2016年6月30日発売
今晩和(Bonsoir)、親愛なる地平線の旅人よ。これは愛を汚され、失って、彷徨いながらも抗い続ける女性の為の物語(Roman)だ。 報われずとも己が信じるものに生涯を捧げ、後の世に神の手を持つ者と称される男の物語(Roman)だ。美しきものを心に刻みつけて 目を閉じる者の物語(Roman)だ。君が迷う時は賢者の声に耳を傾けるがいい。だが、決めるのはあくまで君自身だ。 君が去るのならば、伝言だけは残してくれ給え。それもまた物語(Roman)だ。全てがどこにでもある特別な物語(Roman)だ。 さあ、詩を灯そう。詠い続けよう。聖夜(ノエル)に生まれいづる彼と共に。 <収録楽曲> 07.歓びと哀しみの葡萄酒 a piece of Noel number"06" 08.天使の彫像 a piece of Noel number"07" 09.美しきもの a piece of Noel number"08" 10.黄昏の賢者 a piece of Noel number"09" 11.11文字の伝言 a piece of Noel number"10" 時を超え紡がれる幻想物語は今、新たな展開と終着点を迎える! 二つの冬の物語の結末はーー!?
霧の山道で背後からついてくる操り人形のような女性、登山中になぜか豹変した友人の態度、「死ぬ人の顔が見える」という三枚鏡……。登山者や山に関わる人々から聞き集めた怪異と恐怖を厳しい自然とともに活写する。
泉鏡花、岡本綺堂、江戸川乱歩ら怪異の文豪を深く魅了し、怪談実話の分野においても、『日本霊異記』の昔から稲川淳二の「生き人形」に至るまで、読む者の心胆を寒からしめる逸話を数多生み出してきた「人形/ヒトカタ」。 なぜ人は、みずからの似姿に、かくも惹かれてやまないのか。ときに苛烈に呪詛や祈願を込め、ときに諸共に舞い踊るのか──。 古今の怪談文芸において、変わることなく重要なモチーフとなってきた「人形/ヒトカタ」の恐怖と魅惑に、『幽』ではさまざまな角度から肉迫いたします。特集内では、山岸凉子氏のインタビューをはじめ、グラビアでは中川多里の人形写真と皆川博子の書き下ろし掌編による豪華コラボ企画や、人形作家の百鬼ゆめひな氏のインタビューも掲載。 他、有栖川有栖、山白朝子、恒川光太郎、福澤徹三、安曇潤平、諸星大二郎、高橋葉介、柴門ふみ、押切蓮介など、小説、実話、漫画人気連載、インタビュー多数。
東京オリンピック開幕前後、六十六歳の松坂熊吾は金策に窮していた。大阪中古車センターをオープンさせるも、別れたはずの愛人・博美との関係を復活させ、それが妻・房江に知られ、高校生になった息子・伸仁にも責められ、熊吾は家を出ざるを得なくなる。糖尿病は悪化し、大怪我を負い、さらに会社の不振が続く。熊吾の運は尽きたのか。そして、心を痛めた房江はついに…。執筆三十五年、ついに次作・第九部で完結。
親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなをぼくの家に招待します。……でも、誰も来なくてもだいじょうぶです。ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? --臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。
大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。
「タスケテ」って思っても味方なんてダレもいないんだ。「クルシイ」って思っても逃げ場なんてドコにもないんだ。誰もかも蔑んだ、アタシをどうしてやりたいの…?ココロがコワレルんだ、アタシはどこへと消えるの…?かにみそPのダークサイドとDeinoワールドの暗黒コラボが満を持してノベル化!
アリッサ・ガードナーにはふたつの悩みがあった。ひとつは、あの『不思議の国のアリス』のモデルだったアリス・リデルの子孫だということ。それをクラスメイトに毎日からかわれてうんざりしていた。もうひとつは、突然虫や花の声が聞こえるようになったこと。自分はおかしいのかもしれないとひとりで悩み続けていた。だがある日、アリッサは入院中の母親から虫たちの声が聞こえるのはアリスにかけられた呪いのせいだと教えられる。呪いを解くために不思議の国へ旅立ったアリッサ。だがそこはキャロルの本とは違い、耳のような骨がある小人の白ウサギ、彼女を食べようとする花のゾンビなど、不気味な生き物だらけの悪夢のような世界だったー!
不思議の国へやってきたアリッサが出逢ったのは、不気味な生き物たちだけではなかった。幼い頃から知っていたはずなのになぜか存在を忘れていた、翼を持つ青年モーフィアスと再会したのだ。アリス・リデルの呪いを解くには、彼女が不思議の国で巻きこした混乱を元に戻さなくてはいけないとモーフィアスから教えられたアリッサはいくつもの試練に挑む。眠りについたお茶会の出席者たちを目覚めさせ、チェシャ猫の魂を探し…。そして、最後にアリッサを待ち受けていたものはー。奇妙な世界観で紡がれた、ダークで美しい、もうひとつの『不思議の国のアリス』。