大学進学の準備を整えていた花穎に、忠実なる執事・衣更月から驚くべき相談がもたらされる。それは「通常業務から離れたい」というものだった。代理としてやってきたヴァズは、衣更月のバトラー養成学校の同期で穏やかな青年だった。ところがその夜、ヴァズが何者かに襲われる事件が発生し…!?半熟主従に新たな試練?新章突入の上流階級ミステリー!
俺が導く事件の真相は、 いつだって少し、ほろ苦い。 文化祭で発生した奇妙な4つの事件。 そこには切ない秘密が隠されていた──。 珠玉の青春ミステリ第3弾! 妖怪なんて大嫌いなのに、なぜか「妖怪研究同好会」に所属してしまった皆人(みなと)。変人美人のハル先輩に振り回されながらも、高校初の文化祭の日を迎えていた。 だがお祭り騒ぎのなか、奇妙な事件が発生する。さらに生徒会長の倉吉は、文化祭の前に“犯行予告”ともとれるメールが届いていたことを告げ、その犯行を阻止するよう、皆人とハル先輩に命じる。 「水虎(すいこ)の悪戯」「覚(さとり)の道化師」など、奇妙に妖怪の絡んだ4つの事件を、皆人は解き明かすことができるのか。そしてその“犯人”の目的は──? 切なさ残る、青春学園ミステリ第3弾!