2016年5月発売
警視庁公安総務課庶務係分室、通称「J分室」。類稀なる身体能力、海外で傭兵として活動したことによる豊富な経験、莫大な財産を持つ小日向純也が率いる公安の特別室である。ある日、警視庁公安部部長・長島に美貌のドイツ駐在武官が自衛隊観閲式への同行を要請する。式のさなか狙撃事件が起き、長島が凶弾に倒れた。犯人の狙いは駐在武官の機転で難を逃れた総理大臣だったのか…。
これが一番こわい怪談だ、をよりすぐった傑作15篇。綺堂の絶品「停車場の少女」、“お前、寒かろう”“こんな晩”と見事に紡がれる八雲の「日本海に沿うて」、芥川の最晩年「妙な話」、気持ちの悪い荷風「井戸の水」、女の手首の怨念、大佛次郎「怪談」、最恐!橘外男「蒲団」…実話!あの田中河内介の…
イタリアに行ったまま帰らない息子ディッキーを連れ戻してほしいと富豪に頼まれ、トム・リプリーは旅立つ。その地でディッキーは、絵を描きながら女友達マージとともに自由な生活をおくっていた。ディッキーに心惹かれたトムは、そのすべてを手に入れることを求め、殺人を犯す…巨匠ハイスミスの代表作。
パリ郊外で自由な生活をおくるリプリーのもとに、ロンドンの画廊から連絡が入る。天才画家ダーワットの死を隠して贋作販売を行なう事業にトムも一枚噛んでいたのだが、贋作が露見しそうな事態が生じたという。トムは画家に変装して危機を乗り越えようとするが…トム・リプリーの新たなる物語が始まる。
陸軍所属のネイサンは、任務の最中に敵にとらえられ、昼か夜かもわからないような日の当たらない暗く狭い監房に閉じこめられた。しかし、自分にはアメリカ陸軍と一流の民間軍事組織を経営する兄たちがついている。だから、すぐに救助が来る。最初の数週間はそう確信していたものの、終わることのない孤独と激痛のなか、希望を持つことは次第に難しくなっていった。そんなとき、まるで地獄から救ってくれるかのように、ネイサンに奇跡が起こった。ここにいるわー頭の中に直接響いたかに思える女性の声は、ネイサンに安らぎを与え…。
スペイン王家のフェリペ2世や狂女フアナなどの実在の人物たちと、ドン・キホーテやドン・フアンなどの架空の登場人物たちを斬新な手法で錯綜させ、イベロアメリカ全体に影響を及ぼす征服者の悲劇を、旧世界・新世界・別世界の3部構成で物語る世紀の叙事詩!メキシコを代表する作家が残した畢生の大作、待望の完訳!
あの頃はもうないけれど、その続きを生きることはできる。対峙する男と女、息を飲む人生の瞬間、万華鏡のように混ざり合い、変化していく虚構と現実…。スタイリッシュな八つの短篇。
織物工芸に打ち込み、一枚のタピスリに魅惑されてヨーロッパに留学した支倉冬子は、ある夏の日、北欧の孤島に、ヨット旅行に出かけたまま突然消息を絶ってしまう。彼女が残した手記を辿りながら、荒涼たる孤独の中、日本と西欧、過去と現在、過酷な現実と美的世界を行きつ戻りつ、生と死と愛の不安を極限まで掘り下げた清冽な作品。辻邦生の“死生観”が見事に結実した、著者の原点ともいえる金字塔的作品。創作ノート抄を併録。
1919年のニューオーリンズで、斧を使って殺人を繰り返す、アックスマンと呼ばれる犯人。「ジャズを聴いていない者は殺す」と予告までする殺人鬼を懸命に追う男女がいた。人種差別の強い街で、黒人の妻がいることを隠して困難な捜査をするタルボット警部補。ある事情から犯人を捕えるようマフィアに依頼された元刑事ルカ。ジャズマンと共に事件の解明に挑む探偵志願の若い女性アイダ。彼らの執念で明かされる衝撃の真相とは?実際に起きた未解決事件をもとに大胆な設定で描く、英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作。
2020年、流れ星の発生を予測するWebサイト“メテオ・ニュース”を運営する木村和海は、イランが打ち上げたロケットブースターの2段目“サフィール3”が、大気圏内に落下することなく、逆に高度を上げていることに気づく。シェアオフィス仲間である天才的ITエンジニア沼田明利の協力を得て、“サフィール3”のデータを解析する和海は、世界を揺るがすスペーステロ計画に巻き込まれてー第35回日本SF大賞、第46回星雲賞日本長編部門、ベストSF2014国内篇第1位。
“サフィール3”の異常な機動から、国際宇宙ステーションを狙う軌道兵器であるという噂が広まりつつあった。北米航空宇宙防衛司令部のダレル・フリーマン軍曹は事態の調査を開始、いっぽう著名な起業家ロニー・スマークは、民間宇宙ツアーPRのため娘とともに軌道ホテルに滞在しようとしていた。調査を続ける木村和海は、すべての原因が新型の宇宙機“スペース・テザー”にあるという情報をイランの科学者より得るー
日暮里駅から徒歩10分。ちょっとレトロな雑居ビルの2階にある増山超能力師事務所ー。所長の増山率いる、見た目も能力も凸凹な所員たちは、浮気調査や人探しなど、依頼人の悩み解決に今日も奔走。超能力が使えても、そこは人の子。異端の苦悩や葛藤を時にユーモラスに時にビターに描く人気シリーズ第1弾。
四十歳を目前にして離婚した「私」と、親代わりに育ててくれた祖父母を亡くしたばかりの、幼なじみで従妹のちどり。孤独を抱えた二人は、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かける。淋しさを包みあう二人の間に、三日目の夜、ある「事件」が起きる…。日々を生きる喜びが心にしみわたる傑作小説。
小金井橋の死闘で小城藩の刺客を斃した小籐次だったが、己が生涯追われる身になったと悟り、怪我を押して甲斐国へと向かった。その道中、幕閣の女密偵おしんと知り合う。小籐次は、不正の臭いのする甲府勤番を探るというおしんに同道するが、甲府では驚くべき事態が進行していた。来島水軍流の剣が冴える、シリーズ第3弾!
現代文学を代表する阿部和重が、9.11から3.11に至る世界と対峙した12の小説集。秘密研究施設、国際テロリスト殺害、放射能警戒区域窃盗団、少女都市伝説、拉致監禁、ヘイトデモ…世界中のエッジな場所から、おなじみのヒットナンバーに乗せて届くとびきりキツい毒と笑いの彼方に、ほのかに見える一筋の光。
時は江戸。ある大遊廓の創業者・熊悟朗は、人が抱く殺意の有無を見抜くことができた。ある日熊悟朗は手で触れるだけで生物を殺せるという女性・遙香と出会う。謎の存在「金色様」に導かれてやってきたという遙香が熊悟朗に願ったこととはー?壮大なスケールで人間の善悪を問う、著者新境地の江戸ファンタジー。
田鶴藩に戻った燦を不意に襲う、謎の飛礫。それはかつて共に暮らした與次の仕業だった。「今更のこのこ帰りやがって。何もかも遅すぎるんだ!」與次から篠音の身の上を聞いた燦は、ある決意をする。城では圭寿が、藩政の核心を突く質問を伊月の父・伊佐衛門に投げかけていた…。少年たちが闘う、文庫オリジナルシリーズ第七弾。