2016年4月27日発売
逆境をバネに大事業に挑んだ二人の男! 広島県の造り酒屋に生まれた池田勇人は、大蔵省に入って5年目に全身から膿が吹き出す「落葉状天疱瘡」という難病に罹り、生死をさまよう闘病の中で退転を余儀なくされた。絶望の底に叩きつけられた池田だったが、奇跡的に同省へ復職、仕事ぶりの卓抜さから、主税局長、次官と上り詰めたのち、政治の世界へと身を投じる。時を同じくして、朝日新聞政治部の記者で水泳指導者としても活動する田畑政治は、幻となったオリンピックを再び東京で開催しようと動き始めるーー。 序 章 第一章 二人の男 第二章 オリンピックを呼んでくる 第三章 月給を倍にする
信じていた恋人に振られ、職業もお金も、居場所さえも失った25歳のエミリ。藁をもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。 心が荒みきっているエミリは、人からの親切を素直に受け入れられない。しかし、淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、小さな変化が起こり始める。食に対する姿勢、人との付き合い、もののとらえ方や考え方……。周囲の人たち、そして疎遠だった親との関係を一歩踏み出そうと思い始めるーー。「毎日をきちんと生きる」ことは、人生を大切に歩むこと。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。
吉祥寺の庭師は、実はすご腕の陰陽師!? 庭にまつわる不思議な事件、解決します。 累計500万部突破「少年陰陽師」シリーズの著者が贈る、 現代の陰陽師ものがたり第2弾。 吉祥寺のガーデンショップ「栽ーSAI-」に居候中の大学生・保。兄のような存在である庭師の啓介が、すご腕の陰陽師でもあることを最近知ったが、それ以上詳しいことを教えてくれないのが不満の種。 啓介の美貌の異母弟・弓弦は、知ることは時に危険で、知らないほうが良いこともあるのだと諭す。 そんなある日、保と啓介は庭の手入れを依頼され一軒家を訪れるが、突然井戸から黒い煙のようなものが噴き出し、『うそつき』という女の声が……。 井戸で何かが起こっている。 そして災いは、連鎖する。 五話 実らずの柿と人待ちの夕べ 六話 移り気の花とささやきの井戸 七話 きざしの髪と幽世の水辺 八話 送りの風と帰らじの笹舟
五輪に託した夢があった! 政治家に転身した池田勇人は着実に要職を踏み、ついに首相に就任。東京オリンピック開催準備の政府責任者として、首都大改造、東海道新幹線の建設などを指揮、経済成長を牽引する。しかし、開催直前、病魔が池田を襲う。一方、東京五輪決定を機に組織委員会事務総長に就任した元朝日新聞記者の田畑政治は、突如湧き起った責任問題で事務総長辞任に追い込まれてしまう。「記憶に残る大会に」「経済成長に弾みを」……。それぞれの理想を掲げて奔走した二人。そしてついに「この日」は訪れたーー。 第三章 月給を倍にする(承前) 第四章 水と道路と鉄道と 第五章 国をひとつに 第六章 世紀の祭典 終 章
西丸書院番組頭を務める立原家の娘、志津乃は、父と継母が進めようとしている新たな縁談に気を揉んでいた。相手の高階信吾郎は、父と同じ西丸の書院番士であり、武芸に秀でた美男。誰から見ても申し分のない良縁である。だが、志津乃には、決して忘れることのできない人がいた。かつての許婚の坂木蒼馬は、西丸書院番士であったが、徳川家治の継嗣、家基の死を切っ掛けに突如失踪したのだ。蒼馬を忘れられずにいる志津乃に対し、信吾郎は、蒼馬が家基の暗殺を疑われていることを告げるのだったー。蒼馬が失踪した真相を知るため、志津乃は彼を捜す決意をする。『ヨイ豊』で注目を集める著者が描く、最新時代長篇。
変わりたい。変わらなければ。 私は次第に自分を見失っていった。 世界的ベストセラー作家 パウロ・コエーリョの刺激的な新作! 優しく裕福な夫、二人の子ども、ジャーナリストとしての恵まれた仕事。 幸福を絵に描いたような生活を送っていたリンダだったが、ある取材を機に人生を見つめ直し、自分が抱える深い悲しみに気づいてしまった。 自分は日常生活に追われ、危険を冒すことを恐れ鈍感になっていた。 結婚生活にも情熱は感じられない。感動も喜びも消え、この孤独感はだれにも理解してもらえないとリンダは絶望し始めていた。 そんなとき、元彼と再会する。 政治家として出世街道を歩みながらも同じような孤独を抱えたその男、ヤコブはリンダに問いかけた。「きみは幸せなのかい」と。 その一言がきっかけで、リンダは刺激を求め、危険な道に足を踏み入れるーー。
ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去の巨額借り入れ金スキャンダルを告白させようと試みるが、佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣の前代未聞の大スキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るがー。時代を切り取る、迫真の書き下ろしエンタテインメント!
七野夏姫は、ワケありの取引先を一手に引き受ける渉外七課、通称「ハキダメ」に配属され、必死に書いた稟議を申請するたびに本部に否認される毎日を送っていた。その本部決裁者こそ、ハイパークールという威名をとどかす審査役の北大路でー七野はついに、北大路に向けて宣戦布告めいたメールを送りつけるのだが…!?
疫病に侵された「娘」サラと彼女を守る「ママ」のリリス。 はたから見れば、年齢に差のない、ミステリアスな美少女ふたり。 彼女たちは幼少期に受けた人体実験により、周囲が恐れる能力を得ていた。 しかしその能力の代償はーー疫病の治らない身体と 能力を求める者からの追行。 死と隣り合わせの日々を余儀なくされた。 これは行方不明の科学者たちを探し、元の身体を取り戻すための冒険譚である。 ・プロローグ ・サラ ・リリス ・エピローグ
三十歳。生まれて初めての恋が私を変える。手品のようにー女子力の低いOLが人気マジシャンに一目惚れ。オレンジ色のシルクスカーフを巧みに操る彼に近づきたくて、仕事をやめてマジックの世界へ。芸も恋も前途多難、心が折れそうになったとき、不思議な巡り合わせが…愉快な恋愛成長小説。
初めての息子の誕生から、ホロコーストを生き延びた父の死まで。七年の万感を綴る、自伝的エッセイ集。戦闘の続くテルアビブに生まれ、たくさんの笑いを運んできた幼い息子。常に希望に満ちあふれ、がん宣告に「理想的な状況だ」と勢い込んだ父。現代イスラエルに生きる一家に訪れた激動の日々を、深い悲嘆と類い稀なユーモア、静かな祈りを込めて綴った36篇。世界中で人気を集める掌篇作家による、家族と人生をめぐるエッセイ集。