2016年6月9日発売
目覚めると、鎖をつけられ、地下室で監禁されていたー。ある事情から、人目を避けて南フランスの田舎の民宿に滞在していたテオは、周囲の山中を散策していたところ、廃屋めいた家に暮らす老兄弟によって囚われの身となってしまう。地下室の先住者リュックは、彼にこう告げる…「地獄にようこそ」。あらゆる農作業と重労働、家事に酷使され、食べ物もろくに与えられず、テオは心身ともに衰弱していく。ある日、老兄弟の隙をついて脱出を試みるが。フランス推理小説大賞、813賞の二冠に輝いた傑作サスペンス!
盲目の私立探偵のシリーズを細々と書き継いできた作家のウルリクソンは、これまでベストセラーとは無縁だった。だが、車椅子生活の妻と幼い娘との日々を描いた自叙伝が思いもかけないヒットとなり一躍時の人に。そんなウルリクソンのもとに一通の封書が届く。それはかつて関係を持った女性の娘が、彼の実の娘だとの法的申し立てなのだが…。堕ちていく作家の葛藤と家族の固い絆を描き、全米を論争に巻き込んだ問題作!
半年後に小惑星が地球に衝突し、人類は壊滅するという予測が発表された。ファストフード店で死体で発見された男性も、未来を悲観し自殺したのだと思われた。しかし新人刑事パレスは他殺を疑い、同僚たちに呆れられながらも捜査をはじめる。世界はもうすぐなくなるのに、なぜ捜査をつづけるのか?そう自問しつつも粛々と職務をまっとうしようとする刑事を主人公としたアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作!
新人作家の三崎小夜は、次回作が書けずに悩んでいた。担当編集者からの宿題は、なぜかBL小説を読むことだった。自称クリエイターの元彼。自意識過小な恋に熱き先輩。自我崩壊気味な人気漫画家。ちょっと壊れた周囲の人たちに翻弄されながら、戦う快楽に目覚めるまでの成長物語。痛快長編。
将軍の毒味役、鬼役を代々務めてきた矢背家。当主の蔵人介は、ついに自らの跡を継ぐ者として居候の卯三郎を試すこととする。命懸けの毒味、驚異の水練、死に物狂いの武芸、桁外れの早駆け…。卯三郎に次々に課されるのは想像を絶する試練だった。卯三郎はその試練を乗り越え、矢背家の跡目を継ぐことはできるのか。大好評シリーズ、涙と笑いと感動の第十八弾。
あらゆることを犠牲にし、小説を書くことに全身全霊を傾ける作家・樺山ひろ江。秘書として支え続ける姪の明子だったが、気難しい性格のひろ江は、編集者たちに煙たがられる存在だ。六年前に出したデビュー作のドラマ化をきっかけに、状況は一変。作品は売れ、執筆依頼も殺到するのだが…。浮き沈みの中、絆を深めてゆく二人の女性の人生を濃密に描く、傑作長編。
約二十年前、金融会社社長が事務所で金庫破りと鉢合わせをして刺殺された。社長の娘から依頼を受けた探偵・竹花は、情報を受け犯人と思われる男が暮らす新潟に赴く。だがその男の身辺を探っていくうちに、竹花の周りで不可解な出来事が次々と起こる…。(表題作)しぶとく、そしてクールな男・竹花が、人間の悲しい性と心に寄り添い事件を解決する、珠玉の全四編!
「子供を預かった」高村家に突如もたらされた誘拐犯からの凶報。身代金は五千万。父親の謙二は、倒産の危機に瀕する自社の専務や、前妻にも頼むなど金策に奔走。警察も介入し、事態はさらなる混乱の渦に呑み込まれていく。捜査線上に浮かぶ無数の容疑者の中で、人々を翻弄するのは誰だ!?第15回本格ミステリ大賞にもノミネートされた、誘拐ミステリーの新たなる傑作!
金融探偵・七森恵子は、円経済研究所の代表から仕事を依頼される。内容は利回り年平均10%という好業績の巨大ファンド「モネタ・ファンド」の調査だった。恵子はパートナーである如月浩二郎と潜入捜査を開始したが、好業績の理由は霧に包まれ、恵子の身には危険が迫る。ついに明らかになった秘密とはー。衝撃のラストが待つノンストップミステリー!
片山義太郎が、夜行列車で出逢った女性は白猫の化身!?晴美との結婚を当て込んで、石津が引っ越した郊外の団地。その近所に、開発から取り残されたような村があり、“猫屋敷”と呼ばれる地主の家で惨劇が起こった。飼われていた十一匹の猫たちとともに、女主人が殺された。その後、次々起こる殺人は、殺された猫たちの怨念なのか!?スリリングなミステリー。
病に伏せる命の恩人、切腹した父、生き別れた母、縁を切った妹、別れた亭主、憎き敵、いつも優しかった幼馴染…。人にはそれぞれに想いのある料理がある。鰻丼、天ぷら、鉄火巻きから大根飯、しじみ汁、きんつばまで、涙、怒り、笑いを江戸の味にのせて調理された「掌の小説」。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家が描いた二十一の超短編集。
明治五年初冬、ざんぎり頭で妻を伴い、浅草蔵前の裏長屋に身を寄せた男がいた。新選組最後の隊長・相馬主殿が、流刑から赦免されてやってきたのだ。しかし文明開化の東京には、相馬に復讐を企む男が待っていたー。(表題作)その他、龍馬を斬ったとされる今井信郎のその後と暗殺の謎に迫る「近江屋に来た男」等、歴史の闇に埋もれた男たちに光を当てた珠玉の七編。
「昭和大衆文壇の父」と呼ばれる長谷川伸が主宰した小説勉強会「新鷹会」。会での恩師・長谷川との対話はまさに一期一会の真剣勝負。そこから村上元三、池波正太郎など数多くの人気作家が生まれてきた。平岩弓枝の監修による本書には同会作家による九篇を収録。武士や職人、料理屋の娘など、出会いと別れの一瞬を生きる者たちの一途な想いが胸に沁みる傑作時代小説集!
自らの藩が取り潰しとなり浪人となった塙十四郎。生計を立てるのに苦労する十四郎は、ある日、襲われていた元幕閣の大物を助けたことをきっかけに、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に雇われる。さまざまな悩みや問題を抱えて駆けこんでくる哀しき女たちを救うため、十四郎と橘屋の女将・お登勢たちが奔走する。著者の代表シリーズが光文社文庫に初登場!
縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に雇われた元築山藩藩士の塙十四郎。ある日、斬られようとしていた浪人を救うが、浪人は十四郎のかつての許嫁雪乃の夫だった。仇を討たんと藩を出て江戸に出てきたかつての許嫁とその夫。しかし、生活苦から身を落とした雪乃に悪の手が迫る。はたして十四郎は許嫁を救えるのか。悲喜こもごものドラマが詰まったシリーズ第二弾。
ある二人の居場所を突き止めるよう命じられたマリエル。その二人さえ見つけられれば、弟のジャックを返してもらえるうえ、自分たちは自由の身になれる。マリエルとジャックは両親亡きあと、スパイ、暗殺者、売春婦の元締めであるアーロンのもとに身を寄せざるを得なかった。そこでマリエルは、身分の高い者たちから秘密を聞き出すためのスパイとして教育されたのだ。彼女が最後の仕事を遂行するには、スコットランドから来た族長に取り入り、彼とともにスコットランドへと行く必要があってー。