2016年6月発売
写真部・有我遼平と占い女子・鉢町丹子は幼馴染みだが、高校生となった今は互いを避ける微妙な関係。あるとき弓道部で起こった「期待のエース突然退部事件」に巻き込まれた遼平の話を、偶然聞いてしまった丹子は、持前の洞察力を駆使し、事件の真相をこっそり言い当てる。図らずも遼平を救った丹子は、その日以来物陰から遼平に推理を伝える「壁越し探偵」となった。気になるのに近づけない。じれったい男女の恋と謎解きの青春。
将軍家斉お気に入りの台所人、鮎川惣介。人並み外れた嗅覚で数々の難事件を解決してきた。文政7年、麻疹の流行が去ったのも束の間、江戸で立て続けに6度もの火事が起こった。直後、惣介は町火消の勘太郎から「火事場で幼馴染みが死んだ真相を調べてほしい」と頼まれる。聞き込みで一連の火事が付け火だと気付き、犯人を捜す惣介。南八丁堀で出会った蛤鍋の亭主から聞いた思わぬ一言で、事件解決へと向かったはずがー。
ある夜、ジャングルで虎に追われた男の子が、狼の住む洞穴に迷い込んできた。母狼にモーグリと名付けられ、ジャングルの掟を学びながらたくましく成長し、 十年後ついにオオカミの王者となる。名作が甦る!
雑誌の副編集長をしている「わたし」。柄に合わない上司と部下の調整役、パートナーや友人との別れ…日々の出来事に心を擦り減らしていた時、山の魅力に出会った。四季折々の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会。一人で黙々と足を動かす時間。山登りは、わたしの心を開いてくれる。そんなある日、わたしは思いがけない知らせを耳にして…。日常の困難と向き合う勇気をくれる、山と「わたし」の特別な数日間。
ねえ。 このうちって、とてもいいおうちよね。 ーーわたしの、理想のおうちだわ。 皆川美海は平凡な高校生だった。あの女が、現れるまでは……。 幼い弟の事故死以来、沈んだ空気に満ちていた皆川家の玄関に、 弟と同じ名前の少年が訪れた。 行き場のない彼を、美海の母は家に入れてしまう。 後日、白ずくめの衣裳に厚塗りの化粧をした異様な女が現れる。 彼女は少年の母だと言い、皆川家に“寄生”し始め……。 洗脳され壊れてゆく家族の姿におののく美海。 恐怖の果てに彼女を待つ驚きの結末とは……。 恐ろしくて、やがて切ない、 大人気シリーズ『ホーンテッド・キャンパス』著者による傑作ミステリ! (単行本『寄居虫女』改題)
ダイヤが原因で滅びてしまった一家。夫が妻に語ったある夏の出来事。後輩に対して威圧的な振舞いを続けた男の末路。混線した電話から小さく聞こえる誰かの会話。欲望に支配された人の心の闇は深い。その闇が引き起こすさまざまな怪異におののくと同時に、同じような業に自分自身が囚われていることにふと気づかされる…。善悪の行為が因となり、その報いが身に降りかかる!恐怖がふつふつと臓腑に涌く現代怪談第8弾!
加賀藩腰物奉行で剣の達人でもある若杉兵庫は、藩主・前田斉泰から極秘の主命を受けた。それはかつての情人の探索。だが彼女はすでに亡くなっており、斉泰との子・千鶴が出生の秘密を知らずに、町人として音羽町の長屋で暮らしていることを突き止めた。千鶴を秘かに護れ、と命じられた兵庫は長屋の近くに住んで用心棒となる。凶盗・夜烏組、そして斉泰の正室・溶姫の魔の手から、加賀百万石の姫を護る日々が始まった…。
女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師の娘・小波がモデルだった。やがて萩原は、小波と父親の秘密を知ってしまう……。(「アカイツタ」) 大手家電メーカーに勤める耀は、年上の澪と同棲していた。その言動に不安を抱いた耀が彼女を尾行すると、そこには意外な人物がいた……。(「イヌガン」) 過去を背負った女と、囚われる男たち。2つの物語が繋がるとき隠された真実が浮かび上がる。
一六一四年、鳶田の貧しい村で育った佐助は、己に課せられた宿命を果たすため、村を出る決意をした。だが彼は、その時「真田丸」で待ち受ける過酷な運命を知るよしもなかった──。驚愕の新説が展開される歴史小説。
若き天才発掘師・無量が陸前高田の神社跡で掘り当てた、指が三本しかない右手の骨。地元では「鬼の手では」と噂される。一方、平泉にいた忍は出土品の盗難に遭遇。そこには“悪路王参上”の文字が残されていて──。
新聞記者の猪瀬と「記憶屋」探しをする高校生の夏生。だが2人が手掛かりとして接触した男性の記憶が消えてしまう。記憶屋は夏生の側にいる人物ーー親友の芽衣子なのか。夏生は直接訊くことにするが……。
マゾヒズムを究極まで美麗に描いた谷崎の代表作! 九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が儘な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻を受けても不気味なほど献身的に尽くす佐助は、やがて春琴と切っても切れない深い関係になっていく。そんなある日、春琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。やけどを負った女を前にして佐助はーー。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。解説/山崎ナオコーラ。
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年発生した女性殺害事件を解決するカギが隠されていた!?(表題作「希望荘」)。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」…私立探偵・杉村三郎が4つの難事件に挑む!!
晴太郎が恋をした!? 江戸の菓子所「藍千堂」シリーズ第2弾 穏やかで実直、菓子づくりのことばかり考えている兄・晴太郎が惚れたのは、訳ありの女画師だった。店を守るため、弟・幸次郎は兄を止めるのだがーー。 煉羊羹に柏餅、金平糖など、晴太郎が工夫を凝らして丁寧に作り上げる季節のお菓子も色を添える、江戸人情小説。
ひょんなことから、着ぐるみに入って演技する「スーツアクター」としてコンビを組むことになった、樺島雄一郎と太田太一。怪獣映画に夢をかけながらも、とある事故のトラウマから着ぐるみに入れなくなってしまった樺島と、天然ボケにして天性の演技力の持ち主・太田。映画撮影所で次々とおこる事件を、ときにコミカルに、ときにハードボイルドに、相棒同士となった二人が解決する!
FBI捜査官ニコラスのもとにテロ組織“COE”が爆破を企てているとの情報が入るが、現場に向かった直後に爆発が起こり、情報提供者も亡くなった。その炎を遠くから見るCOEのメンバー、バネッサは呆然とした。これまでCOEは、人を殺さないのをモットーとしてきたはずだった。だが今回、組織が犠牲者を出すのをためらわなかったのは、最近加わったダリウスの入れ知恵に違いない。バネッサは、次の凶行を防ぐため、組織のリーダー、マシューを誘惑して懐柔しようとするが…
代々続くスコットランドの治療師の娘メグは、先祖より伝わる習わしに従って結婚せず、自立した生活を送っていた。ある日、馬車に乗った男性と目が合い、その瞬間に強いときめきを感じる。彼はイングランドから来たマードン伯爵ー近隣一帯の大地主で、小作人を次々と立ち退かせていると噂の冷血漢だった。彼の悪評を聞いて想いを抑えようとするメグだったが、伯爵も美しいメグに惹かれていて、再会したふたりは衝動のままに唇を重ねてしまう。しかし、身分も価値観も違う彼らの恋はすれ違うばかりで…
刑事事件の裁判有罪率は99.9%-絶対、逆転不可能な状況の中、個性的な刑事専門弁護士たちが残された0.1%の可能性にこだわって事実を追求する。新感覚の痛快リーガル・エンターテインメント。